127:軌跡の交叉
今回はクイズ大会です。作者はクイズ好きなのです。
「よくぞここまでたどり着いた。褒めて遣わす!」
なんか色々あったけどここが最終ステージなのよね。よし、問題は足し算とか引き算とかだよね。礼儀作法は……日本と同じなわけがないからパスだよね。
「今からわらわがそなたに質問をする。十問中七問連続で答えることが出来たら女王になる資格をやろう。良いか?」
「分かりました。受けてたちましょう。算数でもなんでもドンと来いよ」
まあ原作は読んでるし、楽勝でしょう。一足す一足す一足す一足す一足す一足す一足す一足す一足す一足す一足す一はいくつ? 十二だよ! よし、完璧。
「では第一問。三次元空間と一次元の時間の中で、初期速度を与えると、ナビエ–ストークス方程式の解となる速度ベクトル場と圧力のスカラー場が存在して、双方とも滑らかで大域的に定義されるか?」
未解決のミレニアム懸賞問題やんけ! 無理じゃボケー!
「えーと、ナビ……何?」
ハルの目がぐるぐるしてて楓ちゃんはオーバーヒートしてる。このレベルが続いたら無理だよ!
「時間切れじゃな。では、第二問」
さすがにこのままだとまずい。
「「マスカットフレーバー」と呼ばれる香りのものが最高級とされる紅茶の銘柄はなんじゃ?」
マスカット? えーと、なんだっけ?
「ダージリン、ですわ」
「澪ちゃん!」
「お手伝いしますわお姉様。一緒に頑張りましょう」
「ありがとう。よし、やるよ!」
赤の女王は余裕の笑みを浮かべていた。
「よかろう。第三問。男の子が母親に愛情を抱き無意識的に父を憎む感情はエディプス・コンプレックスというが母親が息子に愛情を抱く感情は何コンプレックス?」
えっ? 何それ? マザコンじゃないの? いや、逆か。ショタコンとは違うだろうし、えーと、えーと……
「パイドラー・コンプレックスです」
葵さん!
「同人誌で母子ネタをやる時に調べたんですよ」
嬉しそうに胸を張る。えーと、その本18禁とかじゃないよね?
「正解じゃ。では第四問。イングランド北西部のランカシャー地方で炭鉱夫たちによって考案されたプロレスの源流とも言われている格闘技は?」
格闘技って……そんなの知らないんだけど。あ、楓ちゃん?
「はいはいはい! きゃっちあずきゃっちきゃん!」
ナニソレ? 早口言葉?
「正解じゃ。では第五問。月にパネルを設置して太陽光発電を行おうというプロジェクトは何構想じゃ?」
月にパネル……サテライトキャノ(以下略)
「あー、ルナリング構想ねー、株主へのー説明資料に載ってたー」
まさかのハルにまで! まずい、私の立場がこのままではすっからかんだよ! 次こそは!
「じゃあ第六問。オリオンの三ツ星……」
「アルニラム、アルニタク、ミンタカ!」
「第七問。Rh式血液型の「Rh」の……」
「アカゲザル!」
よし、連続正解!
「とうとう最後じゃな。第八問」
額に流れる汗を拭きながら私は早押しボタンに手を掛けた。
「わらわがこの後食べようと戸棚に隠したケーキはなんというケーキじゃ?」
……………………わかるか!
「あなたも大変みたいですね」
白の女王様が口をもぐもぐ動かして言う。いや、食べながらじゃなくて口の中にあるものを飲み込んでか……ら……
「白の女王様、何をお食べになってるのですか?」
ガクガクと揺さぶる。
「え? ああ、戸棚の中に入っておったモンブランを……」
ピキッと言う音が赤の女王から聞こえた気がした。
「白の女王? もう一度言ってごらん? 何を食べているって?」
「ああ、姉様、これは戸棚にあったおや……つ……を……あの、もしかして、もしかしなくても、これって、つまり、姉様のおやつですか?」
「何してくれとんじゃーーーーー!」
赤の女王が憤怒に包まれてその身を焦がした。




