155:帰らぬ者と、待ち続けた者たち
捕獲までかかりましたが西郷氏捕獲です。
近藤夫妻を捕らえたあと廃工場まで運んでもらってそのまま監禁。次は西郷夫妻だ。
西郷の旦那さんはちょっと厄介。何しろ警備会社だけにセキュリティかとても厳しい。内部犯ならまだいけるだろうけど。こういう所は内部はゆるゆるだったりするからね。
という訳で上手く誘き出さないといけない。いやまあ魔法使えばなんとでもなるんだけど坂本さんいるからなあ。
ここは様子見かな?
そう言えばハルと話した時に「困った時にこの封筒を開くように」って貰ったんだけど何なのかな、これ。
ハルは二つ返事で手伝うって言ってくれたけどとりあえず一人で大丈夫と断った。そしたらハルはハルでやることがあるって篭ってるみたい。
何が入って……をい。
なんてものを……まあ助かるけど。ともかく突撃だ。
「こんにちは。西郷さんという方はいらっしゃいますか?」
「西郷常務ですか? あの、すいませんがどのようなご要件でしょうか?」
「ウチのホームセキュリティの検討をしていまして近藤さんに相談したら西郷さんを紹介していただいたんです」
「あの、アポイントがないのでしたら後日改めて……」
「お礼も用意しているのですけど」
そう言って私は封筒の中身を取り出した。一億円の小切手。それもウチみたいなちゃちい所じゃなくてメガバンクの一角だ。
「しょ、少々お待ちください」
受付の人が連絡を取って二、三やりとりしていたがやがて「お会いになるそうです」と通してくれた。
応接室に行くと高そうなソファにがっしりした体格のボディガードらしき人間を連れてこれまたガタイのいいオッサンが入ってきた。
「はじめまして、西郷です。こいつはボディガードでしてね。同席をお許しください」
「霜月と申します。こちらは秘書です。今日はよろしくお願いします」
握手するとがっしりした感覚があった。かなり鍛えてるみたいだ。坂本さんと一緒に席に着く。
「ホームセキュリティをお考えとか。失礼ですがどのようなお仕事を?」
「はい、株を少々……」
「なるほど。で、おいくら位を考えていらっしゃいますか?」
「そうですね……相場が分からないのですがいいものでしたら金に糸目をつけるつもりはありません」
ここでもう一度一億円の小切手をドヤァ!
「で、でしたら一度見積もらせていただけますか?」
「はい、構いませんけど、あまり人を入れたくないのでボディガードの方には御遠慮いただきたいんですが」
その言葉に少し躊躇したのだろうか。考え込んでいた様だがこちらがうら若き女性二人ということも功を奏したのであろう。
「……わかりました」
と承諾してくれた。タクシーで向かったのは……ウチじゃなくてハルの所。ウチじゃすぐバレるからね。
こういう事になっちゃったのはボディガードの車が着いてきてたから。今も下で待ってる。
エレベーターをハルの階より一階下で降りる。ワンフロア丸々部屋なんだよね。そしてこの部屋はハルが「いつ来てくれてもいいよ」ってくれた部屋。いらないって言ったけどさっきの一億円の小切手と一緒にカードキーが入ってた。助かったっちゃ助かったけど前に見た時より家具が充実してるんだけど……
「これは……確かに必要ですね」
「ご自由にご覧になってください」
西郷氏はデジカメを取り出して色んな所の撮影を始めた。
私はスタンガンのスイッチを入れる振りして「サンダー」ってやった。まあ死なない程度には加減したから大丈夫じゃないかな?
あとは運ぶだけだけど下の人たちどうしようか。




