158:名誉に値段はつけられない
パソコンのある部屋にブラやパンツが落ちてる!
なんでだろう。ふしぎだなあ(棒)
無事誘拐に成功した私たち。その私が今何をやっているかと言うと……
「またこんなに散らかして……いい加減ゴミくらい自分でまとめてよ」
「えー、いいじゃーん。ひとみんが来てくれるんだしー」
「私をあてにすんなって言ってんの!」
お掃除である。ハルのお部屋のお掃除である。お部屋というか汚部屋だけど。なんで一週間かそこらでここまで散らかせるんだか。
フローリングの床の上にコンビニ弁当の空がいくつも転がっている。あと、ペットボトルも空のやつが何本も。服は脱ぎ散らかしてるしスナック菓子は開封したままで中身が湿気てるし……
とりあえずいつものように空気の入れ替えやら丸洗いやらなんやらやって完了。こうでもしないと坂本さんたちが入れないのよね。
「お、お邪魔します」
「なんだ、こりゃあ……」
坂本さんと黒木さんが入って来た。ハルは「男を入れたくない」と渋ってたけど拝み倒してOKしてもらった。代わりになんか一つだけわがまま聞くことになったんだけど……この部屋片付けたのと相殺でも良くない?
「コンピュータルームには入らないでねー。あ、ひとみん以外は」
ハルのトレードによる資産形成の全てが組み込まれているコンピュータルーム。最初はノートパソコンだったのがだんだん稼げる様になって買い換えられていって今は四台ぐらい連結してるらしい。そんなに沢山どうすんだよ。
私が入れるのはお掃除とお洗濯の為。何しろ服が投げ捨てられてたりするのだ。時々ブラとかパンツまで落ちてるんだけどなんでだよ。風呂場で脱げ。
コンピュータルームの外にモニターがつけてあって通話が出来るようになってる。いきなり入るのもなんだからと私が着けさせた。とりあえずハルにはコンピュータルームにスタンバイしてもらって私たちは隣の部屋で今後の事を話す。
「えーと、先に西郷氏の方からいきましょう。会社内で失脚させるんですよね?」
「大丈夫だ。既に渡りはつけてある。今晩会う手筈になってる。ちょうど次期社長の椅子を狙ってるライバルが居るみたいだからそっちに話を持って行けば直ぐだろう」
「じゃあそっちはお願いします。近藤氏は……ハル?」
モニターが点ってハルが顔を出した。
「はいはーい。任せてー。準備万端。いつでもTOB仕掛けられるよー。別名義で三十パーセントは抑えてあるからー取締役会に人を送り込む事なら出来るしー」
「いけそう?」
「四十パーセント載せでプレミア価格付けたからー応募はすぐあると思うよー。会社愛とかあれば別だけどー」
「分かった。それでお願い」
「ほいほーい。まー指示出す社長がここに居るからー、失敗する方が難しいと思うけどー、経営権取ったらお知らせするねー」
こういう時は頼もしい限りだ。物理的に会社潰そうかと思ったけど従業員の皆様のご迷惑になるものね。あと、大事な預金者でもある事だし。
「じゃあその二件が終わったら二人の処分は坂本さんにお任せしますね」
「はい。……なんかトントン拍子に話が進んでいる気がするんですがこんな都合のいい事起こるもんなんですねかね?」
「大丈夫、夢じゃありません。これも人の縁ですよ」
まあ執念で旅行に無理矢理参加してしかもあんな行動に出なければ私だってこんな事はしてないんだ。あの二人には個人的な恨みもあるし、坂本さんは旅行の時には私の事を気にかけてくれたからね。鶴の恩返しならぬエルフの恩返しだよ。恨みは倍返しだけど!




