アフター4:夏コミ動乱記(前編)
なお、今年の夏コミの間は私は入院してました。
夏が来る。夏はとても忙しい。学校が夏休みに入っても働いてるお母さん方が夏休みという訳ではない。子どもが家にいる分、やる事が増えてしまうのだ。
うちの保育園では未就学児童が殆どだが、それとは別枠で小学生の受け入れもしている。と言ってもお昼ご飯と勉強出来る場所、そして勉強を見る先生を用意してるだけなのですけど。
そんな勉強出来る見る先生として頑張ってるのが私、文月葵です。いや、園長として忙しいと言えば忙しいのだけど、そっちの運営面はハルさんが任せて欲しいと頑張ってくれてる。……最初はハルさんにこそ勉強を見てもらおうと思ったけど二秒で却下された。
ひとみちゃんにもお願いはしたけど、金融機関も別に休みではないし、楓ちゃんや澪ちゃんは学校で受験対策だから無理なのよね。
「それで私が駆り出された訳ですか」
「頼りにしてますよ、ビショップさん」
そう、ブランちゃんの有能秘書、ビショップさんが手伝ってくれてます。ブランちゃんに手伝わせようと思ったんですが、「晶龍の宿題見張るのに忙しい」って断られました。まあそれも仕方ないかな。晶龍君、尻に敷かれてるよね?
そしてもう二人。皐月翠さんと卯月つかささんが助っ人として来ている。なお、これには山よりも高く海よりも深い理由があるのです。
ある日、私のお家につかささんが逃げて来ました。
「ホリックホック先生! 助けて!」
その切羽詰った様子に何事かと尋ねたら……夏コミの原稿が間に合わないとか言い出したのです。いえ、まあ、作家として気の毒に思いますし、頑張って欲しいところですが。どうやら私に出来ることはな……
「お願いします! 報酬は払いますのでアシスタントしてください!」
あの、私も忙しいんですけど。仕事してますし。なんというかほら、人手が足りなくて……
「みーつーけーたーでー」
「うひゃあ、翠ちゃん!?」
「原稿! お盆進行! 夏コミ原稿! 印刷所に迷惑かけんなや!」
「うわーん、ごめんなさーい」
翠さんの登場です。というか同人誌の方もスケジューリングしてあげてるのね。
「ホリックホック先生、不躾ですんませんが、つかさちゃんの原稿を手伝って貰えまへん?」
「あー、交換条件として私の仕事を手伝ってくれるなら」
「なんでもやらせてもらいます! 洗濯ですか? 掃除ですか? 料理ですか?」
「子供の世話です」
「はあ!? 既婚者子持ちやったんですか? でも、女同士やと孕まんのでは?」
という感じで昼間はうちでつかささんと翠さんが子供の世話、夕方以降は翠さんが家事で私がつかささんの原稿の手伝い、とちょっとハードワークなスケジュールとなったのでした。
翠さんも仕事あるだろうって? そこは夏コミ終わったら私の読み切り原稿を掲載するという事で話がついた。電話の向こうで編集長が「なんなら一ヶ月でも三ヶ月でも休んでていいぞ」とか言ってたらしい。
そんな訳で保育園業務はスムーズに。お盆の直前の期間だけ臨時で水無月の御屋敷のメイドさんをお願いした。ちょうど澪ちゃんたちがヨーロッパに行くんだって。
一方、原稿の方もネタはあったらしく二次創作本を二冊仕上げていた。あ、私もついでに一冊成人向けを仕上げて成人向けブースで売ってる知り合いの方に委託する事にしたのです。
さて、そんなこんなで迎えた夏コミ本番、会場には台風がやって来ていたのでした。




