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20.体操再開に向けて②

リリーは上体反らしに苦戦しているが、開脚は比較的早く獲得できたので、開脚の第2段階クリア後はスプリッツに進んだ。



開脚が左右側方に足を開くのに対し、スプリッツは前後に足を開く動きだ。

正座の状態から片足だけ膝を伸ばして後ろに出す。

そのまま身体をゆっくり反らし、顔は天井を仰ぐ。

それが片足ずつ右左どちらの足も難なくできるようになったら、両足の足底を前後に開きながら滑らしていく。



最初は身体が傾いたり腰が逃げたりするため両手を床に着けてバランスをとる必要があるが、股関節が柔らかくなったらまっすぐ下りられるようになり、手を床から離しても大丈夫になる。



あとは、床を跳ねるために手首と足首の柔軟性もとても大切。

なんなら足は、甲で歩けるくらいの柔らかさが必要と言われている。




スポーツは基本的に、ラグビーや柔道のように相手選手と身体的接触があるコンタクトスポーツと、水泳や陸上のように接触しないノンコンタクトスポーツがある。

体操はノンコンタクトスポーツだが、意外にも怪我が多い方のスポーツである。

柔軟性と強度という相反する身体能力がなければ容易に怪我をしてしまうのだ。

基礎練習は何より大切である。




リリーは少しずつ変わる身体に充実感を噛み締めながら、しかし無理はせずに練習を進めていった。





ところで、リリー(前リリー?)はこれまで、一日の大半をベッドの上で過ごしてきた。

常時体調を崩し、伏せっていて、少しだけ起き上がれる日は刺繍をして過ごしていたからだ。

基本的に父親、兄も不在だから、3食の食事は部屋でとるし、湯浴みも部屋続きのバスルームでできるため、とにかく部屋から出ることはほとんどない。



現在、体操準備のためのトレーニングに余念のないリリーは、体調が整ってからもこれ幸いとこのインドア生活を満喫していた。


ジニアや他のメイド、ロータス、ジェイバーは朝の挨拶や食事、何かの用で顔を合わる時にリリーと会うだけだから、リリーが部屋で何をしているかまでは知らない。



刺繍はもうしてなさそうなことはバレているが、熱を出したり寝込んだりせず、3食をきっちり食べて元気にしていることは分かるため、別に不審に思っていないようだった。



ちなみにジェイバーは、朝の挨拶の際にリリーの今日の予定を確認し、特に外出の予定が無い場合は騎士として屋敷の警備にあたるようになっている。



今朝もリリーはいつものメンバーに挨拶をしたあと、いそいそと部屋に籠もろうとした時だった。




「お嬢様は、お勉強にご興味はありませんか?」

ロータスが声をかけてきた。



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