169:スピニングドラゴン
何とか東海青龍王までたどり着きました。あ、始兄さんとはなんの関係もありません()
「まあまあ、可愛らしい子ね」
晶龍君を預ける為にママの所へ。ビショップさんとお茶してたみたい。いいなあ。
「なんだ? このババア」
今、なんつった? ……いや、確かに小学生からしたらそうかもしれないし、ママも気にしてないみたいだから……ガマンガマン。
「今日からあなたもうちで暮らすのよ」
「知らねえよ、俺は俺で好きにやらせてもらうぜ。文句あるか?」
あるに決まってんでしょうがあ!
晶龍君の頭上にカミナリが落ちた。物理的に。
「なっ、何すんだ!」
「何って? しつけよ、し・つ・け!」
ママに向かってなんて暴言を……これはちゃんとしつけられなかった私の責任だ。きちんとしなくては……
歳上に対する礼儀をきちんと教えないと。
「しつけぇ? なんでそんなもん今更……」
「このおバカ! 早く謝るのです!」
「これでも俺は竜王だぞ。単なる人間に頭を下げられる訳ないだろ!」
やれやれ仕方ない。それじゃあ頭の下げ方から教えないとね。
「いい? 目上の人の前では挨拶の時は頭を下げるの。分かる?」
「だから俺は」
「頭が高い。グラビトン」
「あがっ!?」
重力をかけて無理矢理頭を下ろさせる。
「最初の挨拶は自己紹介とよろしくお願いしますって言うだけだから。さあ、言ってごらん」
「だっ、誰が……ぐぅっ」
言うことを聞きそうに無いので重力を強めた。まあ頭が潰れるとかいうこともないでしょ。まがりなりにも竜王なんだし。
「聞かないんならそのまま這いつくばって反省しなさい」
「ひ、ひとみさん? ちょっとやりすぎでは?」
「葵さん。こういうのは最初が肝心なんですよ。だから遠慮する気はありませんから」
そりゃそうだ。ママに危害を加えるかもしれない可能性は潰さないといけない。もう少し強くしても……
「あが、あがががが……」
「ひとみん! 喋れてない、喋れてないから!」
「根性出せば行けるでしょ。ほら、何とか言いなさいよ」
より一層重力を強めようとした。
「はい、そこまでよ、ひとみ」
「ママ?」
「こんな小さな子にそんな事しちゃダメでしょ?」
「……はい、ママ。ごめんなさい」
そう言うとママは晶龍君の所にしゃがみ込んだ。
「大丈夫だった? もう痛くないかしら?」
「う、うわぁーん!」
柔らかく包み込むママに抱かれて晶龍君はわんわん泣いたのだった。
ひとしきり泣いたあと、驚く程素直にママの言うことを聞くようになった。うーん、やっぱりママは凄いなあ。
その夜、食事の支度をしていると玄関のチャイムが鳴った。パパかな? でもパパは帰るとしたらもう帰って来てるだろうし、チャイムも鳴らさない。一体誰だろう?
「はーい」
ママは手が離せそうに無いので私が出る。すると、そこには黒いスーツ姿の偉丈夫が居た。
「あの、どちら様でしょうか?」
「ああ、すみません。こちらにうちの息子がお世話になってると聞きまして」
息子? なんの事だろう。この家の中で今オスは晶龍君だけだ。消去法でいけば息子というのは晶龍君という事になる。
ん? 晶龍君の父親? それって確か東海青龍王とか言ってなかった?
「自己紹介が遅れました。私は東海青龍王、敖広と申します」
って、マジモンの竜王? しかも名刺出されたよ! 腰低いなこの人。あ、いや、龍か。




