表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病弱な令嬢に転生した体育会系女子は、今世でも鍛えたい  作者: 雪熊猫
最終章✜クルール王国 王城篇
317/325

317.結婚式 その後②

「おやすみ、僕の可愛いお嫁さん。これから、よろしくね」


そう言って王子は静かに寝るモードに入っていった。

案外というか、すんなり手を引いたわね…


「こ、こちらこそ、よろしくお願い致します…」



やっとの思いでそう言葉を返す。

リリーの胸のカーニバルは先程最高潮を迎えたが、ゆっくり収まっていった。

さすがに頬が熱い。

リリーは深々と被った布団から目だけ出して王子の横顔を盗み見ながら、これまでの王子とのことを思い出していた。

共和国でもパレット王国の時でも、いつもリリーがピンチの時は王子が駆けつけてくれた。

騎士訓練の見学も叶えてくれたし、多分王子はリリーに甘い。

いつもリリーの希望を優先してくれる。

大切にされていると感じる。



今までのらりくらりと躱していたが、とうとう結婚してしまったわけだし、本腰入れて王子と向き合わなくちゃね… 

なかなか同じ重さの愛は返せないけど、これから少しずつお互いを知って、夫婦の仲を深めていけたら良いな、とそう思った。



エルム王子、これから末永く宜しくね✿





※  ※  ※  ※




結婚式のためにたくさんの国から使節の方が来ていたが、勿論というか、上総国の人も来ていた。


結婚式から2日経ち、お祝いモードも落ち着いた頃、帰国前に謁見の申し出があった。



王、王妃様、エルム王子、リリーが、その席に集まった。



使者は死刑台に登るような表情で部屋に入り、深々と礼をした。

そして、震える声で儀礼的な挨拶と、深い陳謝の後に、調査結果と沙汰について報告を始めた。



内容としては、概ね下記の通りだった。

7年前の商隊で商品として披露した宝石に混じっていた加工石は、商品管理を行う仲介業者が意図的にすり替えたものだったそうだ。



納品された質の良い宝石を自分の懐に仕舞い、持参した、よく似た加工品とすり替える。

実は、クルール王国以外では、気づかれずに売れた国もあったらしい。

味をしめた業者は少しずつその数を増やし、手元の宝石を増やして偽物を隊長に渡していたようだ。

商隊は、食べ物や織物、花木なども積んでおり、隊長は特に宝石に詳しくなかったため、納品された宝石のすり替えには気付いていなかった。 



それが露呈したのは、その業者が自社で研磨、加工したと言って販売した宝石を気に入った豪族が、同じカットを希望して高価な原石を預けた際、全く違う加工をされて届いたと激怒した事件が起きていたことによる。

それは特別な加工技術で、あの妓女の兄しか製法を知らない一族の秘術だったのだ。

なぜ他社の加工品を自社製品と偽って卸していたのかと問われた業者は、一連のすり替え詐欺で入手したことも含めて白状したのだった。

この業者は、妓女の工房が没落したことで台頭した工房と強い関係性があったようだが、その工房が関与した証拠は出なかったので、業者のみ罪に問われている。


無罪放免となった兄は、炭鉱の強制労働から解放されて仲介業者から莫大な賠償金を得たらしく、これで工房の再建の目処が立った。

王妃様に刃を向けた妹は王妃様の言葉添えがあり、打ち首ではなくいわゆる無期懲役の形となった。しかも、その作業は鉱石の加工とし、前職を生かして労働ができるよう配慮がされたそうだ。


収容所に面会に来た兄の顔を見て泣き崩れたらしい彼女は、王妃様に感謝と、贖罪の言葉を繰り返しているとのことだった。

その境遇に同情はするが、他国の王族暗殺未遂ともなれば、さすがに今すぐの赦免は難しいものだ。いつか何かの恩赦とかで兄妹一緒に暮らせますようにと願った。




※  ※  ※  ※




エルム王子が王に即位した後の治世は、賢い王妃と共に平和で豊かなものであった。

遥か遠い国と新たな国交や交換留学などで知見を深め、医学は革新的に発達した。

唐国で薬学博士の位を得たピンゼル様とも情報交換を頻繁に行っている。


歌劇やアクロバットショーなどの娯楽もだいぶ発展し、リリーはそろそろサーカス団を立ち上げようと目論んでいるようだった。

ただ、ライオンや熊について説明したら、王太子である長男は勿論、剣豪である次男、王国の生き女神といわれる長女から止められたそうだ。

何歳になっても破天荒で猪突猛進で情に厚い母を、母に全く頭が上がらない父に代わって長男王子はよく支え、上手にコントロールしている。

王国は次代も安泰だと言われ、今年の花祭も盛大に行われた。



ちなみに、リリー結婚の翌年にピンゼル様とエールトベール王女が正式に結婚をしたが、誰も予想しなかったこととしては、同年にジニアとジェイバーが結婚したことだ。

しかもまさかの授かり婚だった。

いつから!? なんで!? と、2人の関係に全く気づいていなかったリリーは大騒ぎだった。


2人の子供はリリー達の子より早く生まれたので、乳兄弟として仲良く育つことになった。




まぁそのようなわけで…

身体の弱いただの令嬢だったリリーはその明るさと持ち前の度胸、努力家の性分で悪境を振り払い、今は健康そのもの。

そして周りにはいつも笑顔と幸せが溢れている。


リリーと王国の皆は、それからもずっと、幸せに暮らしましたとさ。



めでたし✿  めでたし✿



読了お疲れ様でした(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) 本編これにて完結です…

番外編少し添えます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 本編お疲れさまでした! 楽しく時に考えさせられる話もありましたけどみんな頑張ってましたね! 最後に爆弾スクープがありましたけど、みんなが幸せでよかったです! [気になる点] 本当にいつの間…
[良い点] 祝!完結 [一言] 王の最大の功績は大人しくリリーの尻に敷かれてた事とか書かれるんだな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ