153:心に棲むオニ
近藤氏お仕置き回その二です。次は奥さんの方を呼び出すよ!
「……俺も暇じゃないんだがな」
「まあまあ、一番の仕事は私の監視じゃないの?」
「そりゃそうなんだがノミ屋とか色々忙しいんだよ。カジノはどっかの誰かさんに潰されたからな」
という訳で黒木さんを呼び出して車と場所を用意してもらいました。場所は廃工場。人の居る場所からは離れてるから少々の物音でも大丈夫だそうで。……まあ物音はなんとでもなるけどね。
縛ったままの近藤氏を転がす。二、三回はねたのでそれなりにダメージはあるだろう。
「ふごー、ふごー」
なんかうるさいけど言いたいことは大体わかる。そのまま放置。
「うるせえな、ちょっと黙ってろ。こっちは大事な話してんだ」
黒木さんが懐から銃を取り出してつきつけた。
あ、坂本さんがちょっと怯えてる。
「大丈夫。あれ、モデルガンですよ。脅し用に用意してもらいました」
「あ、で、ですよね。いやだわ私ったら。本物の訳ないものね」
こそっと耳打ちすると安心した様に胸を撫で下ろした。
いやまあ多分本物だろうけどとりあえずそういう事にしておこう。
「よし、それじゃあお前の奥さんを呼んでもらおうか」
「ふぐっ、ふぐっ」
あ、まだ猿ぐつわかましたままだわ。とりあえず解いてあげよう。私だと噛みつかれると嫌だから黒木さんお願いね?
「お前ら、こんな事してタダで済むと思ってるのか? 今すぐ解放すれば見逃してやるぞ!」
まあ予想通りというかテンプレセリフで恥ずかしくないのかこいつは。まあいいや。黒木さんお願いします。
「おい、俺の顔は分かるな?」
「えっ? あっ、あんた関西の……」
「それ以上はストップだ。じゃあ御託並べないでここに奥さんを呼べ。余計な事を喋ると穴が増えるぞ。いや、流れた血の分は減るから痩せれるか」
「ひぃぃぃぃぃぃぃ」
涙目になりながら悲鳴をあげる近藤氏。
「あの、関西のってどういう……」
「あ、劇団員なんですよ。ほら、演技ですよ演技」
「はあ……」
「あ、あの、それなら縄を解いて貰えませんか? これじゃ電話も掛けられません」
「大丈夫だ。暗証番号さえ言えばかけるまでは俺がやってやる。どうだ?」
「……今の時間だとテニススクールに行っておって捕まらんと思うのですが」
「だとよ。どうする?」
黒木さんがこっちに振ってきた。私は懐からスタンガンを取り出した。護身用に売ってるやつだ。まあこれ、カモフラージュ用に買っておいただけなんだけどね。サンダーとかやった時のアリバイ工作のために。
適度にサンダー食らわしてやれば黒焦げになるまでには喋るでしょ。
と思って前に進もうとしたら声がかかった。
「待ってください! 私に、私にやらせてください!」
坂本さんが決意した様な目でこっちを見ていた。うん、危ないけどやらせてあげたい。お母さんの仇と言っても直接の被害を受けた相手なんだから。
「あの時とは……立場が逆ですね」
「お、おい、何をする気だ?」
「母の事を聞きに来た私を抑えつけて無理矢理……あれから何度死のうと思ったか。でも、母の仇をとるまではと我慢してきたわ。だからまず、貴方から!」
「や、やめろ、来るな、何をする!」
「くたばれ!」
ババババババババババババ……
「ぐぎゃっ」
スイッチオン、ワン、ツー、スリーで電流火花が身体を走った。チェンジはしないけどダメージは入ったみたいで痛そうに転がっていた。
それから何度も何度もスタンガンを食らってとうとう心が折れたらしく、連絡を取り始めた。




