136:踏みだす一歩(早まるな)
ロリとJKがお姉様を取り合う……響きだけ聞くととてもいいものに思えます(笑)
迎えの車に乗って澪ちゃんちへ。相変わらずの大きな御屋敷である。
「まあまあの離宮ですね」
ブランちゃん的には気に入ったらしい。
「何しろさっきの家と来たらウサギ小屋よりも狭くてなんの拷問かと思ったものね」
悪かったな、これが日本の住宅事情だよ! というか都会に比べればだいぶマシなんだぞ!
一人憤る私をおいてみんなが玄関に向かう。ギギイと扉が開いて澪ちゃんが姿を表した。
「お待ちしておりましたわ、女王様」
メイドと執事を左右に並べてこれ見よがしに押し付ける。
「む、ならば、出でよ、ポーン隊!」
ズラズラと召喚されるポーンたち。……八体だけじゃないんだ。
そしてポーン隊はブランちゃんを護るように壁を作る。
「女王様に対する威嚇行為、宣戦布告と受け取りました。ならば雌雄を決してこの場の主人が誰か決めましょう。世界征服の足掛かりにこの屋敷を拠点とするのも悪くありません」
うわっ、ビショップさん喧嘩っ早っ。向こうでもこんなふうにしてたのかね?
まあ最終目的が世界征服というなら「イチャモンつけて戦争に持ち込む」ってのは悪くない。というか彼我の戦力差とか考えないで宣戦布告してたみたいだけど理性割りとすぐ飛んじゃうタイプ?
「はあ? 世界征服は私が卒業したらお姉様と一緒にやるに決まってるじゃないですか! 邪魔するんじゃないですわ!」
聞いてない、聞いてないよそんな事!
かたや、鏡の国で戦争を経験してきた歴戦のポーン。
かたや、澪ちゃんの近侍として色んなことを身につけた子飼いの忍び。
まともにぶつかればタダでは済まない。
まともにぶつかれば、だ。
「はいはい、とりあえずブランちゃん、ポーン引っ込めて。この子は敵じゃないわ」
「でも、こんなに兵隊が……」
「戦闘力高そうだけどあれはちゃんと身の回りのお世話をするメイドや執事だから」
「そう言われても……」
「中でお菓子が待ってるわよ」
「わかった!」
こっちはこれでよし。じゃあ次は澪ちゃんだ。
「澪ちゃん?」
「なんでしょうお姉様」
「あまりそんな威圧感たっぷりで見ないでくれるかな?」
「だって、私の知らないところでお姉様とイチャイチャしてたと思いますとこう、つい……」
「言い訳はいいわ。その代わり、さっきの卒業後の事についてゆっくり話をする機会が欲しいわね」
「もちろんです。ちゃんと計画は作成中ですのでお姉様の意見を採り入れて……」
「中止、ね?」
「ええー、そんなぁー」
「私はあなたたちが居ればそれだけでいいから」
「!! わかりました。プロジェクトは全て破棄します!」
とりあえず世界の平和は守られたらしい。ビショップさんも我に返ったらしく「ついカッとなって」と言ってた。そんなだから行き遅……憶測でものを言ってはいけない(戒め)
みんなで中に入ると葵さんが待機してくれてた。ああ、癒される。楓ちゃんは何やらバタバタしてる。どうやら助手役の様だ。
楓ちゃんがホワイトボードを引っ張ってきて解説スタート。あっ、そうだ。
「そういえば二人とも会話はできるみたいだけど文字は読めるの?」
「ええ、私たちの物語を翻訳してる言語があるなら理解可能なんです」
便利だなあ。まあそれならいいや。ブランちゃんはさっきからクッキーに夢中。クッキークリッカーかってくらい沢山焼いててビックリした。
ビショップはメモを片手に聞く姿勢。もう完璧にキャリアウーマンだ。




