75
誤字報告並びに矛盾などのご指摘本当にありがとうございます。
所々直したり加筆してなるべく矛盾を無くし読み易くなるようにしてみました。
今後もおかしな点がありましたらご指摘いただけると幸いです。
フィオリーナは心に芽生えたモヤモヤの正体が分からないままダンジョン攻略を続けた。
クラヴィス様も誘ってみたが、興味が無いと突っぱねられたので別行動をしていたらいつの間にか仲間から外されていた。
お父様に知られかなり叱られたが、光魔法の回復魔法を使える様になったと言うと少し機嫌が良くなった。
そして今は他の魔法も使える様に頑張っている最中だと言うと、本科生になるまでの猶予をくれた。
ロザリアンヌの言っていたレベルを上げてステータスが上がったら使える魔法も増えると言った言葉は嘘では無かった。
事実レベルが上がった事で、光魔法の回復魔法も使える様になり攻撃魔法の威力も上がった。
自分が新たに魔導書で覚えた光魔法の数々も、いつかは使える日が来ると今は希望が持てていた。
そもそも光魔法は光の精霊を宿さないと使えないと言われていた。
それをお父様が何処からか魔導書を手に入れ、私に習得する様に命じた。
初めは家庭教師に魔法の基礎を学び、その後光魔法の練習をしたが発動の難しさを感じていた。
そして時間は掛かったが光の攻撃魔法を極小さく発動できる様になると、お父様は聖女候補の誕生だと大層喜んでくれた。
褒められる事の無かったフィオリーナはとても嬉しくなって、何度も何度も光魔法の練習をした。
他の光魔法も習得すればもっと喜んで貰えるだろうと毎日頑張ったが、他の光魔法を習得する事は無かった。
魔法学校へ通う事になり、聖女候補としてしっかりとクラヴィス様のお役に立てる様にと命じられ、今度こそもっとお父様に喜んで貰おうと必死になったが、何一つ思う様に上手く行かずにいた。
しかしまた奇妙な夢を見る事が増えた。
いやにはっきりと記憶に残る奇妙な夢で、ダンジョンボスの隠し部屋で宝箱を開ける夢だった。
夢が本当に予知なのか確かめる為にボスに挑み、夢にあった場所を探すと本当に隠し部屋も宝箱もあった。
中にはお世辞にも綺麗とは言い難いシンプルな銀の指輪が入っていた。
宝箱の中に入っている位のものだから、きっと高価なものだろうと期待したのでフィオリーナはちょっとガッカリだった。
しかしこの事があって、自分が見る奇妙な夢は何かの啓示か予知だろうとフィオリーナは考え始めていた。
そしてその後に見た奇妙な夢の内容をお父様に伝えた。内容はお父様に関わる事でもあったからだ。
フィオリーナはお父様がどんな事業をしているのか詳しく知らないが、夢はその内容をはっきりと見せていた。
他国とも密約を続けたお父様が破滅する姿で、フィオリーナや母も一緒に断罪されていた。
国内で教会や貴族と繋がる程度の悪だくみなら、国王も見逃していて下さる。
フィオリーナの夢はとても危険なお父様の行為を止めさせ、フィオリーナの未来を守れと告げている様に感じた。
お父様が現実に盗みや人攫いという犯罪に加担する姿など見たくもない。
ましてやそのせいで家族みんなが断罪されるなど悲しすぎる。
そう思ったフィオリーナは心を込めて夢の内容を告げた。
しかしお父様は私の話を聞いた途端に怒りだし、認めようとしないばかりか話も聞いてくれなくなった。
お父様はそんなにお金を得ていったい何がしたいの?
私や母様は今でも充分に幸せだと言うのに、お父様は今のままでどうして満足できないの?
私は今までいったい何のために何を頑張っていたの?
フィオリーナが縋る様にすればするほどお父様は遠ざかって行った。
そんなある日校門の前で教会関係者に囲まれた。
「あなたの父上から頼まれました、今日から教会で聖女の修行を始めなさい」
フィオリーナは自分はお父様に捨てられたのだと悟った。フィオリーナの事が煩わしくなったのだろうと。
(私はもうお父様のお役には立てないと見限られたのか)
「分かりました」
フィオリーナは大人しく従う事にしたが、まだ諦めてはいなかった。
奇妙な夢がフィオリーナに危険を知らせてくれたのなら、きっとまだ打つ手はある筈。
できる事ならお父様を暴く事はしたくない、だから教会を利用してでも絶対にお父様の破滅を防ぎ自分の未来も守ってみせる。
フィオリーナは密かに決意した。
「フィオリーナ様そんなのダメです」
一緒にいたアンジェリカはフィオリーナが教会の車に乗り込もうとする所を止めに入った。
そのせいで一緒に教会に連れて来られたアンジェリカ。
そしてどうしてか鍵の掛かった薄暗く狭い部屋に閉じ込められてしまった。
まさかの事態にアンジェリカだけは助けださなくてはと考えるフィオリーナ。
教会相手にここからどう交渉すれば良いのかと考えながら、心が折れない様に気持ちをしっかりと保とうとしていた。
フィオリーナは自分がこれからどうなるのかの心配よりも、父の破滅の阻止とアンジェリカの身の安全を懸命に考えていた。
私はストーリーを考えて主人公を動かしているので行動がちぐはぐになるのだと学びました。
以後主人公を動かしてストーリーを作れる様に心掛けようと思っていますので、これからもお読みいただけると幸いです。




