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ユートピアユー〜陰キャコミュ症JKの僕が、恐怖を『克服』して能力バトルをする話〜  作者: 葛城 隼
友達の友達は友達?

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第45話 気合いで支える!

「ニンヒト!」


 私に迫るガイコツマンに向けて、タマキちゃんたちがニンヒトを撃つ。私は心疾患で苦しくて倒れてて、マトモに動ける状態じゃない。守ってるんだ、こんなダメな私を。


 ヒカリちゃん、それにタマキちゃんも地面を蹴ってガイコツマンと私に急接近。ヒカリちゃんがガイコツマンをボカボカ殴っていく。


「大丈夫!?」

「う……ぅん」


 カスれた声で返事をした。タマキちゃんが肩を貸してくれて、なんとか離れて端っこに寄る。広い駅前デッキ、普段なら見晴らしが良いとか言えるけど今は隠れる場所の無いココが恨めしい。


「大丈夫、あとは僕らでなんとかする」

「けど……っ! ゴホッ!」

「横になってて。僕のバッグを枕にしていいから」


 そう言ってタマキちゃんは、投げ捨ててた自分のバッグを敷いて私をゆっくり降ろす。それからすぐにガイコツマンと戦うヒカリちゃんのトコへ行った。


「ヒカリ! ソイツ独自のリンカー能力は多分『触れた物を宙へ浮かす能力』だ! ソイツの手に気をつけて!」

「ん、こういう事、ね!」


 ヒカリちゃんはガイコツマンの手首を掴み、グルンと回ってポイと投げ飛ばす。それに合わせてタマキちゃんが「ニンヒト」を唱えてビームを撃った。

 ガイコツマンの方が宙に浮いて無防備。迫り来るニンヒトを腕でガードするのが精一杯みたいだった。


「『ドグラマグラ』との戦いが活きてるみたい」

「そのまま腕と足を狙い続けて! 『ニンヒト』!」


 ──私、いなくたって全然平気だ。むしろ足を引っ張っちゃってる。私がそうなんじゃないかと思ってた敵のリンカー能力にも、当たり前に気づいてた。カンタンに対処してた。


「何やってるんだろ……私、ホントに」


 悔しくて、しょうがなかった。自分が情けなくって、涙まで出てきた。病院で無意味な時間を過ごしていたあの頃みたいな、無力で何も無い私──。


 そんな風にやってたら、異変が起きてた。

 ガイコツマンが空中に浮かんだまま落ちてきてこない。それどころか、ドンドン上へ上がってる。能力を使ってるんだ。ニンヒトも狙いが逸れてるぐらい、近くのビルの5階ぐらいまで、高く。


「テ、メェらよぉぉ……! 人がせっかくいい気分でいたのに邪魔しやがって、誰だよクソッタレがよぉぉぉ……!

「オモチャを貰って暴れるのが、そんなにいい気分かしら?」

「金髪の女ァ!! オメェだよオメェ! さっきからボカスカ殴りやがって、調子乗るんじゃ、ねぇ!!」


 ガイコツマンが浮いたまま衝撃波を手から出した。タマキちゃんたちは避けながらカウンターにニンヒトを発射、撃ち合いをする。


「タマキ、これじゃ埒が明かないわよ」

「分かってる! 消耗なんか待ってられない、隠れよう!」


 そう言ってタマキちゃんは私に近づく。まだ辛くてこんなトコで転がってる私にだ。


「ぷらな、悪いけど立てる?」

「私なんか……気にし、なくったって……」

「何言ってんの、ぷらなも今は避難しなきゃだし、こんな所に置いていけないし……」


 そんなとき、ボゴォ! と大きな音がして、何かと思ったら、デッキのコンクリートが捲れてて、それがクルクルクル~ってコマみたいに空中で回転してた。

 何が起きてるのか全然よくわかんなくて、頭の中で「(ハテナマーク)」がいっぱい浮かんでた。


「ぷらな!」


 タマキちゃんが叫ぶ。私に覆いかぶさって。すると次の瞬間、ボガァッ! って岩でも叩きつけたみたいな音がして、私はタダでさえ心臓が苦しいのに跳ね上がってしまった。


「い……痛い」

「タマキちゃん!? コレってどういう……」

「分かったぞ……アイツの能力は『宙に浮かべる』じゃない、『弾く』能力だ! やってくれたなチクショウ!」


 タマキちゃんがカンカンに怒ってる! 背中にコンクリートの床喰らって痛いのかな!

 ガイコツマンの攻撃は続く。その背後に宇宙服みたいな、でもなんだか細くてピッチリとしてて、全身タイツに宇宙服のヘルメットを被ったみたいな人が現れる。あの人のリンカー!


「『ゼログラビティ』! 飛べぇぇぇぇ!!」

「飛んでるだろ変な『弾き』連打して!」


 タマキちゃんのツッコミが炸裂!


 その間にもガイコツマンの『ゼログラビティ』と衝撃波の同時使用攻撃が続く。

 必死に『ニンヒト』唱えまくって、破片とか衝撃波から身をてい()して私を攻撃から守ってくれてる。こんな役立たずの私なんかの為に。


 ──もう、イヤだ。ホントに、もうイヤだ。こんなのヤだよ。こんなに悔しくって、惨めで、最低な私。誰かに迷惑をかけ続ける人生。本当に、イヤ。


「タマキちゃん……。タマキちゃんってば!」


 ビックリさせちゃって、コッチ見てて、でも、タマキちゃんは『ニンヒト』しながら私を守り続けてた。


「もうやめてよ! なにか秘策があるんでしょ、私がっ……ゴホっ! 私がこんなんだから見捨てられないんでしょ……! だから……!」

「ヒカリが頑張っててくれてるから!」

「え?」


 強く、遮られた。胸がドキっとした。心疾患の発作と違って、不快感のない、胸の高鳴りだった。

 あのとき、入院していた私のトコへ、もかちゃんと一緒に来て、それで初めてタマキちゃんと会ったあの日に、バカな私を否定してくれたみたいに──。


「あの子の為にも、僕だけが逃げたくなんかはない! みんなを守るって、守りたいって、そう決めたから! あのとき!」


 あのとき、あのとき──。それが私と同じ『あのとき』かは分かんないけど。私たちが同じ時間を共有してるのだけは、確かだった。私が入院してて、タマキちゃんと初めて会ってから起きた、『あの騒がしい夜の日』──。


「タマキ!」

 ヒカリちゃんだった。

「次はどうするの、アナタのやりたい事は!?」

「作戦を変えよう! そいつの──足だ! 確信がある!」

「ええ。ちょっくら、狙ってやるわよ!」


 ヒカリちゃんが衝撃波を腕にカスらせながら、狙いを付けてタマキちゃんと息を合わせる。

「ニンヒト!」

 放たれた3本の光線はまっすぐ、ガイコツマンを狙う。それも、足を。

 足をコンって打たれたガイコツマン。するとなんと、空中でバランスを崩してクルクル~ってちょっと落ちかけた!


「ううっ!? オイなにすんだ落ちるだろ!」

「かえって分かりやすかっただけだ」

 タマキちゃんの説明が入る。

「お前のリンカー能力が『弾く』能力だったとして、なぜ飛べるようになるのか? それは自分自身を『弾いた』からだ。じゃあどうやって? その『大地讃頌』の鎧があるのに? 胴体への攻撃は防ぐ鎧(・・・・・・・・・・)があるのに?」

 ヒカリちゃんがハっとして気づく。

「なるほど、つまり『足を弾き続けて飛んでた』と。ピンボールのフリップで細かく玉を弾くみたいにして、自分の足を弾いて浮かんでいたのね。さすがタマキだわ」

「行くよ、ヒカリ。あとは僕らの体力勝負だ」


 タマキちゃんは決心を改めて固めた顔つきになっていた。近くへ転がってきたコンクリートの破片を手に持つ。盾代わり、という事らしい。

 それを見たヒカリちゃんが嬉しそうに微笑み返して、より強い意志を感じさせる指先をまっすぐ、ガイコツマンに向けてた。


 私は、そこでようやく気づいた。


 ──そっか。私、ヒカリちゃんがタマキちゃんを引っ張ってるのかと思ってたけど、違う。

 タマキちゃんこそがみんなを引っ張って、ヒカリちゃんがそれを支えてるんだ。お互いを合わせ鏡みたいに、みんなの心を映して、反射して、照らして──そういう道しるべなんだ。タマキちゃんこそがヒカリちゃんを引っ張ってるんだ。

 お互いにサイコウのバディなのを、私たちみんながついて行って、影響されて、それでがんばれてる。彼方ちゃんも、もかちゃんも、再寧さんも──。


「……嫉妬、しちゃうなぁ」


 『支えたい』っていう意味じゃ、ヒカリちゃんと私、同じだったんだ。違うのは『気づいてるかどうか』。


「私、2人と仲良くなれるかな? もっと、もっと仲良しの友達になれるかな?」


 そんな事を、呟いてた。


「なれるに決まってるさ」


 タマキちゃんが、背中を向けたままチラっと見て、言ってくれた。


「僕も、もっと2人のことを知りたいから」

「──。そう、よね。私も、もっともっと2人のこと知りたいもん」


 本当に、胸がドキドキする。ワクワクする。


「だから──」


 私も、守りたいって思える──。


「気合いで支える!」


 私は、立っていた。胸がドキドキして、足にドクドクと血が、生命が流れて、深呼吸すると身体が軽くなっていた。


「ぷらな、心疾患は……!」

「ゴメン、薬ってそんな即効性じゃないもの。いま、ちょっとずつ効いてきたからっ!」


 走り出す。羽が生えたのが嬉しいみたいに、私は走っていた。ヒカリちゃんに向かって!


「ヒカリちゃん!」

「っ!? ぷらな!」

「ちょっと、飛ばすね!」

「えっ、ちょ、ちょっと!? タマキ!」

「えっ。いや、そっか飛ぶんだヒカリ!」


 ヒカリちゃんの脇の下をガシっと掴む。そして、私の願い(リンカー)を唱える!


「『ラブずっきゅん』! ヒカリちゃんをあいつに向けて、飛ばしちゃって!」


 魔法少女の姿した私のリンカー、『ラブずっきゅん』の手が、私の手と重なる。『ベクトル操作』能力が発動し、ヒカリちゃんがピョ〜ンっと、高く高く飛び上がる!

 ガイコツマンもビックリだ!


「なっ……!」

「捕まえた」

 タマキちゃんがガイコツマンの仮面と右肩を掴む。そして足で相手の脚をガンガン蹴りまくる! 段々と落ちてく2人!

「ナメんな!」

 突然、ヒカリちゃんの蹴りが弾かれる。『弾かれる』、つまりガイコツマンのリンカー能力で防がれてるんだ。私も見てるだけなんて出来なかった。

「『ラブずっきゅん』!」

 しゃがんで、地面に手をつけて、『逆ベクトル』で飛ぶ。今度こそ、羽が生えたみたく飛び上がる。

 ちょうどヒカリちゃんが振り払われてた頃だった。入れ替わりに、今度は私がガシっとガイコツマンの腰にしがみつく。

「次から次へとなんだよ!」

「なんだよって、あなたがみんなに迷惑かけてるみたいだから。私たち、止めてるの」

「好きにさせろよ! オレだって……! こんなままならない世の中にウンザリしてたんだよ!」

「……分かるわ。だったらなおさら、あなたに間違った事させられない!」


 魔法少女リンカーの『ラブずっきゅん』の全身が、私の背後に現れる。腕を大きく引いて、狙うは──胴体以外!


「えいえいえいえいえぇーいっ!!」


 ガイコツマンの『弾き』と私の『ベクトル操作』がぶつかり合う。宇宙飛行士の『ゼログラビティ』が、段々と『ラブずっきゅん』に押されて、私たちは空中でグルグルグルグル回って、それからガイコツマンの両腕両足と殴って──!

「ウオオォォナメてんじゃねぇぞおおおっ!!」

「あっ……!」

 ガイコツマンの鎧が『弾かれる』。鎧を解除しながら。その勢いで私は引き剥がされて宙を舞った。私らと同じぐらいの男の子だった。本体を晒す代わりに攻撃を逃れて──!

「逃がすワケ──!」

 空中で体育座りの体勢になって、スカイダイビングの一芸みたいに回転。私の脚に『ベクトル』を発動して──

「ないでしょっ!!」

 飛び蹴りの体勢をして、男の子めがけてキック!

「──うげっ! ま……まだだぁ!!」

 男の子がガイコツマンの鎧を身にまとい始める。このうえ私のキックの衝撃を吸収するつもり!? そう思ってたとき。下でヒカリちゃんとタマキちゃんが待ち構えていた。指鉄砲の構えで!

「助かったわ、ぷらな。狙いがつけやすくなった」

「ニンヒトッ!!」

 特大のニンヒトが撃たれる、真上へ、男の子の背中へ向けて! 鎧を着られるその前に、空を切り裂く光は、邪悪な鎧をも砕いた!


「うがあああああッ!!!」


 フィニッシュが決まったとき、地面が目の前だった。『ベクトル操作』しながらだったからゆっくり、でも顔から落ちそうになる私。

 それをキャッチしたのは、ヒカリちゃんだった。


「大丈夫?」

 ヤダ……! タマキちゃんと同じ顔! もっと言うとキリっとしたタマキちゃんみたいな顔!

「あっ……うん大丈夫!」


 勢い余ってギュッと抱きついた上にほっぺにチュウしちゃった。


「おう」

「えっ、なんで、僕、だってまだなのに」


 そんなふうにやってたら、男の子のうめき声が聞こえてきた。正確には『大地讃頌』の鎧を着てた子。

 その子の傍にアレが転がってた。あの変な機械、名前思い出せないヤツ。それが、パリンと割れて壊れちゃった。


「『テクノ』が壊れた? 戦闘のショック、というよりは、タイミングを図って壊れたような……」

「タマキ」

 ヒカリちゃんが呼びかける。

「ぷらなも」

 呼びかけられて、キョトンとして見る。バトルの緊張感はもう無くなってた。


「私達は──みんながみんな、何か足りないものがあって、それを補い合ってる。今日はそれを改めて感じられた日だったわ。本当に、いつもありがとう」


 ヒカリちゃんがペコリとお辞儀までして感謝する。


「私が? なんかあるかな……?」

「あら、友達のためにこんなに強く頑張れるのは、立派な良いところじゃない?」

「そ、そうかな〜? えへへ……。ヒカリちゃんも、カッコよくてクールで美人さんで、それからいっぱい頑張ってて、タマキちゃんのこと大好きで、いっぱい良いところあるんだね!」

「褒めすぎよ、ありがとう」

「あっ、僕は特にないので……」


 そんなこと言ってるタマキちゃんに寄りかかって抱きついたり!

「ゲェェェェ」

 奇声あげながら倒れそうに~、なるところをヒカリちゃんが支えてくれた。


「タマキちゃんは頭が良くてみんなを引っ張ってくれて、それからなんだかんだ可愛い顔してて色んなこと教えてくれて、いつもいい子だな〜って思ってるよ!」

「アハハ……ありがとうございます僕なんかの為にそんな色々な褒め言葉言ってくれて」

「ネガティブ過ぎるし弱々しいのはたまにキズだよね!」

「ヴヴッ」

「タマキが倒れそうになっても、私が支えるから安心よ」

「安心して寄りかかるね!」

「あの、僕が挟まれてしんどいんですけど……」


 タマキちゃんは本当に困った様子の微妙な顔をしてた。全然笑ってない。というか笑い方がやっぱ変な感じ。

 そんなタマキちゃんが、ふと私に言ってくれる。


「元気、だよね。ぷらなって。僕も頑張ろうって、思える」

「──。うん! ありがと!」


 タマキちゃんの笑顔に、私もめいいっぱいの笑顔で答えるのでした。

読んでいただきありがとうございました!

よろしければブックマーク、ポイント評価、感想等々、よろしくお願いします!

感想が恥ずかしかったら「^^」とか絵文字でも構いませんよ~

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