特別編:かくかくしかじか
書いてて特に必要無かったかも、なクッション回。流れ的には必要と思うんだけど。
「でも、なんでひとみんはこんな冒険者の真似事やってんのー?」
帰りの馬車に揺られながらハルとお話ししてる。
「せっかくこのファンタジーな世界に来てるんだからファンタジーな事したいじゃない」
「えー、うっそだー。むしろ面倒だからって避けるんじゃなーい?」
「……吸血鬼って聞いてあんたが思い浮かんだのよ」
「ひとみん!」
ほら、飛び付いてきた。おお、よしよし。ちょっと苦しいから力緩めてくれる?
「それでひとみんはお金とかどうしてるの? ほらほら、盗賊のお宝沢山あるから今お金持ちだよー」
なんでも盗賊のお宝の中にマジックバッグがあったらしくて、お宝が全部入ってもまだ余ったそうな。ここでも不労所得でひきこもるの?
「あー、私はここの商会の人を助けたからしばらくはそこの家にお世話になる事に」
「ええー、ひとみんも私と一緒に宿屋に泊まろうよー」
「いや、まあ宿屋はそのうちでいいかな。今夜はとりあえずその人の家に」
なんか訝しがってる感じだけど宿屋に泊まる金なんか無いからね。というか金自体無いんだけど。
そうこうしてる内に商業都市に辿り着いた。さらわれてきた女性たちはみんな保護されている。どうやらグレゴールさんが服を用意してくれた様だ。
「グレゴールさん、ただいま戻りました」
「おお、ヒトミ殿! やはり大丈夫でしたな」
「……あれ? おっさん?」
ハルがキョトンとしてる。大丈夫、グレゴールさんはただの飾りです。
「そちらの方は?」
「あー、その、話せば長くなるんですが、私の友人でして」
「ひとみんの嫁のハルでーす」
あ、バカ、ここでそんな事言っても仕方ないだろうが。ほら見ろ、グレゴールさんもその取り巻きもポカーンってしてる。
「砦に捕らえられて居たのですかな? 再会出来て何よりでした。良ければ一緒に家にお越しになられませんか?」
「え? いーんですかー? じゃー、お世話になりまーす」
人見知りの癖にちゃんと乗っかるのな。
「現実の人間とは違うと思ってるからねー。ほら。異世界だしー」
異世界飛ばされてコミュ障とか間違いなく死亡フラグだよね。そう考えれば良いのか。しかし、ハルも同じ屋敷なあ。
「おねーたん、おかえり!」
「アリスちゃんただいま!」
「そういうことかァーー!」
うるさいよ、ハル。私が幼女に弱いのは小さい頃から一緒に居るお前には分かってたんだろうが。
「おねーたん、この人だぁれ?」
「私はヒトミおねーたんのおくさんだよー」
「おくさんなのー? じゃあごはんつくったりするのー?」
「よし、そこまで言うなら作るしか」
「やめんか!」
異世界だからって地上にブラックホール出現させるのは良くないからな!
「さあ、中でお話を聞かせてください」
「ください」
グレゴールさんに促されて家の食堂でご飯を食べながら話をする。真似してるアリスちゃんは可愛い。
「さて、吸血鬼と盗賊なんですが、どの様になりましたかな?」
「実はこのハルなんですが、こいつが噂の吸血鬼です」
「魔物を連れて来たのですか!?」
「あ、いえ、こいつは悪い吸血鬼ではないんですよ。血も吸ったりしませんし」
その後一生懸命説明して何とか分かってもらった。だが、依頼が討伐である以上はギルドに行かなきゃいけないらしい。いや、別にギルドから依頼受けた訳じゃないんだけど。




