特別編:闇に落ちる
勇者の闇落ち、そしてバトンタッチ。
迫ってくる炎の矢。ハルはそれに闇の矢を生み出してぶつけた。
「これが私の魔法の射手!」
関係者から怒られるからやめなさい。相手は国会議員やぞ?
闇の矢は炎の矢と相殺して消えた。本来相殺とかエネルギー保存則的にはありえない話でどこの格ゲーだよってんだけど、まあこの世界ではあるのかもなあ。
「消された……だと!?」
どうやら今までそんな事はなかったらしい。これはもしかしてハルの魔法って事か。
「私は悪い魔法使いだからねー。これくらいはしなくちゃねー」
それから何度も炎の矢を撃つが、全て闇の矢に阻まれる。弓兵はいい加減グロッキーだ。
「あ、終わり? じゃあしばらく眠っててねー」
と言って指を鳴らすと弓兵が氷に包まれた。おいおい、そんな所までやるんですか?
「ほら、吸血鬼と言えばこうじゃなきゃー」
帰ってきてそんな風に弁明したから頭にチョップかましといた。さて、それでは残るは勇者だ。本来なら三本勝負で二本先取したんだからもうやらなくていいとは思うんだけど、勇者の方が納得しないだろう。
「クソ、役立たずどもが! こうなった俺一人で全員片付けてやる!」
片付けれる実力なのかわからんけど、後はストラちゃんに任せるよ。ストラちゃん、勝てる?
「多分大丈夫だと思います。剣は気をつけないといけないと思いますが」
言われてみれば剣は禍々しい殺気を放っている。どう見ても聖剣とかそういう類のものでは無さそうだ。
二人が舞台に上がる。勇者はいらつきながら、ストラちゃんはリラックスした感じで相手を見てる。えん、大丈夫。ストラちゃんが万一負けたとしても私が何とかしてあげるからね。
「はじめ!」
最後の号令がかけられた。勇者は剣をおおきく振りかぶって地面に叩きつけた。すると、剣先から衝撃波がストラちゃんに向かって舞台を抉りながら向かっていく。
「うわっ」
間一髪で避けるストラちゃん。意表をつかれて戸惑っているようだ。遠いからって詠唱してたのが仇になったようだ。
「ほほう? 俺の咎人裁きを避けるとはなかなかだな」
「さすがにそんな見え見えなのには当たってあげないわよ」
「そうか? なら、これはどうだ? 闇の縛り手」
「なっ!?」
何本もの黒い手がストラちゃんを拘束していく。なんという禍々しい力。あれ、本当に勇者?
「信じられない。まさか闇の力だなんて」
「あんたもさっき使ってたじゃない」
「私のは光の魔法の2Pカラーだもーん」
どうやらさっきの闇の矢は光の矢だったようだ。なんでわざわざ黒くしたのか? その方が悪い魔法使いっぽいからだってさ。バカなの?
ともかく勇者フェイクは闇の力に落ちた様だ。絶対負けたくないという思いから力に手を出したのか、前からこうだったのかはわからない。でも戦うにつれ、その闇は大きくなっていった。
ストラちゃんは拘束されながらも手のひらから魔法を打ち出してフェイクを牽制していたが、徐々にその威力も弱まっていた。これは……魔力を吸われてるのかな?
やれやれこれは私とハルで何とかしないとなとか思っていたその時だった。
「闇の気配はここだか?」
バーンと扉を開いて入って来たのはトーマスとそのお連れ様御一行だった。楓ちゃんがこっちに手を振っているけど見なかったことにしよう。




