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19.体操再開に向けて①

体育館?は検討の結果、新築するのではなく、もともと公爵家にある、夜会用の離れのホールを改築することになった。



ホールはそのままに、リリー所望の更衣室兼休憩室を増築する形だ。

なので、3ヶ月くらいで完成するそうだ。

「楽しみだな〜!」



3ヶ月後には体操が本格的にできそう!ということで、身体の方の準備もすすめなくては。

今まではざっくりとストレッチをしていたが、これからは体操復帰に向けた柔軟を行うことにした。



まずは開脚。

開脚は何の体操にとっても基本になる。

これまでの開脚はただ座って股関節を開いて身体を前や横に倒すものであった。これはもう結構できていて、リリーはベタ〜っと手とお腹を床につくことができる。 



次の段階は、仰向けに寝た状態で揃えた両足を直角に持ち上げてL字の形になり、そのままお尻を壁につけたら太ももとふくらはぎの後ろが壁にピタっとつくから、そこから開脚したり閉じたりする というもの。

重力も手伝って股関節が開き易くなり、また自力で開いたり閉じたりすることで、股関節の筋力も腹筋もつく一石三鳥の基礎体操だ。



開脚は基本、前屈を伴うから身体が丸まりやすい。

だから対となる身体を伸ばす上体反らしのストレッチが大切になる。

うつぶせになり、両手で床をつっぱり身体を起こす。

腕の筋力がないのもあり、リリーは胸までしか床から離せず、しかもすぐにぷるぷるなる。

これが胸と腹が床から離れ、恥骨がつくだけくらい上がるようになったら次の段階に進む。



次の段階はうつぶせで両手で両足首をつかみ、身体を起こす体操だ。

息を止めてはいけないし、顎が上を向いてはいけない。

最初は筋力がないから、お腹だけが床について、太ももは浮いてしまうことが多い。お腹を支点にゆりかごみたいな形になる。


だんだん上半身が柔らかくなり背筋がついたら、太ももがついたまま、上半身だけが反らせるようになるのだ。

ゆりかごのように揺れず安定し、バシッと顔が前を向くことができるようになったら手で足首を持たなくても身体をそらせるようになる。

曲げた足が頭につくようになり、そうなれば上体反らしとしては合格だ。




ちなみに、これらは上半身(脊椎)の伸展ストレッチが主だが、身体を反らすには上半身だけではなく股関節の柔軟性も必要になる。

両膝立ちで上半身を反らしたり捻ったりする体操は、股関節を伸ばし、柔らかく使えるようになるため、先程の体操と並行して進めるとより効率的に上体反らしを得ることができる。




… とまぁ、やることは頭に入っているが、肝心のリリーの身体が全然まだまだなので、とりあえず開脚の第2段階と、上体そらしの初歩ストレッチから地道に開始することにした。



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