アフター3:澪ちゃん全開
澪「え? もしかして一話で終わって次は楓ですの!?」
今度こそ、今度こそ私の番ですわ!
皆様、おはようからおやすみまでお姉様の暮らしを見つめる水無月澪ですわ! 誰ですの、ストーカーとか心ない事を仰ってるのは。私は、愛、故に!お姉様に危害が及ばないように観察……ピーピング……そう、見守っているだけなんですもの。
そんな私はお姉様と出会ったのはお兄様と会ってから。あの頃の私は柳の家を継ぐにはどうすればいいか、どうすればお母様を取り戻せるかとそんな事ばかり考えていました。
結局、お母様は取り戻すも何も好き勝手生きてまして、柳の家を継ぐ気も無くなったんですけど。いえ、お爺様が泣いて頼むなら継がないこともありませんが。その場合、婿養子を……いえ、お爺様は男なぞに可愛い孫娘をくれてやるものか!とか仰ってましたから大丈夫でしょう。
そういえばお爺様に好きな女性が居ると言った時には「女性なら問題ない。むしろどんどんやるのがええ」とか言ってましたし。その後、お姉様を紹介した訳ですけども……お顔が険しくなって居たのは覚えてますわ。
さて、その帰りですが、いつもなら子飼いの者が居るはずなのにその日はお兄様を警戒していたのでそっちに気を取られて反応が遅れたそうで。本来なら万死に値するとお爺様がカンカンだったのですが、私にとってはお姉様に出会ったきっかけの様なもの。感謝こそすれ謝罪など必要ありませんでしたわ。
あの時のお姉様のお姿、凛々しくて、素敵でしたわ。……その、ホッケーマスクはびっくりしましたけど。
それからすぐ楓のお兄さんの事で連絡を受けて……思えば楓と話す様になったのもお姉様のお陰ですわ。初めて会ったのは入学式の時でしたけど妙に目をひいていましたね。周りに友達が沢山いて私とは相容れないと思っていましたのに。どこをどう間違ったのかこんなに好きになってしまいました。
それでお姉様と接していると世界が広がって、楓とどんどん仲良くなって、いつの間にか私の周りにも何人もお友達が集まってくださいました。と言っても通り一遍の付き合いしかしておりませんが。
そうそう、私は水無月ですが、元々は柳というこの国の裏側に手を回せるくらいのフィクサーの家系なのです。もちろん何人も跡継ぎというかそういう候補がいる訳で、兄弟間で殺し合いというか蹴落とし合いをしていました。私も何人かのお兄様から生命を狙われていました。もちろん今はそんな事も無くなっておりますけど。私は継がないと宣言しましたから。
「よう、妹よ、兄さんを覚えてるか?」
「えーと、どの兄様でしょうか? 正直どんぐりの背比べ過ぎて分からないのですが」
「……恒河沙だ!」
「ああ、名前が気に入らなくてミリオンとか名乗ってるおマヌケお兄様ですの」
「お前……まあいい、その余裕も今のうちだ」
「なんですの? こっちは忙しいのですけど」
正直声を聞くのすらうんざりしてますけど、なにやら話したいことがある様子。聞かないと何度も電話が来てウザくなるかもしれません。
「お前の学校の友人を捕まえた。返して欲しければ交渉に応じろ」
バカですの!? うちの学校の生徒を攫った? 一応あんなところでもお嬢様学校ですわよ? 柳の力で揉み消せない家だったらどうしますの?
「その辺は問題ない。何せ両親共に居ない孤児みてえなやつだからな」
……私の周りの孤児と言われたら一人しか居ないのですが……というかむしろなんで掴まってんですの!?




