135:誰がための秩序
事態を鎮めるためにハルを呼ぶのは逆効果だと作者は思うのです(笑)
「それいいじゃん!」
私は静かに彼女にスリーパーホールドをチョーク気味にかけた。
「あ、ひとみんの体温気持ちいいじゃなくてギブ、ギブ、しまってる、本気でしまってるから!」
当ててんのよ、ならぬ絞めてんのよと言いたかったがそれは置いといて
「なんのために呼んだか分かってるの、ハル?」
「えーと、世界征服の手伝いをするため?」
「ちっがーう!」
ブランちゃんとビショップはハルの買ってきたモンブランを食べてる。ブランちゃんはモンブランを見た時すごく微妙な顔をしたが口に入れた途端に顔をだらしなく緩ませて頬張った。いや、食べてる姿は可愛いのだけどね。
「ねえ、なんでそこでケンカしてるの?」
「そうですよ、お二人共。ケーキがなくなってしまいますよ」
「……私もハルも要らないから大人しく食べてて」
「えー、私は食べた……」
「要らないよね、ハル?」
「…………はい、要りません」
スリーパーホールドの状態でそのまま台所へ。
「ハル、よく聞いてちょうだい」
「なーにー?」
「私は平穏に暮らしたいの、分かる?」
「わかるよー」
「だから世界征服とか支配とか全く興味なくてむしろ迷惑なの」
「えー?」
「普通の一般市民でいいのよ、私は」
「でもさ、葵さんや楓ちゃんはともかく、私や澪ちゃんがいる時点でもう一般市民とはだいぶかけはなれてると思うよ」
いや、まあ、そう言われればそうなんだけど。
「私はひとみんを養ったり好きな事を好きなだけする為にお金殖やしてるからいつでもおっけーなんだけどー?」
「何がだ?」
「澪ちゃんだって「お姉様のためなら何でもしますわ」って感じだし」
「うっ」
「楓ちゃんだって葵さんだってひとみんの事かなり好きだから全力で力貸してくれると思うよ」
あー、うん、否定できない。
「だからさ、怖がらなくていいよ。私たちがついてるんだもん。足りないところはみんなで補えばいいよ。勇気をだして一歩目を踏み出そうよ。そうすれば、きっと、上手くいく」
なんかいい話っぽく言ってるけど、進めてるのは世界征服っていうね。
私は意を決してハルの手をぎゅっと握った。
「ハル」
「ひとみん……」
「止める気ないならもう掃除も洗濯もしないから」
「私が悪うございましたー!」
全力の土下座を見た。
「で、ブランちゃんを止めたいんだけどどうしたらいいのか……」
「うーん、真面目な話、この世界の事を知ってもらうことからじゃないかな?」
「優しく教えてくれそうなのは……葵さんかなあ」
「場所は澪ちゃんちがいいだろうね。毎度の事だけど。うちよりは集まりやすいだろうし」
という訳で澪ちゃんに連絡。電話にワンコールが鳴ることもなく出られたのは凄まじいと思いました。私専用の回線でも引いてるの?
「そういう事でしたら是非。葵さんもおりますし楓も何かの役に立つかも知れませんから」
「あ、ひどー」
電話の向こうで少し怒ったような楓ちゃんの声も聞こえた。
「ならそっちに行くね。あ、晩御飯の用意しといて。……おやつ多めで」
「かしこまりましたわ」
準備は出来たのでブランちゃんを呼びに行く。モンブランはもう食べきったらしくフォークを口にくわえてぶらぶらと足をぶら下げている。
モンブラン食べたブランちゃんが足をぶらんぶらん……
疲れてるのかな、私?
「あ、ひとみ、いつ侵攻するの?」
私を認めたブランちゃんが満面の笑みを浮かべている。うん、可愛さは抜群だね。
「説明したいからとりあえず一緒に来てもらえる?」
「どこ行くのよ?」
「えーとね、お菓子が沢山ある場所かな」
「行くわ!」
秒で返された。やはりリーダーに必要なのはこの即断即決力なんだろうか……




