147:あなたは生き残るべき人だ
途中気分が悪くなるかもな場所があるので苦手な人は指示通り読み飛ばしてください。
足が手すりに乗った。大した高さではないけど酔って寝ているのだ。大怪我するだろうし下手したら首の骨とか折って死んじゃうかもしれない。
理由を聞くのは後でいい。今は目の前の事に対処しないと!
近藤さんの身体が宙に舞う。私はダッシュで走る。バレるとまずいので手に重力緩和フィールドを展開。風の精霊で加速!
届け!
よし、何とかキャッチ。坂本さんと目が合った。
「あっ……」
坂本さんは脱兎のごとく逃げ出した。多分逃げ出してもどうにもならないことは分かってるんだろうけど本能が逃げる事を選択するんだろうね。逃がすわけにはいかないので風の精霊に追跡してもらう。
その間に酔いつぶれた近藤さんをお部屋に運ばないと……目を覚まさなくて良かった。
よし、じゃあ仕切り直しだ。坂本さんはどーこだ?
……鍾乳洞の辺り? なんでそんなとこに……嫌な予感がする。
風の精霊さんに緊急司令。生命の危険が見込まれる場合は直ちに拘束すること!それとブーストダッシュ!
風の精霊さんと火の精霊さんとの合わせ技。直線距離ならかなりの速さで進める。途中の障害物? 大丈夫、障害物がない高さでやってるから!
目的地近くに到着。坂本さんは……しっかり拘束されてた。
「なんで、どうして、動けないのっ?」
まあ風だから見た目には動けない理由が分からないんだよね。
「坂本さん」
「あなたは……霜月さん、だったわね」
「はい、そうです。ご無事そうで何よりです」
「無事に見えるかもしれないけど得体の知れないものに掴まれてて動けないのよ」
まあ私がやらせてるからそれは知ってるけど言う必要は無い。
「坂本さんはどうしてこの様な所に?」
「見てたんでしょう? 失敗したから自殺するだけよ」
「どうして……」
「近藤と西郷を殺すつもりだったからそれが終わったら死ぬつもりだったわ」
「あの二人が何をしたんですか?」
「あの二人は……母の仇なのよ」
そして坂本さんはポツリポツリと話してくれた。
〜気持ち悪くなる内容なので苦手な方は読み飛ばしください。二人に酷いことされたと考えて下されば大丈夫です〜
学生時代に二人が坂本さんのお母さんをいじめていたこと。いじめの内容は金銭的な物から精神的な物、そして肉体的な物。二人が取り巻きの男を使ってマワしていたらしい。
卒業して疎遠になり忘れようとして結婚した事。結婚しても怖くて夫に触れられなかったが夫が優しかった為に回復して自分が産まれたこと。
しばらくは幸せだったのに街でばったり会って昔の写真や映像をネタにゆすられた事。段々エスカレートしていって売春までやらされた事。父親のわからない子供を身ごもった事。夫にバラされて離婚させられた事。夫の親から売女と罵られた事。全てに絶望して自殺を決意した事。
学校から帰って来たら梁から母親がぶら下がっていたそうだ。全ての理由を当時の母親の日記を見つけて自分が知った。そして遺書にはひたすら「ごめんなさい」と自分に宛てた謝罪が書いてあったと。
〜ここからお読みください。多分内容的には分かると思います。〜
そして、復讐を決意した事。その為にわざわざこの旅行の事を調べて申し込んだそうな。
いや、さすがに絶句だよ!
でも、旅行でそんな事して欲しくない。坂本さんは気遣いの出来る優しい人だと思う。だからこそそんな事させちゃダメだ。
……それにしてもあの二人、そんな人なのか。旅行中にやられるのは困るから帰ったら相談に乗るという事でその場はおさめた。
そんな話聞いたら何とかしてあげたいもんね。




