110:反撃の烽火
調子に乗りました、すいません。ほとんど魔法使ってないって?
まあそこはそれってことで……
食事は簡単なスープとパンだった。
楓ちゃんだったから一人で暴走しちゃうかもと思ったけど豊さんも人質だから動けなかったみたい。
運ぶのを手伝わされていた。
楓ちゃん以外の人間は部屋に閉じ込められて見張られてる。ドアの前には見張りが一人。
豊さんは縛られて夫人と一緒に隊長さん?と一緒に居るみたい。
楓ちゃんに風の精霊を使って耳打ちする。
「合図したら楓ちゃんはそばに居るドロシーさんとか言う人を転ばせて」
「了解です!」
うん、不意をついたら転ばす位は出来るんじゃないかな?
なんというか楓ちゃんなんだかんだで運動神経の塊みたいな子だし。
あとはタイミングだけだけど、なかなか銃口を夫人から離してくれない。食事の時とかも隊長さんが食事をしてる間はチャーリーさんだかブラボーさんだかが突きつけてた。なかなか用心深そうだ。かなり訓練されてる気がする。
「なんでこんなことをするんだ?」
豊さんが聞くと隊長さんは答えた。
「俺たちだってこんな事は予定外だったんだ。下山する道が塞がれてると思わなかったからな。だが、神の導きかもしれんな、このペンションを見つけることが出来たのは」
「何が目的だ?」
「いや、よそうや。それを聞いちまったら本当にあんたらを口封じしないといけなくなる。明日になって雨が止んだら俺たちはそのまま下山させてもらうよ」
なんだろう、この人たちそこまで悪人って訳でもないのかな?
まあどんな理由だろうと私の大事なお友達に手を出したのが運の尽きだと思う。
まずは判断力を奪おう。
「サンドマン」
眠りの呪いが四人に降りかかる。
「なんだこれは……眠気が……」
「おい、寝るんじゃねえ。あと少しの辛抱だ」
精神力でもなんともならないことはあるんですよ。
人間の三大欲求ってのは馬鹿に出来ませんよね。睡眠欲はその最たるものだもの。
眠らずとも判断力は鈍るはず。銃口が次第に下がっていく。豊さんには「寝たフリしといて」って囁いといた。私が見てることは崖から助けた時点で分かってたみたいだしね。
豊さんが寝てるのを見て油断したのか銃口が完全に下がり切った。
よし、今だよ!
「グラビトン」
心做し銃だけを重くする。床に銃を貼り付ける様に沈める。
「今だよ、楓ちゃん!」
私の合図で楓ちゃんは動いた。
相手の手を取ってそのまましがみついて……首に足を引っ掛けて投げたぁ?
ウラカン・ラナ?
いや、あれは脳天叩きつけてるからフランケンシュタイナーだね!
ってハルと澪ちゃんが盛り上がってるけどあれは痛そうっていうか脳震盪起こして気絶してるよね、ドロシーさん。
「なっ、お前!」
隊長さんが膝を落として銃を拾い上げようとするけど拾えない。そこに楓ちゃんが膝を踏み台にして顔面に膝を叩き込んだ。
「おおっ、シャイニングウィザード!」
ハルが興奮してる。
そのまま昏倒するかと思ったら隊長さんが楓ちゃんの足を掴んだ。
「調子に乗る……」
最後までその言葉を言うことは出来なかった。
縛られたままの豊さんがジャンプして膝蹴りで落ちてきたのだ。
「ダブル二ープレス! 豊さんやるなあ」
完全に気絶した隊長さん。
「手前、よくも隊長を!」
チャーリーさん?が後ろから銃を構えようとするがそこに楓ちゃんのドロップキック!
顔面に蹴りを入れられ怯んだ所に楓ちゃんが着地して水面蹴りで足を払う。そのままチャーリーさんは転倒して頭を打った。そして楓ちゃんの両足が顔面を襲う。
「その場跳びムーンサルトフットスタンプ! すごい、決まったー!」
ハル、そろそろそのプロレス中継やめてくんない?
「なんの騒ぎだ!」
さすがに見張りをしていたブラボーさん?も騒ぎに気づき顔を出す。そこに背後から強襲。
「えいっ!」
「くらえっ!」
苺ちゃんと先輩が鈍器の様なもので腰と後頭部を強打していた。
「ぐはぁ」
無様な悲鳴と共にブラボーさんも沈黙した。




