144:崩壊のカウント・ダウン
シリーズ最強の敵が今ここに!(笑)
はい、とーちゃーく!
道中何事も無く着けたよ。うん、眠らせてただけだけどね!
「みなさーん、こちらが今日の宿泊場所になりまーす。荷物を部屋に置いたら後は食事時間まで自由行動になります。お部屋分けは名簿にありますのでそちらをご覧下さーい」
「あのー、ちょっといいかしら?」
「あ、はい、なんでしょうか?」
「私、一人部屋がいいんだけど」
「いえ、今回の旅行では一人部屋は特別な理由が無い限りは……」
「はあ? 私は特別じゃないって言うの?」
来たよ!
押しの強いオバサマ!
私が若いと思って無理が通ると思ってるな?
舐められてたまるもんか。
こちとらゾクのリーダーやヤクザの大親分にも一歩も引けを取らずに……
「それで、どうなの?」
引けを取らずに……
「ちょっと、早くして貰えないかしら?」
「ワガママが通るなら私も一人部屋がいいわ」
「ちょっと、なんで私が近藤さんの所の奥さんと同じ部屋なの?」
「あなた、私と同じで不都合でもあるって仰りたいの?」
「当たり前じゃない。あなたこの前の旅行の時に……」
取ら……
「だいたい一人だけ特別扱いとかある訳ないでしょうが。それなら私の方が相応しいわよ」
「言ったわね、あなたのどこが相応しいのよ」
「ウチはたっぷり預金も融資もしてるもの」
「そんなのウチだってそうよ」
「あなたの所の旦那さん、そう言えばこないだ若い女と一緒に居たわね。あなた浮気されてるんじゃないの?」
「お生憎様、そんなんじゃないわよ。あなたの方こそ旦那さんの帰りが遅いって愚痴ってるそうじゃない。案外ほかに女がいるのかもよ?」
「ウチの旦那は仕事が忙しいのよ。どこぞの給料泥棒と違って」
「誰が給料泥棒よ!」
待って、待って、待ってぇ……それ以上は戦争だから、やめてください、お願いします。
あ、部屋変更します。変更しますからよろしくお願いします。はい、一番遠い部屋です。なるべく鉢合わせしない様に……
……疲れた。まだ着いたばかりなんですけど。ぐったりしてたら冷たいものがほっぺたを襲った。
「うひゃっ」
「お疲れ様」
牧野さんが缶コーヒー片手にそこに居た。冷たいです。
「ここ、いいかしら?」
「あ、はい。どうぞ」
「早速やらかしたわね」
「はい、なんか物凄いですね」
「あの二人は毎回そうなのよ。近藤さんと西郷さん」
化粧が濃いのが近藤さんででっぷりした方が西郷さんらしい。怪獣大戦争だ。
「どちらもそれぞれの地区での一番の大口でね、取り巻きも居るみたいなのよ」
「普通取り巻きと一緒の部屋とかにしません?」
「去年まで担当してくれた本部の子が引き継ぎ無しに辞めちゃったらしくてね。なんか適当に配置したらしいわ。名目が親睦だから違う支店の人が交ざるように配置したそうよ」
「それは……混乱しか起こらない気がしますね」
修学旅行でさえそんな事したら喧嘩になりそうなのにワガマママダム達が大人しくしてるとでも思うのかしら……割を食うのはいつも現場だよ。
「だから、とりあえずこの旅行の間は頑張ってちょうだい」
「え?」
どういう事なの?
「だって、あなたが機転を利かせて部屋の変更しちゃったじゃない? だったら今後もあの二人はあなたに文句や注文を言ってくるわよ。だって一度言ってるから言いやすくなってるもの」
……しまった!
いや、その可能性はあると思ってはいたんだけど、あの状況じゃ仕方ないじゃない?
あー、なんか疲れた。お風呂入ってこよう。




