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16.建築会議

そんなこんなをしていたら、5日後に若い男性がディアマン公爵邸を訪ねてきた。


きちんと紹介状を持ってきており、それによれば、父と兄イチオシの騎士、つまり私の護衛役の人だった。



「初めてお目にかかります。

僕はルーフス・オラニエ・ジェイバーと申します。

本日よりディアマン公爵令嬢の護衛騎士を拝命致しました。

宜しくお願い致します。」

丁寧にお辞儀をし、顔を上げる。


ジェイバーは燃えるような赤い髪に黒曜石の瞳を持つ、さすが騎士というカッチリ体型の男性だった。


子爵家の長男さんだそうで、ロータスによればディアマン公爵家の私兵隊で1番の成長頭だそう。若くして3番隊隊長を代理で務めたこともあるらしい。

百合子より少し上みたいだから、20歳くらいかな?



「こちらこそ、ようこそ公爵家へ。

ディアマン・ブロン・リリーと申します。これからどうぞ、宜しくお願い致します」

私はカーテシーで挨拶をした。



ジェイバーは笑みを浮かべてお辞儀で返礼をし、この顔合わせはとても穏やかそうな雰囲気であったが、、、

私は既に感じていた。



「・・・」



この人、この件きっと嫌々引き受けたんじゃないかしら…

口は微笑んでるけど目が死んでる…


お父様のことだから、有望な若い騎士に無理矢理引き受けさせた可能性が高いわね。

あぁ申し訳ない。

変なこと言わなきゃ良かった…。




騎士は住み込みで働くらしい。リリーはもともと公爵邸から出る予定はないのだ。

護衛が腕を振るうタイミングは実はあと数年以上訪れない予定なのである。

巻き込んでしまって気の毒な気持ちでいっばいであった。




約束の1週間後に有名な建築家が公爵邸を訪ねてきた。

舞踏ホールと聞いているようで、床は大理石などの石を提案されたが、そんな所で体操の練習をしたら手首を間違いなく痛めてしまう。

体育館の床はフローリングと相場が決まってるのよ!



床材は木で決定した。

良かった。




あと、私は病弱設定を利用し、

「私は身体が弱く、まだ長く踊る練習はできないと思います。体力もありませんし、倒れ込むこともあるかもしれません。

こっそりすぐに横になって休めるスペースが欲しいんです。」


私は、秘技『公爵令嬢のワガママ』を繰り出した。


舞踏ホールの横の部屋に、私専用の更衣室とゴロゴロできる布張りのスペースを作って欲しいと言ったのだ。



広さは身体にしみついた演技のテリトリーである12☓12mが親しみやすかったので、この程度のスペースを更衣室に併設してもらうよう頼んだ。

なんというか、ゴロ寝つき巨大ウォークインクローゼットだ。


フカフカすぎると逆にやりにくいので、ゴロ寝スペースはフローリングの木材に厚手の布を張り付けるだけの形にした。


休むならばと、ベッドの設置を提案されたけど、私は眠りたいわけではないから、とにかく着替えの合間に床に足を投げ出して座り込めたら良いと説得した。



最初は戸惑っていた建築家のおじさんも、病弱で有名な私がダンスの合間に休めるスペースとして納得したようだった。



ロータスと舞踏ホールの広さを検討しながら、斜め後ろに立つジェイバーを盗み見る。




… 魚の目をしている…


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