170:まねかれざる訪問者(でも紳士)
何気に葵さんがパワーアップしてますが、二人をしつけるためには仕方なかったんや(笑)
「突然お邪魔してすいません」
青龍王さんは恐縮しながら頭を下げた。
「あ、いえ、構いませんけど……一先ず上がってください」
「そうですか? それでは失礼します」
身長は二メートル超えてるし、体格もがっしりしてるけど不思議と威圧感は無い。どこから見てもエリートサラリーマンって感じの人だ。
「ああ、この姿ですか? これは人化した時の仕事関係で使ってるんですよ」
「仕事……ですか?」
「私、こういう仕事をしておりまして」
名刺をもらった。えーと、なになに? 総合商社……これ最近日本に進出してきたっていう香港の新興企業だ。しかも支社長。
イケメンでお金持ってて腰が低い。ああ、これでドラゴンじゃなけりゃ優良物件なのに。
「あっ、父上!」
部屋から やせい の 晶龍君 がとびだしてきた!
「おお、本当に晶龍だ。久しぶりだなあ」
「助けてくれよ、そこのハイエルフに酷い目にあわされて……父上なら何とかできるだろ?」
失礼な。そんな酷い目には……凍らせたり重力波食らわせたり……まあでもしつけ、しつけだから!
「こらこら、これからお世話になろうって方にその様な口を利くんじゃないよ」
「え……?」
晶龍君の顔が絶望に染まった。
「お前がワタツミ様の罰から逃れたと聞いてワタツミ様は処刑するようにと仰ってたのだが……こちらのハイエルフのお嬢さんの魔力を感じとったようで任せようということになったのだ」
えー、なにそれ。つまり、私の存在がそのワタツミさんとやらに知られてるってこと? まあワタツミって言ったら海の神様だもんね。神様ずるい。
「そんなんで良いんですか?」
「もちろんです。実際に確認に来て大丈夫だと確信しました」
「そ、そりゃねーよ! どうにかなんねーのかよ!」
晶龍君の叫びに青龍王は首を振った。
「ここで学ばぬ道もある」
「じゃあそっちで……」
「ただし、その場合は刑期を勝手に縮めた罰としてワタツミ様に断罪される事になるのだが……」
「父上、俺、ここで頑張るよ!」
という事であっという間に正式な保護者の許可が取れてしまった。
とりあえず学校に行く旨とブランちゃんの紹介をした。
「ふむ、童話世界からの来訪とは興味深い」
「おじ様、素敵な方ね。私はブラン。白の女王です。お見知り置きを」
「おやおや、これは立派なレディだ。見たところうちの息子とあまり歳は変わらなそうだね」
あー、でも、この子百歳超えてるんだよね……あっ、そう言えば晶龍君も封印されてたんだから同じ様なものかも。
「アンタには勿体ないパパじゃない」
「なんだと!」
二人はギャーギャー言い合ってる。あれくらいなら単なる子どもの喧嘩だし可愛いものだ。葵さんだって……あれ、葵さん?
「あなたがウチの子の先生ですか? お美しい人ですね」
「えっ? あ、その、ありがとうございます……」
うぉい! 私の時はそんなセリフなかったぞ?
胸か? 胸なのか? いや、確かに葵さんは美人だけど!
「これを差し上げましょう」
「これは?」
青龍王は葵さんに小さなペンダントを渡した。結構綺麗な石がついている。
「少し小さいがこれは龍玉ですよ。私の力の一部が入っているので良かったら使ってください」
「はあ、ありがとうございます……」
いまいち分かってないようだけど、龍の力って天候操作とか水流操作とか? そんなの人間に渡して大丈夫なのかな?
と思って聞いてみた。
「ハイエルフがそこに居るのに今更ではありませんか?」
だってさ。ごもっとも。




