表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/325

153.魔王降臨⑥

走って行った先は、会場後方の、花瓶が飾られたテーブルだ。

白磁の大きな花瓶に真っ赤な薔薇がたくさん挿されていて、どこから見てもわかるほど目立っていた。



少女はその周りをくまなく調べて、テーブルクロスをめくると、



「あったよ〜〜〜〜〜!!」



そこには、宝石で装飾された白銀の剣が静かに横たえられていた。


「き、キレ〜〜〜〜〜」


どれどれ!?

他の子ども達も、一斉に駆け寄る。

リリー少年も、一緒に駆けつけた。


握り手の部分にアクアマリンが嵌め込まれた、針のような細い剣は、子ども達には馴染みがなく、皆しげしげと眺めている。



もちろんこれは、リリーのレイピアだ。

レイピアは、針先こそ危ないが、刀身に触れても他の剣のように手を傷つけることはないから、ある程度の子どもが触れても大丈夫なのだ。

レイピアを見つけた少女が、駆けつけたリリー少年にレイピアを渡す。



そして、子ども達は、勇気の剣を持ったリリー少年を見てみて、気がづいた。

剣に嵌め込まれている宝石と、リリーの瞳の色が同じだということに。



「やっぱり、この勇気の剣は、この子のものだよ」

「よく似合ってる」

「君が勇者さまなんだ」


リリーが剣を捧げ持つと、剣はリリー少年の手にしっくり馴染み、きらりと光った。



やはり、平民なのに本当かと呟く子もいたが、

その姿をみればリリー少年が勇者であると、皆が納得したようだった。



「ねぇねぇ、名前は何ていうの?」

「リズだよ」

「リズ、頑張ってね!」

「ケガ、しないようにね!」


皆に応援され、ステージに近づいていく。

王子とボンボン貴族ズも、しぶしぶ納得をせざるを得ない様子で、リズを見送った。




舞台に座っていた魔王も立ち上がった。



「グフフフフフ…  

勇者が見つかったとか言っていたようだが、なんだ、子どもではないか。

子どもをいじめる趣味は無いが、かかってくるなら容赦はしないぞ」


「ちょっと怖いけど、天使さまを信じて、皆を守るために頑張るよ!」


リズが走り出す。



「頑張れー!!」

「リズーー!!」



リズは壇上に続く階段を駆け上がると、壇上に隠していた踏み台で勢い良く踏み切り、宙高く舞い上がった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ