102:だから私たちは、かけがえのない一人を選ぶ
今回は楓ちゃん回。ところで先輩の名前まだ決めてないんですけどどうしましょ(笑)
とりあえず粗方片付いてお腹もすいたので何か作ってやるかと冷蔵庫を開ける。
「……なんでこんなにスト〇ングゼ〇あるの?」
「あー、それ? 株主優待とかで送って来た」
ハルは色んな株を保有してるので株主優待も割とよくある。日本の一流企業の株は長期保有のやつが多いそうだ。
こないだはレストランの割引とかにも使ったし、カラオケとかでも優待割引効くんだって。
まあ私もハルもカラオケ行かないんだけど。
そんなハルでも近所のスーパーの株主優待券は持ってないので普通に買い物に行く時は役に立たない。
「じゃあ私、下のスーパーに買い物に行ってくるから待ってなさい」
「はーい」
元気なお返事が帰ってきた。
エレベーターを降りてスーパーに向かう。
時間的には空いてる時間だ。
と、前にさっき別れたばかりの人が居た。
「あら、楓ちゃん?」
「あっ、ひとみさん、さっきぶりです」
「さっきぶりだね。こんな所でどうしたの?」
「はい、お兄の晩御飯の材料を買いに来たんですよ」
帰ってきたばかりで晩御飯作るのか、楓ちゃんも大変だなあ。
「久々のお兄の作るご飯、楽しみなんですよ」
作るのは豊さんだった!
良く考えたら楓ちゃんの料理の腕はまあ上手いって程でもなかったもんね。
「お兄は研究熱心だから料理美味しくなる一方で……私もそろそろ自分でやらなきゃと思うんですけど」
まあそんな上手い人が居たらなかなか料理しようと思わないよね。
私だって必要に駆られてやってる訳だし。
……待てよ、とするとハルが料理出来ないのは半分くらい私のせいかな?
いや、でも、スポンジが炭化したようなケーキを何個も食べるのはさすがに無理だよ。
「もしかしたら……お兄は結婚しちゃうかもしれないから」
あっ、そう言えば先輩と豊さん、まだ続いてるよね。
というか先輩がベタ惚れみたいだけど。
「そう言えば、楓ちゃんのご両親って……」
「母は私を産んだ時に亡くなりました。父も小学生の低学年の時に。だからお兄がずっと親代わりなんです」
「……それは、ごめん」
「謝らないでください。別にひとみさんが悪い訳じゃないんです。それに母が居なかったから澪の寂しさに気づけたんだし」
なるほど。
二人の仲良くなった経緯は分からなかったけどそんな所で共感してたんだね。
あの澪ちゃんが楓ちゃんには強く出れない訳だ。
「ひとみさんはお母さんの匂いがするんですよ。知らないはずのお母さんの匂い、きっとお母さんが居たらこんな風なんだろうなって」
うーん、私に母性とかあるとはとても思えないんだけど。
世話焼きではあるが。
「ひとみさんも好きですけど、まだ兄離れは出来そうにないです。兄が私の本当のお母さんみたいなものですから」
まあそういう事ならなかなか兄離れは難しそうだ。
先輩、ファイト!
「でも、ちゃんと分かってるんです。お兄を解放してあげないといけないって。だから頑張らなきゃなんですけどね」
楓ちゃんは寂しそうに笑った。
「そっかあ。応援するよ。偉いね、楓ちゃん」
「えへへ、褒められちゃいました」
楓ちゃんが直ぐに笑顔に変わった。
こういう明るさは楓ちゃんの良いところだ。
「あっと、そろそろ欠食児童が騒ぎ出すかもだわ」
「ハルさんですか?」
「そうそう」
二人でクスリと笑って楓ちゃんと別れた。
依存されるのも依存するのもなかなか離れられないものなのかもしれない。
とりあえず夕飯はカレーにしてやるかと考えながら買い物を済ませてマンションに戻った。




