第94話 裁き
承前
「シェルケンは来ておらんのか?」
国王が重ねて大声で問うと、横合いからグラウスマン女伯爵が進み出た。
「畏れながら。シェルケン侯爵閣下は御持病の腰痛が重く、来ておられません。しかしながら侯爵閣下からは、もう寄子ではないとの手切れ状をピオニル子爵から寄こされたと、伺っております。陛下、私、侯爵閣下からその書状を預かってまいりました」
「えぇっ! な、何ですと!」
「ピオニル、控えよ。グラウスマン、その書状を見せてみよ」
国王は一読した後に、印章官に渡した。
「印を改めよ」
「はっ」
「うん? 今日の印章官の当直はデイン子爵ではなかったか?」
「デイン子爵も本日は欠席です」
「彼も腰痛でしょうかな」
「どうも腰痛が大流行の様だな。黒縮病より質が悪いな」
宰相が独り言のように言い、国王が玉座に座り直しながら応えると周囲から笑いが洩れる。
「……ピオニル子爵の印に間違いございません」
印章官が確認を終え、書状をグラウスマン女伯爵に返却した。
国王は眉根に皺を寄せながら問うた。
「グラウスマン、どういうことなのだ」
「はい、陛下。侯爵閣下に伺った所では、子爵家の顧問として閣下がつけたニードという男から、以前に送られて参ったそうですの。その男は子爵家に完全に勤め替えをしたとかで、閣下は餞別代りにくれてやったと笑っておいででしたわ」
「手切れ状を送り付けられたのか? それはまた随分と無礼だが、シェルケンは子爵を呼び出して直接確認もせず、そのまま受け取ったのか?」
「……それは、侯爵閣下は寛大でございますし、逃げ去る鼠の顔を見ても仕方がないと言うことでしょう。寄子の一人や二人ごときで騒ぎ立てるような方でもございませんし」
「ほほう、あやつが寛大だったとはな。これは久し振りに耳新しいことを聞いたな」
国王とグラウスマン女伯爵のやり取りを聞いて周囲は失笑を洩らしたが、ピオニル子爵は呆然としていた。
そんな事、自分は知らない。
グラウスマン女伯爵も、さっきはそんな事、おくびにも出さなかったじゃないか。
ピオニル子爵は我に返ると慌てて口を出した。
「そんなはずが……私には憶えのないことです。ニードに領印を預けていたため、勝手に手切れ状を作ったものと思われます」
「それは、その男を取り調べればわかるであろう。スタイリス、そこはどうなっておるのか?」
「はっ。代官は既に死亡しております。ユークリウス、詳細を申し上げよ」
「はい、その代官、ニードは件の村に差し向けられた兵の指揮をとっておりましたが、村人の抵抗を受けた際に部下の裏切りに遭い、殺害されました。そのため、直接の取り調べはできませんでした」
「死人に口無しか」
国王の呟きに、グラウスマン女伯爵は下を向いてニヤリと笑う。
そこに宰相が口を挟んだ。
「侯爵からは手切れ状に受け書は出されたのかな?」
グラウスマン女伯爵は一瞬顔を嫌そうに歪めたが、肯定した。
「はい、そのように伺っております」
「そんなものは戴いておりません!」
ピオニル子爵が叫ぶが、グラウスマン女伯爵は動じずに応える。
「しかしながら、手切れ状は現にここにございますわ。子爵、受け書が無いという証拠はございまして? どこかに隠されているか、あるいは既に廃棄されてしまったのかもしれませんわ、陛下」
「それはそうよな」
「現に、子爵は代官からの書簡を焼却したとの証拠もありますね」
スタイリス王子が嬉しそうに口を挟み、味方を得た思いからか、女伯爵の口角が再び上がる。
一方、子爵は悲鳴にも似た声を洩らす。
「そんな……」
「まあ、他から薦められたか否かに関わらず、代官の行いは領主の責任だ。グラウスマン、もう良い。控えておれ」
「はい、失礼いたしました」
グラウスマン女伯爵は『したり』との思いを隠して澄まし顔で引き下がり、国王は悲痛な顔の子爵に再び向き直った。
「そもそも領印を預け切りにするなど以ての外で、教育以前の問題だ。どうせ、印の使用記録を作成させてそれを確認することもしておらぬのであろう。それでは、何をされても文句は言えんわ。寄親の教育責任などがどうあれ、自分で何もしようとせぬ者に、教えも学びもあろうはずがない」
「……」
「そんな些事よりも、兵の指揮とか言ったな? 子爵、村に対して討伐の兵を出したのか?」
「そ、それは、討伐などというつもりはございませんでした。ニードが、代官が、訴えについて和解する際には村人に威を示すために必要と言ったので、衛兵を連れて行くことを許可しただけです」
「威を示すとは?」
「村人を従わせるために」
「武を以って、か?」
「は、はい。逆らう者もおろうかと申しまして」
「ふむ。武を以って威を示し逆を平らげる。それがなぜ討伐ではないのだ?」
「そのようなつもりは……」
碌な答えを返せない子爵に、国王は厳しく問いを重ねる。
「其の方のつもりは聞いておらぬ。武を以って逆を討つのがなぜ討伐に当たらぬか、尋ねておる」
「畏れ入ります」
「そもそも、監察使が来ることがわかっていて、なぜ無断で兵を出した。予への訴えに対して威を示すとはどういうつもりだ? そのこと自体が、予への逆ではないか」
「そのようなつもりは毛頭ございません、申し訳ございません」
「それで戦いが起きたのだな。スタイリス、その結果はどうなった?」
「子爵側が敗れております」
「何?」
スタイリス王子が重々しい声で返した答えを聞いて国王は驚き、それまでピオニル子爵に落としていた目をスタイリス王子に向けた。
「敗れただと? 詳しく述べよ」
「はっ。ユークリウス、詳細を」
「はい。子爵側は21名が向かい、死者が先の代官を含めて2名、重傷者が6名です。残りも多くは軽傷を負いました」
「大損害だな。村人側は?」
「村人側は直接には19名が参加し、死者も目立った負傷者も無かったとのことです」
「……なんと。子爵、其の方、我が騎士たるべき貴族でありながら小勢の村人に完敗したのか」
国王の呆れ返った声と視線に、ピオニル子爵は俯き唇をかみ締める。
「申し訳ございません」
「申し訳ない、か。契約を破り、幼子を攫おうとし、暴力を揮い死傷者を出し、訴えられた挙句に討伐を試みて敗れた。確かに申し訳なかろう。他に言うことは無いのか?」
子爵は顔を真っ青にして体を震わせている。もう何の言葉も出て来ない。
国王は怒りと落胆で顔をしかめながら続けた。
「無いなら、そこで控えておれ! その戦いだが、村人がただ戦って衛兵隊に完勝したとは思い難い。スタイリス、その点、どうなのだ?」
「その点、ですか?」
「わからんのか? 何の戦準備も無くて、村人が勝てる訳がないであろうということだ。どうなのだ!」
「は、そ、それは村を調査したユークリウスに報告させます。ユークリウス、何をもたもたしている、早く申し上げろっ」
国王の勘気が自分に向いては堪らない。
スタイリスは顔を蒼くして国王の問いをユーキに振った。
国王はその厳しい目をユーキに振り向けたが、ユーキは平静な声で淡々と答えた。
「はい、村人は陛下への訴えをクリーゲブルグ辺境伯閣下に願い出るのに先立って、その二か月ほど前から戦の準備を始めております。これは先に申し上げた、代官による増税の申し渡しと子攫いの試みの直後に当たります。準備の内容としては、予定戦場の選択、戦術検討、武器や仕掛け類の作成、武術の鍛錬等を行っております」
それを聞いて国王の顔つきが怒りから驚愕に変わった。
「……その村には、軍の士官経験者でもおるのか?」
「いえ。傭兵経験がある者はおりましたが」
「では、なぜ、そのような行き届いた準備ができたのか。素人とは思えん」
「どうやら村の外に、村人に戦略を授けた者がいたようです。指揮を執った者に問い質しましたが、その名は明かしませんでした。全ての責は自分にあり、いかような御処分にも服す覚悟をしているとだけ」
「……そうか。覚悟を決めておる、か」
国王がユーキへの問いを止め、無言になる。
その様子を見て、スタイリス王子がユーキに突っ掛かった。
「ユークリウス、その話は私は聞いていないぞ。なぜ正使である私に報告しなかった!」
「正使殿下」
「お前は勝手なことばかり!」
「正使殿下!」
顔を紅潮させてスタイリス王子は憤るが、隣に立つ副使クレベール王子がその袖を引いて制止した。
スタイリス王子は眼を吊り上げてそれへ振り返る。
「クレベール、邪魔するな、何だ!」
「ユークリウス殿下は正使殿下に報告しております」
「嘘を言え! 聞いていないぞ!」
「はい。ですが、ユークリウス殿下が正使殿下に提出した戦闘報告書には、先ほどの内容が全てさらに詳細に記載されております。もちろんお読みの事と思いますが」
「え? 私はそんなもの……い、いや、そうだったかも知れん。忘れていた」
「はい。調査の内容が多岐に渡っているため、失念されたのかと」
「う、うむ、その通りだ。だが、重要なことであれば、口頭でも報告するべきだろう。ユークリウス、その点お前は……」
「スタイリス、止めよ」
まだユーキに難癖を付けようとするスタイリス王子を、暫し考えに沈んでいた国王が止めた。
「スタイリス、その戦闘報告書は後で読ませてもらおう。それより、本件の処断だ。訴えの契約については、辺境伯のものも村のものも、全てを旧に復させるものとする。では、子爵をどうすべきか。宰相、何か意見はあるか?」
「陛下、陛下の監察に逆らって兵を出した件、戦闘参加者のみならず無辜の民にも死傷者を出した件、幼児を攫わんとした件。契約違反や酷税は別としても、これらは取り分け重いと言わざるを得ません。いずれも、極刑にも相当する罪と存じます」
「そうだのう」
厳しい声での国王と宰相のやり取りを聞いて子爵は両手を床に突いて腰を落とし、さらに大きく震え出した。
周囲の貴族たちは冷ややかな、あるいは痛ましげな視線を子爵に注いでいるが、所詮彼らにとっては他人事、竜の吐く火に焼かれる者を、竜の後ろ側から眺めているだけである。
寄親にすら捨てられ国王に責められる子爵を気の毒に思って迂闊に口を出しても得られるものは何も無く、わざわざ共に焔に炙られに行く者など誰もいない。
しかし一人だけ他人事ではない者がいた。
訴えの一方の当事者であるクリーゲブルグ辺境伯である。
彼は審理の間中は、沈黙して成り行きを見守った。
得るべきものは得られた。
契約は自領のものもネルント村のものも元通りになる。
暴虐を揮っていたニードは死んでもういない。
訴えが通りさえすれば相手方がどのようになろうと知ったことではない。
だが、ただ一つ、その相手は亡き親友の子息なのである。
一時は娘の嫁ぎ先にとも考えた若者の見る影も無い姿は、見ておられるものではない。
辺境伯はたまらず前に出ようとした。
だがその時、それに先んじてユーキが国王に向かって力強い声を上げた。
「陛下、畏れながら具申したく」
「何だ、ユークリウス。意見があるなら申せ。だがお前は今回は見習いの身、正副使を差し置いての具申が詰まらぬものであらば許さんぞ」
国王の声はユーキに対しても厳しい。
だがユーキは怖じけない。
むしろ握った手に力を込め、さらに声を張って異なる論点を上げた。
「陛下、今の所、ピオニル子爵の落ち度にのみ目が向けられておりますが、村人の側も合わせて考えるべきではないでしょうか」
「どのようにか。申してみよ」
「今回、村人側が領主と戦う準備をした事、これは事実です」
「ふむ。それも玄人跣の周到な準備だったようだな」
「はい、その周到さは、その気になればより大きな損害を衛兵隊に与え、潰滅させることもできたであろう程です。陛下、陛下に訴え出ておきながら静粛に御裁断を待たず、戦の準備を念入りに行ったことは不届きです。このようなことが他に広まれば、政の秩序を崩し、国の乱れに繋がりかねません。それを思えば何らかの処分を下されてもおかしくはありません」
「それはそうだ。それも考えんとならんな」
「はい。但し、その準備は代官による暴力を受けたために始めたものです。実際の戦でも、村人は過剰な攻撃を控え守りに徹しました。それは、あくまで自衛のため、子供を守るための戦いであらねばと自覚していたからと考えられます。その点、汲むべきものもあるかと思います」
ユーキは国王に向かって胸を張って敢然と説き続ける。
周囲の貴族たちからは最初は囁き声が聞こえていたが次第次第に静まり、やがては皆がユーキに注目し、耳を傾けて聞き入り始めた。
「事情を聴取した際には、戦の指揮者と村長は、どちらも全ての責を自分一人で負おうとしておりました。それに留まらず他の村人たちも、老いも若きも、幼気な者さえも互いを気遣い庇い合っておりました。そして一様に、平和な暮らしの再来を偏に望んでおりました。一方、子爵の側も、裁かれるべき罪は多く重いとは言え、その多くは政を任された代官が行ったもの。契約の不履行、また監督が行き届かず代官の放埓を許した責はあるとしても、それ以外も全てを領主一人に担わせるのはいかがかと思われます」
ユーキはそこで一度言葉を切ると、国王から視線を移し、周囲に立ち並ぶ貴族一同を見回した。
そして目を辺境伯に停めると、再び力を込めて論じる。
「さらに申さば、もう一方の訴人であるクリーゲブルグ辺境伯閣下にも問わねばならないことがありましょう」
それを聞いて、辺境伯の肩がぴくっと震えた。
思いもかけず自分の名を挙げられて動揺したのかも知れないが、それは押し隠して表情には出さない。
しかしその美髯の端は小さく動いている。
辺境伯はユーキに真っ直ぐに向き直るとその低い声で問い直した。
「ユークリウス殿下、私が何か?」
辺境伯の鋭い眼光と冷ややかとも言えるその声にもユーキは怯まず問い掛ける。
「閣下、ピオニル子爵が関税を上げ、秋播きの小麦の作付けを増やしてから既に何か月もが過ぎております。閣下は隣領の主として早くにそれを察知し、御自身との契約が破られたことを知ったはず。にもかかわらず、先日まで訴えを起こされなかったのは何故でしょうか」
「それは……」
辺境伯は思わず言葉に詰まる。
ユーキは再び国王に向いた。
「陛下、もし辺境伯閣下が直ちに違約を訴えていれば、ピオニル子爵は事がこれほど重大になる前に、自らを正す機会を得られていたでしょう。契約の意味を悟りそれを守ることの重要性を覚え、引いては、違約を薦めた代官の非を知りこれを退けることも出来たかもしれません」
そしてまた辺境伯を見る。
「辺境伯閣下、閣下は亡き先代ピオニル子爵と深い友誼を結んでおられた御様子。おもえらく、その子息である当代子爵と事を構えるを憚り、違約を責めるを躊躇われたのではないでしょうか。そうであれば、そのお気持ちはお察しするに余りあります。しかしながらその躊躇いは、当代から学びの機会を奪うことになり、反って仇となったのではありませんか?」
「それは……、否定できません」
「この度の訴えは、遅まきながらも、子爵に身を正させたいとの思いもあったのでは?」
「……それもまた殿下の御指摘通り、畏れ入ります」
辺境伯はユーキに深く頭を下げた。
ユーキは三度国王に向き直った。
国王は先ほどまでの怒りを込めた声を鎮めて、静かな声でユーキに問うた。
「では、それらを踏まえてどう処断すべきとお前は考えるのか?」
「はい、これらの事情を鑑みれば、まず村人側には陛下からの御叱言を与えた上で今回に限るという条件を付けて不問とし、その代わりにピオニル子爵への罰も一等減じ、更生の機会を与えてはいかがかと考えます。契約不履行と代官への監督不行き届きのみで刑を極まらせるのは酷に過ぎるのではないでしょうか」
「ふむ。放埓を行った代官も、最後はともかく、元々は他から薦められた者ではあったな。正使スタイリス、ユークリウスの説をどう思うか」
スタイリス王子はユーキが自論を述べるのを忌々しそうに見ていたが、国王にいきなり意見を求められるとは思っておらず、狼狽した。
「わ、私ですか?」
「そうだ。お前自身の意見はどうか」
「え、いえ、処断は陛下がお決めになられるもの、私共はそれに従うべきで、意見具申は僭越であります」
「意見は無いという事だな。わかった」
「いえ、そういうわけでは……」
「いや、無ければ無いで良い。クレベール、副使の意見は?」
「はい、私はユークリウス殿下に賛成を致します。挙げられるべきは殿下の言で尽くされ、付け加えることはありません」
「そうか。宰相、お前の考えはどうか」
「はい、私もユークリウス殿下の説には理があると考えます。それに子爵はまだ若い身。彼も、人とはどうあるべきかを学んだのではないでしょうか。そうであれば、今回に限り、罰を軽減してもよろしいかと」
宰相の意見を聞き終わった国王は、暫し黙然と瞑目した後に厳しい声に戻って子爵に問うた。
「ペルシュウィン・ピオニル、どうじゃ?」
我が身の明日を覆い尽くさんとする暗闇の中、思いもよらずユーキによってもたらされた一筋の光明に、子爵はその眼を光らせていた。
かすれる声を震わせながら、国王に懸命に訴える。
「何卒、陛下の御慈悲を賜りたく、お願い申し上げます」
「もし罰を減ぜられたら、お前自身はどうなりたいか?」
「はい。……領主たる威厳をもって領民に当たり、」
「オホン」
「粛々と権能を揮って彼らを導き、」
「オホン、オホン」
宰相がわざとらしく咳払いを繰り返すが、子爵は気付かず国王も手を上げて宰相を遮る。
「貴族の体面を保ち、以って陛下の御威光を領内に遍く……」
「もう良い! 止めよ!」
「は……」
「継爵の際と、同じ事を言っておるではないか! あの時にそう言って、お前はいったい何をしたのか? お前の罪は、予の民を預け続けることが出来るようなものではない。予は、領主としてではない、お前自身のことを問うたのだ。何も学んでおらぬではないか! 村人ですら、罰への覚悟を決めておるのだぞ!」
「それは……」
「折角ユークリウスが垂らした最後の救いの綱に、自ら輪を結ぼうというのか」
「そんな……」
「黙れ! もう沢山だ、下がれ! 沙汰は後ほど伝える!」
国王の激しい叱言に子爵は口を開けたまま涙を流し始めて座り込んでしまい、腰が抜けたのか立ち上がれない。
宰相が手を振ると、二名の衛兵が出て来て両側から子爵の脇を抱え上げ、半ば引きずるようにして謁見室から連れ出した。
立ち並ぶ面々はそれぞれ様々な思いでそれを見守る。
あれだけ貴族としての体面に拘ったペルシュウィン・ピオニル子爵の姿には、威厳のかけらも残っていなかった。
お読みいただき有難うございます。




