TYA:仲直り
Ten Years After、これで終わりです。
「だそうですよ、ブラン」
ひっ、いきなりこっちに豪速球投げてこないでください、葵先生!
「は? え? なん? ブランおるん?」
あからさまに挙動不審になった晶龍を少し眺めてみたくはなりましたが、呼ばれたら仕方ない。私はドアを開けて部屋の中に入っていきました。ううっ、なんというかバツが悪い。
「なあ、ブラン、オレ、なんかお前にしたか?」
「あ、いや、その、別に.......」
いや、だって告白覗いてたとか言えるわけないじゃないですか! そんな、浅ましい真似.......ううっ。
「なんかごめん。そんな事してないつもりじゃけどブランが怒っちょるんなら多分オレが悪いんじゃろうけえ謝るわ」
「何も悪くないから謝らないでください。私が悪いんですよう」
晶龍に謝られると罪悪感半端ないですね。こんなのどっちも苦しむだけでいい事ないです。何より、晶龍に、私に正直でいたい。
「実はね」
そう言って告白を「たまたま目撃」した事を話した。覗いたんじゃありません、たまたまだったんですよ!
「えー? そんなニュアンスだったんか?」
「なんで当事者のあなたよりもちょっと見ただけの私の方が詳しいんですか!」
「いや、だって腹減ってたし、あんま頭に入んないなって」
どうやらこいつ、頭の中はお昼ご飯の事でいっぱいで断片的にしか聞き取ってないと感じて脳内でセリフを補完していたらしい。自分の都合いい方に。
「勿体ないんじゃないですか? かなり可愛かったでしょう?」
「うーん、別に女は間に合ってるから良いんだよなあ」
「間に合ってるって.......ああ、確かにモテモテって話でしたもんね。女なんか選り取りみどりでしょうよ!」
胸の奥にモヤモヤした感情が生まれる。とても醜い。こんなの言いたくないのに。
「だから別に興味ねえって。だいたい、オレの嫁ってお前じゃん?」
「ひうっ!?」
葵先生が笑いを噛み殺している。なんつーメガトン級の爆弾を落としてくれてんの!
「だってさ、オレに付き合ってくれそうなのブランしか居ねえし、親父からも逃がすなって言われてるし」
東海青龍王様、グッジョブ!
「何より、自分の隣にブラン以外の奴が居るのが思い浮かばないんだよな。ほら、他の女だと戦闘の時役に立たねえし」
そうか。こいつバトルジャンキーだから嫁とか戦闘の役に立つかどうかで決めてるんだ。ほっとしたし、なんというか誇らしくもある。と言っても私の強さは駒に起因してるところが多いんですけど。いや、一応私も最強の駒であるクイーンなんですから戦えるのよ?
「それよりさ、腹減ったからなんか作ってくれよ」
「ここで? そりゃまあいいですけどどうせならうちにたまには帰って来なさいよ」
「帰るとママに甘えちまうからなあ。.......なあ、やっぱりママって呼ばなきゃダメ? お袋とか呼びたいんだけど」
「.......ひとみに許可貰って来たらどうですか?」
未だに最強なハイエルフのひとみ。多分晶龍と私が二人がかりでも五分はもつまい。いや、もたせたいところではある。
「無理じゃねーか。まあママの畑仕事もたまには手伝わねえとな。じゃあ帰ろうぜ、ブラン」
「はいはい」
そうして私はそっと晶龍と手を繋いだ。えっ? とかなっていた晶龍が少しおかしくて思わずクスリと笑ってしまいました。




