100:明日へのツバサ
バカンス編終了です。そして祝、百話!
ここまで来れたのも読んでくださる皆様のおかげです。ありがとうございます。
みんなで仲良くゴロンとするのはとてもいい事だ。
澪ちゃんは私の隣をキープしたが、反対側はほとりさん。
私のもう一方の隣はハル。
そして頭側に楓ちゃんと葵さんが頭を合わせて転がっていた。
みんな私に近い方がいいって言われたんだよね。
まあ嬉しい話だけど。
普通こういう時に始まるのは恋バナという名のぶっちゃけトークなんだけど、ハルも澪ちゃんも私が本命だと言ってはばからないし、楓ちゃんも悪ノリして「じゃあ私もひとみさんが本命!」って言い出すし、そこまで来ると葵さんも「私も本命で」って便乗してくる。
本当にみんなひどいよ……いや、好意は間違いなく感じるから嘘とも言いきれないんだよね。
騒いでたら次第に疲れて来て溜まったものもあったからその内みんなぐっすり眠った。
私は一人起き出して外を眺めていた。
夜の海はとても綺麗で吸い込まれそうだ。
せっかくなのでバルコニーまで出て夜風に当たる。
潮の香りが心地よい。
私も眠らなきゃなので少しワインを嗜んでるとカチャリとバルコニーのドアが開いた。
「ひとみさん……ですか?」
起き出してきたのは葵さんだった。
「葵さんも飲みますか?」
ハルみたいにアルコールに超弱い人間は居ないはずなのでせっかくだからお酒を勧める。
よく考えると葵さんぐらいだね、一緒にお酒飲めそうなの。
「いただきます」
ニッコリ笑って葵さんは飲み干す。
あ、この人かなり強いわって思った。
「お強いんですね」
「飲む機会はありませんが、多分遺伝……なんでしょうね」
葵さんが寂しげに言った。
父親は今頃工場で真面目に働いてるハズ。
うん、特に変な行動してるっていう報告はない。
いや、私の所に来る報告じゃないんだけど。
「澪さんがお母さんとじゃれあってるのを見て……少し羨ましくなってしまいました」
そう言った葵さんの目には光る雫が溜まって零れかけていた。
そうか、葵さんのお母さんはもう……
「もう、忘れたと思ってたんですが……なかなか母親は忘れられないですね」
そう言って葵さんは頭をトンと私の肩に乗せてきた。
「すごくいい匂いがします……お母さんと一緒に居るみたいな」
澪ちゃんも似た事を言ってたけどなんなんだろうね。
「お願いします、もう少し、このままで……」
気が付くと葵さんはそのまま寝息を立てていた。
安心してくれるのは嬉しいんだけど、バルコニーにこんな感じで寝られたら私の動けないんですけど……
夏場だし風邪は引かないと思うけどさ。
「良かったら我々がお布団までお運びしましょうか?」
え? と思って見たらメイドさん達がそこに居た。
「貴方達は寝なくていいの?」
「はい、交代して見張りをしておりますので。澪様だけでなくほとり様もいらっしゃるとなると一層警備は厳重にしないといけませんので」
確かに見上げた献身だけどせっかくのバカンスなんだしねえ。
そう考えてちょっとやってみようと思った事がある。
それはバリア。結界である。
澪ちゃんの周りに張り巡らせることが出来たんだからきっと出来るはず。
えーと、この屋敷の周りに沿って認識阻害と警報を精霊さん達に伝えてもらうようにする。
うん、まあなんか来たら私が対処すればいい。
「結界を張ったからあなた達も休んで。いつも澪ちゃん達のために頑張ってくれてるから、今日くらいはね」
「しかし……」
「私が信用出来ませんか?」
「……いえ、分かりました休ませていただきます。ありがとうございます、ひとみ様」
うん、結界も覚えたし、みんなリフレッシュ出来るでしょ。
明日からまた頑張らなきゃね。




