188:秘密の家の女の子
さてさて先輩に何があったのか。続きは次回の講釈にて。
「先輩、失礼します!」
言いながら私はドアを開けた。このままにしておくことなんてできるわけが無い。
「えっ? なんでひとみっちがここに.......ってちょっと待って!」
「待てません! ちゃんと話をしてください」
「そうじゃない、そうじゃないから!」
ダイニングに先輩は居ない。という事はプライベートルームか。
「ここですか?」
「わっ、バカっ」
扉を開けた私たちを迎えてくれたのは大きなうさぎさんのぬいぐるみでした。サイズはブランちゃんくらい。
部屋の中はピンク色に染められていて風にそよぐカーテンにはフリルとスパンコールが散りばめられている。ベッドには天蓋がついていてレースのブラインドが備え付けられていた。タンスはキャラクターものの可愛らしいうさぎの顔のデザインで耳までついており、使いづらそうだなと感じる。
下にはカーペットが敷かれていて先輩の足には動物の顔が着いたモコモコのスリッパ。そして先輩の身体は着ぐるみのようなパジャマに包まれていた。
「先.......輩?」
「これはまた.......すごい部屋ですわね」
「この部屋は入れてもらったこと無かったんですけど.......こうなってたんですね」
先輩は見る間に顔を真っ赤にして枕(ふわふわな羊さんデザイン)に顔を填めた。
「いっそ.......殺して」
「.......ごめんなさい」
素直に謝るしかなかった。
私たちは部屋を追い出されてダイニングのソファに座った。楓ちゃんと豊さんが来るからって豊さんが買ったんだって。楓ちゃんも運んだらしい。
運んだ? 持って帰ったの?
しばらくすると先輩が出てきた。シャツにショートパンツのラフな格好だがスラッとしてる先輩にはよく似合ってる。
「先輩、突然押しかけてすいません」
「あー、うん、ひとみっち辺りが来るかなとは思ってたけどここまでできるとは予想外だったよ」
その節は誠にすいません。でも、先輩が辞めるって、クビになるってそんなの納得出来るわけないじゃないですか!
「それで、聞かせて貰えませんか? 何があったのか。仕事辞めて結婚も取りやめにするなんて普通じゃないですよ?」
「ああ、うん、でも豊さんのためには仕方ないんだよ」
「えっ?」
それから先輩はハロウィンの夜にあった出来事を語ってくれた。
名札をつけていれば市内の小中学生なら無料で入れる某遊園地兼動物園でのハロウィンデーイベントに参加するために二人で出かけたそうな。
巨大迷路やコスプレイベントなど幾つもの催しがあり、二人は程よくイベントを楽しんだ。
最後のダンスパーティの前に喉が渇いたので豊さんが飲み物を買ってくれる為に売店に行った時に事件は起きた。
先輩が男二人組に絡まれたというのだ。一人で待っていたのが目立ったらしい。彼氏が居るからと言っても退いてくれず困っていた所に豊さんが戻ってきた。
まあこの辺りから「豊さんがいかにかっこいいか」という半ば惚気のようなベタ褒めモードが続いたんだけど、楓ちゃん大丈夫かなって思ったら嬉しそうに何度も頷いていた。そうだった、この子ブラコンだわ。
それでなんだかんだで豊さんが二人を追っ払ってたんだけど、その際についつい殴っちゃったらしい.......先輩が。
それでそのまま逃げたんだけど話はそれで終わらなかった。
その二人が厄介な奴らで先輩達は出口で待ち伏せされたのだった。




