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130.リリーの娯楽作り②

紙をひとつひとつ指で擦りながら探していくと、ひとつ、硬めの薄い紙を見つけた。



「これが良いと思います!」



リリーが言うと、ピンゼル様が飛んできた。



「これ? 結構硬めだねぇ。ツルツルしてる〜」

指で表面をなぞる。



「あぁ、これは、3枚の薄い紙を、特殊なワックスで張り合わせて強力に圧縮したものだ。

まだこれといって使用目的のない試作品だったが、確かに札として使うならば、良いかもしれない」



トゥシュカ様も頷き、紙はこちらに決まった。



これを、ペーパーカッターで54枚に切り分け、角をとる。

数字や記号が裏から見えてはいけないので、数字や記号は薄いインクで書き込むことにした。



リリーがナンバリングをし、ピンゼル様が4種類のマークを描き入れる。

トゥシュカ様には、J〜Kまでの成金豪族的なイラストを無茶振りして任せ、ジェイバーにはJokerのイラストをお願いした。



途中で昼食休憩を挟んで続きを進め、インクが乾いて完成した頃には、もう夕方になっていた。

窓の外は薄暗く、雨が降り始めている。



「「で…  できたぁぁあ」」



リリーとピンゼル様は仰向けに横たわり、ため息をついた。

お尻と手が痛くなったが、出来栄えはなかなか良い。



ピンゼル様が描いたマークは、7歳らしい味があって可愛く、トゥシュカ様のKはどこの大金持ち大王かと言う程、宝石がギラギラしたおじさんだった。

12枚とも細かく描き込まれ、マークの違いでJ、Q、Kが少しずつ変化をつけてあるのが、性格を表している気がする。



ジェイバーのJokerは、ピンゼル様のマークよりいびつで、ミジンコが破裂したような絵柄だった。

奇怪な場所から手足が生えていて、逆に不気味だった。


ある意味、正しくJokerだ。

ピエロや悪魔のイメージが上手く伝えられなかった、リリーの責任もある。



俯くジェイバーは、絵心ない護衛だということがよく分かった。




作業は一時中断して、インク等で汚れた手足を含め、お風呂で綺麗にしてから晩御飯を先に食べることにした。

結局今日も王城に泊まることになったが、リリーはピンゼル様とトゥシュカ様から望まれて歓待していることになっており、王様と王妃様は喜ばれているらしい。


ジェイバーにはオリバー様にカードが完成したことを伝えて貰うようお願いしてから、部屋で分かれた。




晩御飯のメインは、ポークカツレツだった。

昨日は疲れていたからあまり食べられなかったけど、今日は美味しく頂けた。



ピンゼル様は、まだナイフの使い方がたどたどしく、大きいままのお肉を噛み切れないみたいなので、リリーが小さく切ってあげた。



ピンゼル様はこの後に楽しみが待っていることもあり、上機嫌でカツを口に運び、美味しそうにもぐもぐしている。

最初の頃のストライキが嘘のようだ。

多分、シェフ達は安堵していることだろう。



「リリーの"トランプ"は、ラウンジルームを使って良いと父様に言われたよ。

後で、父様、母様も見に来るって」



なんと!

それはちょっと緊張するな…



食事が終わった面々は、満を持してラウンジルームに集合した。




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