第60話 壮行会
前話翌日
ピオニル子爵への監察が命じられた翌日、ユーキはスタイリス殿下の母方の祖父であるオットー伯爵が主催するパーティーに来ていた。
孫であるスタイリス殿下が監察正使を国王陛下から仰せつかったので、その成功を願っての内輪の壮行の集いとのことである。
内輪とは言いつつも、『監察の随行員は全員参加するようにスタイリス殿下が強く希望されている』との使者の口上を聞いては、急ぎ参加せざるを得ない。
それにスタイリス殿下のためのパーティーとあれば、取り巻きの貴族達や聞きつけた令嬢たちも多数参加となり、内輪とは思えない、規模の大きい盛大な会になった。
監察は難しい役目でしかも貴族の不祥事絡みだし、早く現地に行かないといけないというのにこんなことをしている場合じゃないだろうと、国王陛下の御勘気に触れないか心配だ。
というか、国王陛下から仰せつかった翌日に良くこんなことを企画実行できるものだと、伯爵閣下の行動力に驚かされる。
ユーキが到着した時には、会はもう盛り上がっている最中であった。
エスコートして一緒に行く相手もおらず、伯爵邸に到着するとクルティスを控室で待たせて一人で会場に向かう。
内輪の会の体裁を取っているため入り口で名前を麗々と呼び上げられることもなく、従僕が静かに開いた扉を通って喧しい大広間の会場に入る。
さてどうしようか、取りあえずは主催者である伯爵と主賓であるスタイリス殿下に挨拶に行くものだろうと、きょろきょろして捜していると、目の前に立ってこちらの気を引こうとしている人物がいる。
以前のパーティーで、ユーキが話をしてダンスも踊った年下の子爵令嬢だ。
あの時とよく似た、桃色の華やかなドレスで豊かな体を装っている。
笑顔も声もドレス同様、あの時と相変わらず華やかである。
だがその後に、もう一人の令嬢と強い口調でユーキの陰口を言い合っていたことを思い出し、苦い気持ちになる。
「御機嫌よう。お久し振りですね」
「まあ、殿下、そのようなおっしゃり方は悲しうございます。私には久し振りとは思えません。お話しするのは何か月ぶりかも知れませんが、私は殿下の御活躍のお噂を始終伺っております。王城でお見掛けすることもしばしばございます。お勤めのお邪魔をしてはならじとこらえてはおりますが、手を振って気付いていただきたい気持ちで、いつも一杯ですわ。本日はお声を掛けていただき、嬉しさで胸がはじけそうです」
そういって、ドレスの胸を両腕で押さえて見せる。
実際には豊かな胸を下から持ち上げて強調しているのだが。
「そうですか」
「はい。今回はお役に御参加の由、伺いました。殿下を御選任になられるとは、さすが国王陛下は御眼が確かでいらっしゃいます」
「いえ、私は今回は見習いとして連れて行っていただく身ですので」
「それは仮のお姿、陛下の御期待はもっと上にあるものと拝察いたします」
「そうでしょうか」
褒めてくれるのは有難がるべきなのだろうが、陰口のことを思うと、そういう気にもなれない。
ユーキが苦笑していると、令嬢はさらに近寄って来る。
「伯爵閣下に御挨拶に行かれるのですか? 実は私もまだですの。もしお差し障りなければ、随わせていただければ、この身の誉れなのですが……」
令嬢はあざとく上目がちにこちらを見上げる。
だがそれは困る。主催者の依頼でエスコートして来たわけでもないのに、手を引いて挨拶に行っては、非常に近しい間柄とみなされかねない。
どうやって断ろうかと迷っていると、横から声が掛かった。
これまたユーキの陰口を言っていた、もう一人の子爵令嬢である。
こちらは細身の体を涼やかな水色のドレスに包んだお姿だ。
「ここにいらしたのね? さきほど、オットー伯爵閣下から、貴女から御挨拶を受けたと伺ったので、探しておりましたのよ。あら、殿下、お話し中大層失礼いたしました」
「御機嫌よう。お久し振りです」
「まあ、殿下、久し振りとは連れのうございます。この前ダンスの手を取って下さったのは数か月前かも知れませんが、私には昨日の事のようにありありと浮かぶ、大切な思い出ですの。殿下にとっては、多くのお相手の一人にすぎないのでしょうか……。でも、御政務に誠心誠意取り組まれる殿下の事、遊び事などお忘れになっても当然のことですわね。父や存じ寄りの閣下方から、殿下の御活躍の御様子を嬉しく伺っております。御進境著しく、頼もしい限りと皆さま仰せです。私も殿下をお頼みにさせていただきとうございます」
「ありがとうございます。それでは貴女も、伯爵閣下への御挨拶はお済なのですね?」
「はい、こちら様と御同様に」
「貴女、失礼ではありませんこと? 私が今、殿下とお話をさせていただいていたのですわ」
「あら、失礼いたしました。でも、殿下をお独り占めなさろうとは、感心致しませんわ」
「オホン、お二方、私は伯爵閣下への挨拶がまだですので、申し訳ありませんが失礼してそちらへ向かわせていただきます。お二方はどうぞこちらでご歓談ください。では失礼」
一方的に喋る二人の所から、ほうほうの態でユーキが逃げ出す。
もし後ろを振り返ったら、向き合って咲いた二輪のアルラウネのように、二人が身動きもせず睨み合う所が見えただろう。
ユーキが部屋の中央の方に向かうと、それぞれに着飾った令嬢たちの花垣ができている。
伸び上がって中を覗いてみると、案の定、スタイリス王子がいる。
その人集りの手前に主催者であるオットー伯爵とスタイリス王子の母親であるフェブラー王子の正妃殿下がいたので無難に挨拶を済ませた。
次にスタイリス王子への挨拶を早く済ませてしまおうと思って、人をかき分けていくと、いつもとは違って令嬢たちの輪の径が大きい。
何事かと思うと、中でスタイリス王子と一人の令嬢が刺々しい声で言葉をぶつけあうのが聞こえた。
濃い紅のドレスを着た、ファレノ・アンデーレ伯爵令嬢である。
彫りの深い顔立ちの飛び切りの美女だが、派手好きで身持ちが悪いと以前からもっぱらの噂の女性である。
多数の男性と浮名を流したのちに同じ派閥の下級貴族の家から婿を貰ったはずだが、それらしい相手は見当たらず、一人のようだ。
「アンデーレ伯爵令嬢、久し振りだな。しばらく社交界では姿を見掛けなかったが、元気そうで何よりだ。何か、人前に出て来られない理由でもあったのかな? ああ、そう言えば、御夫君がお家を出られたとか噂を聞いたが」
「スタイリス殿下、相変わらずの不躾なお尋ね、有難うございます。その点、初めてお会いした時から変わられておられないようで安心しましたわ。あの時も、ある家の奥方の御夫君は、毎日何時ごろに家を出て何時間後に戻られるのかとお尋ねでしたわね」
「……その不遜な態度が、御夫君が家を出られた原因かな? それとも、結婚後もあちこちで若い男に声を掛け続けていたせいかな?」
「どうでしょうかしら。私は存じません。出て行った本人にお尋ねになられれば? ああ、よろしければ、『もう戻ってくるには及ばない、連れて行った婢とお幸せに』とお伝え下さりませんこと?」
「ふん、王族を使者に走らそうとは、結構な御身分だ。どうせ今日も、別の男を見繕いに来たのだろうが。いつまでも昔のように男どもにちやほやされると思わぬ方が良いぞ」
「あら、御忠告有難うございます。殿下に置かれましても、お言葉、御身に戻らぬようにお気を付けあそばせ。近頃は御姿絵の売れ行きに陰りが見えるともっぱらのお噂ですわよ」
「……何だと?」
「他の王族方の御姿絵が伸びているとか、聞いております。どうぞ庶民人気首位の座を奪われぬよう、お祈りいたします」
「俺はそんなもの気に掛けたことは無い。人聞きの悪いことを言うな」
「あら、そうでしたの? 初めて夜啼鳥の声を御一緒に聞いた夜に、一番人気だと嬉しそうに一枚お下げ渡しくださったのは、私のそら憶えだったのかしら。大層失礼いたしました」
「ああ、全くだ。お前が欲しいと言ったからくれてやったのだ。勝手なことを言って、不愉快な奴だ。俺の目の前から消え失せろ!」
「おお、怖い。では、失礼いたします。ごめんあそばせ……お通しくださいませ」
言うだけ言うと、アンデーレ伯爵令嬢は人垣をかき分けて離れて行った。
帰るのかと思うとそうではなく、部屋の片隅で若い男を捕まえて何か話している。
どうやら結婚後も、そして婿に逃げられた後も、男好きは健在のようだ。
一時はスタイリス王子と相思相愛とも噂されたが、今の話を聞くとまんざら嘘でもなかったようだ。
幸い、ユーキはアンデーレ嬢とは知り合いではない。くわばら、くわばら、である。
アンデーレ嬢が離れて行ったことで、スタイリス王子の周囲はほっとした雰囲気が漂っている。
離れていた令嬢方の花垣がここぞとばかりに王子に向かって輪を狭めて行く。
これでは挨拶どころではない、どうしようかと思ったら、スタイリス王子の方からこちらを見つけたようで声を掛けて来た。
「ユークリウスではないか。遅かったな」
「スタイリス殿下、遅参いたし申し訳ございません。今回は正使への御就任おめでとうございます。随行させていただけること、光栄です。よろしく御教導の程、お願いいたします」
ユーキが大勢の令嬢の前で遜って見せたことで、スタイリス王子の御機嫌は回復した様だ。
「うむ。お前も精々励むことだな」
「はい、励ませていただきます。あらかじめいろいろとお教えいただきたいこともありますが、本日は殿下とお話をされたい方も多いと思いますので、これにて失礼いたします。クレベール殿下にも挨拶させていただきたいのですが、どちらにいらっしゃるか御存じでしょうか?」
「おいおい、もう逃げ出すのか?」
「はい、このような華やかな場は苦手ですので」
実際、自分たちが話をしたいのだから早くあっちへ行けという、令嬢方の目がやたらに突き刺さって痛い。
「そんなことで王族が務まるか。このような席で人に取り囲まれるのは、王族であれば当たり前だろう?」
「いえ、これは殿下の御人徳のなせるものと」
「それはそうかもしれんな。クレベールなら、あっちの隅にいたぞ。行ってみるがいい」
「はい、では失礼します」
ユーキが令嬢方をかき分けて離れると、後ろから「まあ、あいつは糞真面目だからな。こういう所が場違いなことがわかるぐらいには成長したのだろう」というスタイリス王子の声と、令嬢方の追従笑いが追いかけて来た。
こういう事には慣れっこなので気にせずに歩いて行くと、クレベール王子が地味なドレスを着た女性と一緒にいるのに気付いた。
王子の母親である、フェブラー殿下の側室だ。
「クレベール殿下、奥様、御機嫌よう」
「ユークリウス殿下か。御機嫌よう」「殿下、お久し振りにございます。御機嫌麗しゅう存じます」
「クレベール殿下、今回は副使への御就任おめでとうございます。随行させていただけること、光栄です。よろしく御教導の程、お願いいたします」
「ああ、よろしくお願いする」
「ユークリウス殿下、何卒、この子をよろしくお願いいたします」
「母上、いつまでも子ども扱いはお止め下さい。ユークリウス殿下に笑われてしまいます」
「ごめんなさい。貴方の事が心配で、つい。それでは、私はフェブラー殿下のところに戻りますので。ユークリウス殿下、失礼いたします」
「奥様、どうぞ御遠慮なく。それでは」
会場を去る母親を見送った後、クレベール王子は切なそうに溜息をついている。
ユーキは尋ねてみた。
「フェブラー殿下のお加減は、良くないのですか?」
「いや、そういうわけではない。寝付いたままというのには変わりはないが。母上は父上が何より大事だからな。できるだけ側を離れたくないのだ。正妃殿下様はお忙しくてあまり父上の所に来られないので、その間は母上がずっとついておられる」
「それは大変ですね」
「ああ。母上自身の心労が大きくてな」
クレベール王子はまた溜息をついている。
この殿下の母親思いは世間でも有名だ。ユーキは同情心を込めて言った。
「殿下としても御心配ですね」
「うむ。そうなのだ。私も母上の側におりたいので、今回のお役もお受けするのを躊躇ったのだが、陛下の御命だからな。兄上から迂闊に離れるわけにもいかんしな。……今のは全て御内分に御願いする」
「心得ております。できるだけ早く監察を終えられるよう、励みましょう」
「うむ、よろしく頼む。では、私は兄の所へ行くので、これで失礼する」
「はい、失礼いたします」
クレベールはユーキから離れて歩きながら思った。
「(今のは何だったんだ。ユークリウスの言葉を真に受けて、つい心が緩んで要らざることを言ってしまった。……若いが不思議な男だ。気を付けないと)」
ユーキはクレベール王子を見送った後、出口に向かった。
挨拶は済ませたし、もうよかろう。こんなところで遊んでいる暇はない。
旅装はアンジェラがあっという間に作ってくれたが、監察というものについて過去の事例を少しでも調べておきたい。
とっとと帰ることにしよう。
そう思った時に紅色が目に入ったと思ったら、声を掛けられた。
「失礼いたします。ユークリウス殿下とお見受けいたします」
声の方を見て、ユーキはぎょっとした。
アンデーレ伯爵令嬢だ。
「はい。アンデーレ伯爵のお嬢様でいらっしゃいますね? 御機嫌よう」
「御機嫌よう。ファレノ・アンデーレと申します。お見知りおきのほどを。どうぞ、『ファレノ』とお呼び捨て下さいまし」
「い、いえ。『永遠に萎れぬアンデーレ家の胡蝶蘭』を呼び捨てになどできません。御容赦下さい、アンデーレ嬢」
ユーキは動揺を隠して何とかそれらしいことを言った。
アンデーレ伯爵令嬢は口角を上げる。
『にっこり』と言うよりは『にたり』と言う方が当たる。
人身御供を見つけたミノタウルスはさもあらん、という笑いだ。
「あら、嬉しうございますこと。そのように言って下さる方はもう絶えて久しうございますのに。かつてその名で褒めて下さった方々は今では私を厭い、お離れになられました」
「そうなのですか」
「ええ。口さがない小雀たちの噂話を、殿下もお耳にされてと思います。その淋しい私の身の上をお思い下さり、敢えてその名を呼んで下さったのでしょう? 女心を掴むのに長けておられますこと。真面目なお方とは伺っておりましたが……女性を惹き付けることにも真面目でいらっしゃいますのね」
「いえ、そのようにおっしゃられては、お答えに困ります」
そんなつもりはこれっぽっちも無い。
困惑するユーキに全く構わず、アンデーレ伯爵令嬢は右手の甲を顎の下に当てて姿を作り、勝手に話を進める。
「私、実は先程から疲れのせいで少し気分が優れなくて……」
「それはいけませんね。大丈夫ですか?」
「はい。ですが、念のため帰ろうかと……申し訳ありませんが、殿下、控室までお手をお貸しいただけませんでしょうか」
そう言うや否や、アンデーレ伯爵令嬢はユーキの右腕に抱きついて来た。
ミノタウルス変じて、獲物を鎌に捕らえた雌の大蟷螂だ。
もう我が物だ、放さじと、腕に力をぐいぐいと込め、胸を押し付けて来る。
ユーキは辟易したが、成り行き上、突き放すわけにも行かない。
だが『控室まで』と言いながら、そこまで行けば馬車の中へ、自邸へと、連れ込むつもりなのは初心なユーキでもさすがにわかる。
周りの目も気になるし、ひそひそと言う声が聞こえる気もする。
どうやって逃げ出すかと思案にあぐね、出口の方へ引きずられかけた時に、さきほどからこちらを見守っていた者達が声を掛けて来た。
「アンデーレ様、大丈夫ですか?」「アンデーレ様、どうぞお気をお確かに」
最初にユーキに声を掛けて来た二人の子爵令嬢だ。
こっちは、獲物を捕まえた大マンティスの周りをうろついて、隙あらば掠め取らんとするゴブリンたちだろうか。
「ええ、大したことはありませんの。どうぞお気遣いなく」
「いいえ、御身をお大切に。控室には私たちがお供いたします」「そうですわ。両側からお支えしますので、どうぞ殿下のお腕をお放し下さいませ」
「いいえ、お構いなく。それに私の控室には、伯爵家以上の者しか入れませんことよ」
アンデーレ伯爵令嬢は、力強く宣言する。
一体、どこが具合が悪いのだろうか。
だが、そう言われると子爵家の令嬢は分が悪い。
悔しそうにしながらも、二人は引き下がらざるを得ない。
アンデーレ伯爵令嬢が勝ち誇った顔をしたその時、別の声が掛かった。
「では、私がお供しましょう、アンデーレ様」
そちらを見ると、見覚えのある別の令嬢が立っていた。
「私であれば、家柄に御不足はございませんでしょう?」
「……ええ、ディートリッヒ様」
ベアトリクス・ディートリッヒ伯爵令嬢、ユーキの従姉であるスザンネ・ウィルヘルムの友人で、今回の監察の随行員の一人である。
「殿下、正使スタイリス殿下がお呼びのようですわ。監察に関係する事のようです。御心配でしょうが、アンデーレ様は私にお任せくださいまし」
「わかりました。ディートリッヒ嬢、ありがとうございます。アンデーレ嬢、申し訳ありませんが、失礼いたします。どうぞお体をお大事に」
「いえ、もう結構です。気分もどうやら気のせいのようでしたし、これで失礼いたしますわ」
そう言い捨てると、アンデーレ伯爵令嬢は身を翻して去って行った。
その姿が出口から消えるのを見届けると、ユーキは心からほっとして礼を言った。
「ディートリッヒ嬢、ありがとうございます。スタイリス殿下はどちらに?」
「あら、そんなの嘘ですわ。お困りのようでしたので。もうお引き上げになられたいのでしょう? どうぞ今のうちにご退散を。監察ではよろしくお願いいたします」
「……助かります。こちらこそよろしく。それでは」
ユーキはディートリッヒ嬢に感謝して、伯爵邸から逃げ出すことにした。
二人の子爵令嬢が何か言いたげにこちらを見ているが、もう無視することにする。
急ぎ足で会場を出て、花蟷螂が待ち伏せしていないか用心しながら控室へ行く。
そこで退屈そうに腕立て伏せをしていたクルティスと合流し、馬車に乗って無事出立した。
馬車の中でユーキが「はぁ……」と深いため息を零すと、クルティスに聞き咎められた。
「ユーキ様、どうされました?」
「令嬢方って、やっぱり怖い……」
「何かあったのですか?」
「あったというか、なかったというか」
「どっちですか?」
「疲れた」
「はあ」
「菫さんに会いたい……今日は本当にそう思った」
「はあ」
「そうだ! 監察に行っている間は手紙を書いてる場合じゃないんだった! 菫さんにそれを知らせておかないと! でも、監察の勉強もしないと……クルティス、急ぐぞ」
「はあ」
お読みいただき有難うございます。




