117:だっこしてぎゅっ
花火大会終わりました。花火の描写が少なかったかもしれませんがそれはそれで良いのです。
一通りプールで遊んで一旦家に戻ってお着替え。
せっかくの花火大会なんだもの。浴衣がいいよねえ。
キャサリンちゃんの浴衣もついでに購入。今日しか着ないけどまあいいよね。
「なにかきゅーくつだね」
着付けは葵さんがやってくれました。一番浴衣似合わないのに着付け出来るんだもんな……
全員の着付けが終わったのでそのまま港へ。花火大会の特設会場がある。単純に花火見るだけならハルの家から見るのが一番なんだろうけど屋台とかも回りたいしね。
入口の所で飲み物を売っている。せっかくなのでラムネを買う。中に入ってるガラス玉を押して飲むラムネは多分普段以上に美味しい。まあ普段でもラムネなんて飲まないけど。そう言えばビー玉ってこのラムネの中のガラス玉(エーダマ?)に不適格だったやつを捨てるのが勿体ないからって遊び道具になったって話があるけどホントかね?
「しゅわしゅわ〜」
「ラムネ、懐かしい味ですね」
「よくお兄と一緒に飲んだなあ」
そのまま屋台の列は進んでいき、ひもくじ、わたあめ、箸巻き、たこ焼き、かき氷と並んでいた。
ひもくじはキャサリンにサメのぬいぐるみが欲しいと言われたので繋がってる紐を風の精霊に探らせた。お仲間みたいなものだからかいつもより気合い入ってるみたい。無事お目当ての紐を引くことが出来た。下の方に隠してあったけどね。上の方のはだいたいハズレ。ゲーム機とかには絶対に繋がってない。
「わぁーい」
キャサリンちゃんは嬉しそうだ。ここでゲット出来なくてもIKEYAに行けば買えるけどね。
わたあめの屋台は不思議そうに見てて出来上がったものをいろんな角度から眺めていた。
かき氷の屋台で楓ちゃんがお手本とか言って一気にかっこんで頭を抑える所までワンセットでやってくれた。あの頭が痛くなる現象をキーン現象というとかなんとか……
そして時間もいい時間になっていよいよ花火の打ち上げ。
ヒュー、ドドン、ヒュー、ドドン。
雲のない星空に花火がよく映える。炎色反応による一瞬の芸術が人々の心に感動を呼び起こすのだ。
「キレイでしょ?」
私はキャサリンちゃんに言った。
「キレイだね」
キャサリンちゃんはしっかりと私の手を握ったまま答えた。
帰りは混雑するからはぐれないように手を繋いだまま。かたまって歩いてるからなかなか歩きづらい。誰かがドンと押して人がドミノ倒しに倒れそうになる。
咄嗟のことに私は反応しきれなかった。
「危ない!」
「だめー!」
キャサリンちゃんが叫ぶと辺りを風が舞った。風がクッションになって転びそうな人たちを受け止めていた。
「え?」
「あれ?」
「痛くないよ?」
「なんだこりゃ」
徐々に騒ぎが大きくなってきた。私はキャサリンちゃんの手をしっかり握ってそのまま人のいない港の奥の方へ移動した。
「ごめんなさい……」
蚊の鳴くような声でキャサリンちゃんは言った。私は優しく頭を撫でて抱き締めた。
「ありがとう。キャサリンちゃんのお陰でけが人とか出なかったよ。すごいね、ありがとう」
「あ……」
キャサリンちゃんはほっとしたのかそのまま泣き疲れて眠ってしまった。
「来てるんでしょう?」
「ご存知でしたか」
そこに立っていたのはテンペスト。見張ってたというか心配になって見に来たのだう。
「寝てるようですね。ちょうどいいので連れていきます。顔を見たら別れが辛くなるでしょうから」
「また、会えるかな?」
「主様が望まれるのでしたら世界のどこからでも飛んでこれますよ。この子は次はシベリア方面です。その後ヨーロッパとニュージーランド勤務がありますのでこちらに来るのはだいぶ先ですね」
「勤務先、ローテーションなの?」
どうやら消えてなくなってしまうということはないらしい。
「じゃあ起きたら伝えといて。また一緒に遊びましょうって」
「はい、必ず」
こうしてキャサリンちゃんはテンペストと帰っていったのであった。




