125:忘却のレクイエム
ちょっと短め。作者が目的を忘れかけてたなんてことはないですよ(汗)
王様と女王様に宥められ、グラビトンを解除して二体を正座させた。楓ちゃんはポカーンとしてたしハルは二体が出た時点で笑い転げてた。まあ気持ちは分からんでもない。
「して、お主らはまだ王冠巡って争っておったのかの?」
「王冠がふさわしいのは俺だ」
「いや、僕の方がふさわしい」
「いいや俺だ」
「いや僕だ」
「何を」
「何だと」
「あんたら、また潰すわよ」
今にも取っ組み合いの喧嘩になりそうだったので脅しかけたらすごすごと大人しくなった。そこに白の女王様がお茶入れて干しぶどうのケーキをと一緒に持ってきてくれた。このケーキ食べたかったんだよね。
「あっはっは。この二人が大人しくなるなんてあなた、本当にすごいのね。あなたが王様になる? いえ、女だから女王様ね」
「クイーンになって欲しいとは頼まれましたけどね」
「誰から?」
「赤の女王様から」
「……姉様、自分が強いからってなにやってんだか」
白の女王様が頭抱えてた。苦労人なのかな? まあ世の中の妹ってものは得てして苦労人ポジションだよね。楓ちゃんも澪ちゃんも妹のはずだけど特殊すぎて当てはまりそうにないけどね。
「うちの姉がご迷惑をお掛けしました」
深々と頭を下げる白の女王様。うん、なかなか礼儀正しい子だ。
「いや、私たちも目的のついでだから」
「目的?」
「ええ、お友達を探しに」
「あー、そーいえばそーだっけー」
「とりあえずハルは黙ってて」
「はーい」
干しぶどうのケーキを頬張りながらハルが返事をした。えーと、干しぶどうのケーキって事はそろそろか。
大きな太鼓の音。来るのが分かってたから準備はしておいた。
「シャットアウト」
私たちの周りに音を遮断する壁を作って周りの人を守る。結界の外では王様が耳を抑えてのたうち回っていた。そして、当然ライオンとユニコーンも。
ガシャーン、ドドーンなどと音がして砂埃が舞い、辺りがどんどん破壊されていった。こっちくんな。
「女王様、多分そろそろお別れです。また後で会いましょう」
「は?」
私の言葉が終わるや否や辺りが一面森になった。王様やユニコーン、ライオン、兵士達が消え、消え……あれ? 女王様着いてきてる?
「なんなの、一体?」
女王様は呆然としていた。これはあれか。シャットアウトしてたから女王様一緒に来ちゃったのね。まあどうせ最後で合流するんだしこのまま進んでも構わないよね?
鉄と鉄が擦れ合うような音が聞こえる。ん? 話し声もする。
「王手!」
真紅の甲冑を着た騎士が、おっきなこん棒をふりまわしながら、馬でパカパカとこっちにやってきた。よく見ると小脇に誰か抱えてる。あれは……澪ちゃん?
「この子が私の姫君だ!」
ちょっと呆然。私じゃなくて澪ちゃんかあ。まあ仕方ないかも。などと思ってたら別の声。
「王手!」
今度やってきたのは白の騎士でした。まあここまでは原作通り。原作と違うのは白の騎士も小脇に誰か抱えてるって事。賢明な方ならわかると思いますが、葵さんです。
「この子が僕の姫君だ!」
そして騎士二人は、なにも言わずにしばらくにらみあっていました。えーと、とりあえず今から何が始まるのかものすごく不安だわ。白の女王はなんかワクワクしてるし。




