112:恋慕 - febbre alta -
ちょっとグダグダな気もしますが婚約成立って事で次のお話に行こうと思います。最後がゆりゆり気味なのは作者の趣味だよ!
現れたヘリに豊さんと楓ちゃん以外の全員が驚いている時、私は先輩の方に歩み寄った。
「あれ? ひとみっち?」
「先輩、ご婚約、おめでとうございます!」
「え?」
私の言葉に先輩がキョトンとし、そして目に見えて赤くなった。ボフッて音が聞こえそうな勢いで。
「どどどどど、どうしてそれを……」
うっかり言ってしまった。見ていた事をバラしたら先輩にバラバラにされるかもしれない。それはヤバイ。慌てて先輩を観察する。ちゃんと左手の薬指に指輪はめてるな。よし!
「やー、先輩、薬指に指輪しといてそれは無いんじゃないですか?」
「あ、いや、その、これはっ」
よし、誤魔化せた!
「あー、そうだ。これはだな、彼氏がどうしてもって言うからしぶしぶ……」
いや、あなたベタ惚れでしたやん。
「ひとみさん」
そうこうしてたら豊さんに声を掛けられた。
「あ、豊さん、ご無事で良かったですね! あと、ご婚約おめでとうございます!」
「ありがとうございます。もう迷いません。必ず乙女さんは幸せにしてみせますよ」
そう言ってグイッと先輩の肩を抱いて引き寄せた。先輩は真っ赤になりながらもなすがまま。まあどう見ても両想いだから大丈夫かな。
「それにひとみさんが助けてくれたから大丈夫だったに決まってますよ」
あっ、馬鹿!
「……助けてくれた? どーゆーことかな、ひとみっち?」
先輩の射抜くような視線が私に突き刺さる。人を殺せそうな視線だ。
「乙女さん、君が崖から落ちなかったのもひとみさんが助けてくれたからだよ?」
「ふうん……てことは、見たんだ」
ゆらりと先輩の影が揺れた。
「あの後のシーンも全部見たんだよね、ひとみっち?」
「お、お、落ち着いてください、先輩」
私はかつてこれほどまでに恐ろしい笑みを見たことがなかった。
「私たちは言葉が通じます。コミュニケーションは我々知的生命体に与えられた問題解決の手段なのです。話せばきっと……」
「問答無用!」
お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しくだ……ぐぎゃー、コブラはやめて、痛い痛い。肉体的には普通の人間と変わらないんだから! 常日頃から耳以外に認識阻害とか掛けてないから! ロープロープ!
「乙女さん、その辺にしておいてあげようよ……照れ隠しなのは分かるけど楓で慣れる僕でなかったらそれはかなり痛いと思うよ」
豊さんも照れ隠しに技食らってたの? しかも耐えてた? うわー、改めて豊さん尊敬しちゃう。
「……わかった」
やっとの事で豊さんが技を解いてくれた。身体のあちこちが痛い。私も身体能力鍛えた方がいいのかな?
「あっ、お姉様!」
苺ちゃんたちがこっちに気付いたみたい。それはいいんだけど英子ちゃんと美依ちゃんの目がハートマークになってるのは気の所為かな?
気の所為だよね?
誰か気の所為だと言って!
「「お姉様」」「ご主人様」
だから一人ヤバいの居るよね?
苺ちゃんのそれは尊敬の眼差しだけど他の二人がちょっと……
美依ちゃんが抱きついてきた。
「怖かったです、お姉様」
「あ、ずるい、私も」
更に苺ちゃんが抱きついてきた。英子ちゃんはそのまま二人を叱りつける。
「ちょっと二人とも、ご主人様が迷惑してるじゃない!」
……いや、叱ってくれるのは有難いけどご主人様はやめてくれないかなあ。
「「ごめんなさい……」」
二人が離れてくれた。うん、二人とも素直ないい子だね。
「ご主人様、二人を躾ましたのでご褒美にこの首輪を着けていただけますか?」
持ち歩いてるの?
あや、そんな趣味ないからねっ!
はい、そこ、澪ちゃんも対抗して首を差し出さない!




