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125.トゥシュカ様の告解①

ピンゼル様が、リリーと一緒に寝る寝ると騒ぐが、さすがにそれはダメなので、寝かしつけに本を読んであげることにした。





ベッドに入ったピンゼル様の枕元の椅子に座り、胸をトントンしながら、ゆっくり物語を読み上げる。



「… こうして、太陽の神様に認められた真っ赤なてんとう虫のソルは、立派な7つの星を持つ、七星天道虫になりました。


めでたし めでたし」



読み終わる頃には、可愛い坊やは規則的な寝息をたてていた。

リリーはほっぺをつついてみて、ピンゼル様が起きないことを確認すると、静かに部屋を出た。



「 ふぅ 」



さすがにピンゼル様も疲れたのね。

扉を閉め、背にしてそっとため息をついた。


今日は本当に大変な1日だったけど、ラストを省けばなかなかのツアーコンダクターぶりだったわと一人ごちた。


歩きだそうと顔を上げると、そこにはトゥシュカ様がいた。





「ピンゼルが、世話をかけるね」


「いいえ。

私には弟がいませんが、もしいたらこのような気持ちかと思っております。

行動のほとんどが予想外ですが、それが面白く、可愛いですわ」

笑って答えた。


「そう言ってくれると有り難い。

ピンゼルは君に、とても良く懐いている」

トゥシュカ様も笑う。



「少し、話せないかな、テラスでも、庭園でも良いから」



「構いませんわ。薔薇の庭園に、オフェリアが綺麗な場所がありました。そちらでいかがでしょう」


リリーは快諾し、庭園のベンチに案内した。




「疲れているのにゴメンね。

ピンゼルのことなんだけど…」



あぁ!ピンゼル様のことね!!



「知っての通り、兄のイパロン、僕と、ピンゼルは歳が離れている。


兄は賢く秀才で、父と公国の産業の効率化に取り組み、ここ数年で大きく発展したんだ。

僕は、公国が長く戦争の憂き目に遭っていないためか自衛も禄にできていない状態を危うく感じて、警備や軍隊に手を入れることにした。

どちらかというと頭より体を動かすのが好きだったしね」


ふむふむ



「母も、僕らを立派な跡継ぎにしようと、兄と僕には英才教育を行って、毎日何らかの家庭教師がついて勉強をしている感じだった。

お陰で、僕は父母から、一般的な子どものように、愛されて可愛がられたという記憶はないんだ。

多分、愛されていたとは思うし大事にされていた筈だけど、家族で旅行とか、遊びに行くとかは全然なかった。


あぁでも、当時は公子として当たり前だと思っていたから疑問や寂しさは感じていなかったよ。


ただ、母は違ったらしい」



ふむ。



「兄と僕はかなり早くからもう、誰の力も必要無いくらい自立していた。

母とは特に話す必要性が無いから、顔を合わせない日も多かった。

それが母はとても寂しいと感じ、周囲の親子関係を羨むようになったんだ。



そんな時、ピンゼルが産まれた。

母は、僕等にできなかった分、ピンゼルに全力で愛情表現をして、普通の親子のように振る舞いたがった。

ピンゼルは愛されていることをよく分かっていたし、僕らも歳の離れた弟を可愛がった。



でも、何故なのかある日突然、ピンゼルが自分の殻に閉じこもり、家族の輪に入りたがらなくなったんだ… 」


トゥシュカ様が困った様子で首を傾げた。



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