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127.トゥシュカ様の告解③

「リリーさん、君は、僕より7つも歳が下なのに、まるで年上のようにしっかりした考えを持っているんだね」



それは、百合子(享年?18)と合わせたら19.8歳くらいだからかな…?



「なるほど…  確かに、そうかもしれない。

僕らはあらゆる教科の家庭教師を充てがわれて、色んな事に習熟する必要があったけど、それは逆に、たくさんの経験をして、自分の得意不得意を早く知ることにつながったのかもしれないな」


ひとりごとのように呟き、



「君と一緒にいたら、精神的にも身体的にも刺激になって、毎日楽しそうだ。

僕もあの軽業、やってみたいと思ってたんだ。

今度教えてくれない?」

と笑う。



そして、

リリーの髪を一房手に取り、


「リリー、公国ぼくのくにに、一緒に来ない?

ピンゼルも喜ぶ」


笑みを浮かべて上目遣いに唇を寄せた。




「えっっ? いやいやいや、ご冗談を。

私はエルム王子の婚約者ですので、そのようなことはできません」

リリーが頬を赤くしながら慌てて手を振り、髪を取り返す。




「でも、リリーさんはまだ、王子に恋愛感情を持ってはいないだろう?」



ギクッ




「ピンゼルを引き合いに出すなんて、僕は卑怯だな」


トゥシュカ様は急に真顔に戻ると、ベンチから降りて地に片膝をつき、リリーの前でひざまずいた。


薔薇園で男性に跪かれるなんてシチュエーション、それだけで心臓の音が更に騒がしくなる。



「リリーさんの優しい心、悪い大人を前に怖気づかない度胸、類稀な身体能力、温和な気質に反した冷静な分析能力…  

その全てが僕にとって好ましく、得難い魅力だ。

女性にこんな気持ちを持ったのは初めてなんだ。


どうか一緒に公国に渡り、この国との架け橋となって、僕を支えて欲しい。


王子の婚約者だということは分かっている。

だけど、物心つく前に、親同士で決めた婚約だと聞いた。

返事はすぐでなくて良いから、考えてみて貰えないだろうか」



トゥシュカ様は胸に手をあてたまま真剣な表情で言葉を紡ぎ、

目だけを横に走らせ、ふっと柔らかく笑ってから、



「それでは今宵はお部屋までお送りしましょう。

これ以上遅くなれば、護衛君と父君に殺されてしまうかもしれませんから」



木の陰からこちらを窺っているジェイバーと、リリーのことを溺愛しているパパのことは知っているようで、そう提案をし、本当に部屋の入口まで送ってくれた。



リリーは早く断らなければと思いながらも、頭が沸騰していて最後まで何も言葉にできないまま、おやすみなさいだけをやっと伝えて扉を閉め、ベッドに突っ伏した。



トゥシュカ様の情報源も、もちろんエトッフです。


リリーはもうすぐ12才、王子はもうすぐ13才。

19歳のトゥシュカ様とリリーは7歳差になります。

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