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病弱な令嬢に転生した体育会系女子は、今世でも鍛えたい  作者: 雪熊猫
最終章✜クルール王国 王城篇
308/325

308.王城会合④

コンコン



接見室がノックされる。

アゲート侯爵退任の話から雰囲気が重く、話が先に進んでいなかったから、その音がやけに響いた。


「何だ」


侯爵が答えると、ドアの向こうから騎士の声がした。

小声でやりとりをした後で、


「あぁ… 入って良い」


と許可を出した。



何かしら…

リリーが顔を上げるとドアが開き、入ってきたのは




バルサムだった。

アルダー隊長に連れられている。



「!!!」



リリーは誰かに苦手意識を持つことは少ないが、彼には比較的煮え湯を飲まされているので、警戒心を露わにする。



が、


バルサムには全く覇気がなかった。

よく見たら唇は真っ白のカサカサだ。



「その子は?」


王妃様が侯爵に尋ねる。


「あの日、リリー様が騎士訓練生に扮していることを見抜いた少年です」



「… あぁ! リリーさんの頭をはたいた子ね!」


王妃様は思い出したように目を開いた。



「そうです。リリー様がグリス氏に擬態していることを見抜いたのは観察眼として良かったのですが、実はその後の聞き取り調査で、彼がリリー様(グリス氏)に妨害行為をしていることが分かったのです」



「「妨害行為、ですか?」」


王妃様は勿論、リリーも初耳だ。



「グリス氏=リリー様と分かってから、訓練生や関係者が数人相談に来られました。 

彼らは一様に、バルサム氏に命じられてリリー様に手を出したことに恐れを抱き、正直に打ち明けることで家門への影響を最小限にしたいようでした」



「手を出した…ですか?」

彼がグリスの足を踏むのを見たが、手を出されていた記憶は無い。勿論リリーにも無い。

やられた張本人にその覚えがないのに、そんなことあるのだろうか。


そんなリリーの様子を見て、ため息をついた隊長が話しだした。


「まず、弓騎訓練、試験で貸し出した弓は皆平等に訓練用の弓でありましたが、バルサムは実家から持ち込んだ弓を使っていました。また、訓練生を使ってグリス氏が使う弓の弓把に細工をしました」


「弓把に細工、ですか」


「弦がひっくり返って、手を打ちやすくするためです。

頼まれた訓練生は最初断ったが脅されて仕方なくと言っていた」



あぁ… なるほど。

そういえば、急にグリスが打てなくなったな… その影響だったのね…



「加えて、グリス氏が乗る馬に、騎馬前に怪しい餌をやろうとしていたと、馬番から相談があった」



そういえば、ステラに会いに行った時、そんなことを言ってた気がする…

あれってバルサムだったんだ…




「そうだな? バルサム」


隊長はバルサムを振り返り、確認をする。



「 … … はい。 」



言い訳を考えているのか、他に言いたいことがあったのか、返事には少し間があったが、最終的には肯定の返事をした。


そうしたら、少し開いていたドアが大きく開き、



「それは本当なのか…  バルサム…」


悲壮な顔の、宰相が現れた。



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