アフター1:パパのエプロン
後編?
実家に帰ったらパパのようなクマがエプロン着けてお出迎えしてくれました。いや、クマのようなパパかな?
「パパ、仕事は?」
「ママが妊娠しとるのに漁になんぞいっとられるか!」
なんでもしばらくの間漁師は休業して家庭のことをするんだそうな。私が産まれた時も同じ様にしたんだって。
「お金とかは大丈夫なの? 私、仕送りするよ?」
「いや、休業するって話をどこで聞きつけたのかわからんが、ハルちゃんが援助してくれててな」
む? ハル、私に黙ってそんな事を……いや、まあありがたいっちゃありがたいんだけど。
「私は大丈夫って言ったんだけどパパがね」
「妊婦なんだからいつも以上にいたわるのが当たり前だろう!」
……くそう、こういうところはいい男だよなあ、うちのパパ。私の時は当時の漁業組合の組合長さんが銀行に掛け合って生活費を融資してくれる様に取り計らってくれたそうな。で、その借金を復帰一回目の漁でまとめて返したんだと。パパ、恐るべし。
「ちょうど昼ごはんだ。ひとみの分も作ってやる」
「まだ作ってないの? じゃあ私がやるから」
「む? そうか? ならママの面倒を」
「私は大丈夫ですよ。畑行きましょう」
「出掛けて転んだらどうするんだ!」
……もしかして、パパが異常に心配性なのでは? ともかく、ご飯作らなきゃ。えーと、人数は……パパとママとブランちゃん、晶龍君、私で五人前かな?
「ご飯はまだかー!」
「いや、なんで居るのよヘスティアさん」
「ん? ボクのご飯を作るのは君だからさ!」
君だからさ!じゃなくて。大人しくおうちで食べてくださいよ。
「あの家はバラバラに食事摂ってんだよね」
おおう、私が居なくなったら協力もしなくなったの?
「楓と澪は学校にお弁当持って行くし、葵はご飯ゆっくり食べる暇無いほど戦場だし、ハルはコンビニ弁当どころかゼリー飲料で空腹紛らわせてんだぜ」
んんっ、昼は仕方ないかもしれない。でも朝と夜は?
「朝はコーンフレークで全員適当に。夜は食べる時間すらまちまちだろうからよくわかんないけど作りはしないんじゃないか?」
私が居ないと全員の食が危機に陥りそうだ。
「あの、パパ……」
「ひとみ、家庭を守れ。ここはパパとママの家庭だ。もちろんひとみの家でもあるが。でもひとみには護らねばならない家庭は別にあるんだろう?」
どうやら全部お見通しらしい。まあ昼ご飯は作るし、晶龍君の夏休みの宿題はやらせるけどね。
一応晩御飯までやってパパの作ったご飯をいただく。いや、美味しいな!? 魚料理多いけど味付けも絶品だよ。あ、遠洋の時は全部船の中でやってた。なるほど。
それから急いで帰宅。晶龍君の宿題は終わってないからまた明日通う事にした。泊まって行っても良かったけどみんなが心配だったから。
「ただいま帰りました……お姉様!?」
「おかえり澪ちゃん、楓ちゃん。遅くまで勉強お疲れ様」
「晶龍君とママさんは良いんですか?」
「大丈夫。こっちも大事だからね。ほら、ご飯食べるよ」
「あれー? ひとみんが居るー!?」
「ハル、援助ありがとね。ご飯にしよう」
みんなでご飯食べようと思ったけど、葵ちゃんを待ってもらう。程なくして葵ちゃんが帰宅。
「ただいま帰りました……ひとみちゃん?」
「待ってたよ、葵ちゃん。さあ、晩御飯食べよ」
ここが私の家庭。私の家。守るべき場所。




