99:笑顔のゲンキ
えーと、別名逆転姉妹解決編です(笑)
昼ご飯は船上で釣りたてのお魚をお刺身にしてもらった。
漁師の方の包丁捌きは見事で惚れ惚れしました。
うん、これも贅沢だね。
通常は魚の食事や日光の関係で朝早く起きて釣るんだけど、早起きはみんな苦手なのでゆるゆるお昼釣り。
それでも魚がスレでないので割とよくかかる。
大漁とは行かないけどかなり釣れました。
……光の反射は精霊さん達がなんとか出来るしね。
晩御飯は釣った魚やら昨日のタコやらで揚げ物パーティ。
串カツみたいに揚げては食べ、揚げては食べととても美味しかった。
天ぷらは揚げる端から食えって話があるけど、どんな物でも揚げたてが一番だよね。
あ、こら、ソースに二度漬けしちゃダメ!
こんなに楽しいけど明日には帰らないといけない。
休みはあるけど家でやらなきゃいけないことも溜まってるし、ハルも相場が気になるみたいで、モバイル端末で株価をチェックしてた。
いや、土日は動いてないよね、相場?
「ところでお母さんだけど、寝る場所どうするの?」
そうなのだ。ほとりさんの使ってる寝室は現在私が使っているので私が部屋を変わらなければならないのだ。
「私ですか〜? ちゃんと〜自分の〜部屋を整えてますよ〜?」
…………はい?
「えっ、でも、ほとりさんのお部屋は私が使わせてもらって……」
「基本的に〜、私の部屋は雑〜多なモノが多いので〜、他の人に貸し出すとか〜、そういう事はないんですから〜。鍵も私しか持ってませんし〜」
私は澪ちゃんを見ると何やら汗をダラダラ垂らしてるようだ。
さっきお風呂入ったよね?
入りすぎかな?
「澪ちゃん?」
「は、はい、なんでしょうかお姉様」
「どういう事か説明して貰えませんか?」
「う、嘘は言ってませんわ! あの部屋はお母様との思い出の部屋ですし……」
それを聞き付けてほとりさんが口を出す。
「あら〜、澪ちゃん〜、あの部屋使ったの〜?」
「お、お母様、ちょっと今取りこみちゅ……」
それにも構わず楽しげにほとりさんは続けた。
「あのお部屋は〜確かに私が〜この子と一緒に〜来てた頃に使ったお部屋です〜」
澪ちゃんの顔が笑顔になる。これで乗りきったと思ったのだろう。
ほとりさんはにこやかに続けた。
「さびしがる澪ちゃんが〜、お部屋に入って来れるように〜、鍵が壊してあるので〜、この屋敷で唯一鍵のかからないお部屋なんですよ〜」
「ahhhhhhhhhhhhhhhhhh!」
澪ちゃんの絶叫が響いた。
両膝をついて天を仰ぐ様に……プラトーンって言ってわかる人どれくらいいるんだろ?
「澪ちゃん?」
「ち、違うんですの、お姉様!」
「鍵が壊れてたんだ。ふうん。確かに鍵掛けた筈なのに澪ちゃんが居るのはおかしいなと思ったんだよね……」
「私はただ……お姉様の温もりに包まれたくて……計画的出来心ですわ!」
それは出来心とは言わないよ!
というかあの尋問の全てが澪ちゃんの計画通りだったって事?
もしもほとりさんが来てなかったら
もしもあの時楓ちゃんが飛び込んで来なかったら
私は間違いなく澪ちゃんを抱きしめていた。
もしかしたらもっと先まで甘えさせてたかもしれない。
これが、日本のドン、柳の一族の深謀遠慮!
……ってなんでこんなことに使ってんのよ。
「ともかく! あの部屋は変えてもらいます。このままじゃ寝れないもの」
「そんなあ……」
悲しげに澪ちゃんが言う。
やれやれ仕方ない。
「広間に布団敷いてみんなで寝ましょ。最後の夜だものみんなの方が楽しいよ」
「お姉様……ありがとうございます」
ハルが近寄って耳打ちしてきた。
「ひとみんさー、澪ちゃんとほとりさんを一緒に寝せてあげたかったんでしょー?」
さすが親友、お見通しだったか。
「まあね。滅多に会わない親子が揃ったんだもの。私たちはお邪魔かもだけど二人きりにするよりはね」
澪ちゃんもほとりさんも笑顔だ。
うん、やっぱり笑顔がよね。




