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誤字報告ありがとうございます。とても勉強になります。
また私が至らないために荒れる結果となった事お詫びいたします。
それから今まで読んでくださった皆様には申し訳ありませんが、指摘される事が多くなった事もあり少しずつ改稿しています。
ストーリー自体は然程変わりは無いと思いますが、より読み易くなるよう努力いたします。
全部終わりましたらまたご報告させていただきます。
ちなみに毎日午前1:00に予約投稿しています。
隠れ家を拠点にして残りの夏季休暇は予定通りダンジョン攻略をする事にした。
レヴィアスに私達の戦い方を見せたかったのもあるし、擬人化したレヴィアスの戦い方も知っておきたかったからだ。
それに使節団の騒ぎで浮足立ち騒がしい街中に居るより落ち着けたのも理由だった。
レヴィアスは大賢者様が錬成した魔剣を武器にしていた。レイピアに似た不思議な感じのする片手剣だった。
魔剣まで練成してしまう大賢者様って本当に凄いとしか言いようが無い。
他にも武器の類やローブといった防具も数々あったが、今のロザリアンヌ達には必要が無いのでそのままにしてある。
隠れ家のキッチンやお風呂は300年前に作られたとは思えない程使い勝手が良かったが、寝室にベッドが一つしか無かったのが難点だった。
もっともダンジョン内で寝袋で寝るよりは、上質な毛皮が敷かれた隠れ家の中での寝袋の方が快適だったので問題無い事にしておいた。
日中はダンジョンの攻略をして夜になったら隠れ家で休むを繰り返し、階層が進む度に転移魔晶石を作って行った。
キラルとウィルがあまり魔法も使えず前衛一辺倒なのに比べ、レヴィアスは剣も騎士の様に扱い魔法もバンバン使うので中衛を任せられた。
さすがに年季の入った精霊は違うなといった感じでロザリアンヌ達は目を見張り、とても頼もしい仲間が増えた事を喜んだ。
お陰で夏季休暇中に41階層まで進む事ができた。想定以上の速さだった。
魔物も大型化し難敵も増えたとはいえ、魔法が効く相手は魔法でフルボッコ、魔法に耐性がある相手はデバフ攻撃、魔法もデバフもダメな相手は精霊達が頑張ってくれた。
群れてくる魔物はロザリアンヌとアンナの広範囲魔法で大概どうにかできたので、Sランクダンジョンといってもあまり怖いものも無かった。
何と言ってもレヴィアスが仕掛けた罠も無くなり、階層ボスより強かったレヴィアスが仲間になったのでロザリアンヌ達に攻略出来ない訳が無いと思われた。
しかし新学期が始まったらダンジョンの攻略は週末だけにする事にした。
フィールドが広く平日の半日程度の攻略ではあまり進めないので、週末に泊まり込みでダンジョンに入る事にしたのだ。
それに折角集めた高品質の素材で作ってみたい物や、試したい改良などの閃きもあり錬金にも力を入れたかった。
「レヴィアスは私が学校に行っている間はどうするの?」
「少し知りたい事や調べたい事があるので別行動でも良いだろうか?」
「それは構わないけど、大丈夫なの?」
ロザリアンヌもさすがにキラルとレヴィアスを連れて学校へ行くのは目立ち過ぎるだろうと思ってはいたが、いざ別行動をしたいと言われると何だか心配になった。
「認識阻害を使って行動するので問題ない。それにしばらくは学校内も見たいから傍に居ると思ってくれて大丈夫だ。何かあれば念話で知らせろ、すぐに駆け付ける」
「僕が居るから大丈夫だよ」
心配するロザリアンヌを安心させようとしたレヴィアスに対抗する様にキラルが割り込んで来た。
「うん、頼りにしてるよキラル」
ロザリアンヌは何となくキラルの頭を撫でていた。
「学校では女生徒に姿を見られない様に絶対に気を付けてよね」
「ああ、私の認識阻害は見破られる事は無い安心しろ」
レヴィアスはそう言うが、ロザリアンヌはもしレヴィアスが女生徒に見つかったなら、きっとキラル以上の騒ぎになるだろうと別の心配もしていた。
可愛いどころの騒ぎではなく、一瞬でハートを奪われる女生徒の姿を想像してまう。
そんなロザリアンヌの想像は、けして間違っていないと思われた。
そうして始まった新学期は相変わらずキラルは女生徒に囲まれて賑やかにしていたが、ロザリアンヌは午後の実習も参加する事にした。
ダンジョンにも行かずユーリから解放された事もあるが、あまり使った事の無い魔法の熟練度を上げる事にしたのだった。
ダンジョンの魔物相手にと考えていたが、結局いつもの使い慣れた魔法ばかりを使ってしまい実践では無理だと感じたからだ。
ロザリアンヌは漸く学生らしい生活をしているように思えた。
しかし初めのうちは「その魔法はなんていうの?」「どうやって習得したの?」等と話しかけてきた生徒達にもいつの間にか遠巻きにされ、ロザリアンヌはやはり一人黙々と魔法の熟練度を上げる作業に没頭する様になっていた。
どうもロザリアンヌの放つ魔法の威力に、生徒達が慄いた様だ。
なかなか他の生徒と親しくするチャンスが無かった。
「まぁ、いいかぁ」とロザリアンヌが半ば諦めかけた頃、久しぶりにユーリに呼び出された。
「もうすぐCランクダンジョンの攻略が終わる。彼等と攻略をしてくれるのだよな」
「えっと・・・」
ロザリアンヌは以前彼女達が高難易度ダンジョンに挑める様になったら協力を考えても良いですと言った事を思い出していた。
それにSランクダンジョンの踏破を彼女達とする事も考えてはいた。
しかし大賢者様の書物から学んだ≪大き過ぎる力は恐れられる≫を思い出し、表舞台で目立つ事は控えたいとロザリアンヌは思った。
「先生がそのまま引率するのではダメなのですか?」
「それも考えてはいたが、それでは時間が間に合わない。それに学生だけで攻略したと思わせる方が効果的だ」
ユーリはあくまでも学生にSランクダンジョンの踏破をさせる事に拘っている様だ。
「良く分かりませんが、協力するのには条件があります」
ロザリアンヌはユーリの考えは少し理解しがたかったが、条件付きで協力する事にした。
例え断ったとしてもユーリが簡単に諦めるようには思えなかったし、断った方が面倒な事になりそうな気がしたからだ。
「私の名前は出さない。私の攻略法に文句を付けない。これが絶対です」
ロザリアンヌは攻略パーティーに自分が居る事を伏せる事を条件にした。
そして彼女達がどれ程戦えるか知らないが、彼女達に合わせるよりロザリアンヌとキラルとレヴィアスで攻略した方が簡単なので、彼女達を戦闘に参加させないつもりだった。
彼女達には自分の身を護る事に徹して貰う事でダンジョンを進もうと考えていた。
パワーレベリングと何ら変わりないが、どうせ彼女達はSランクダンジョンの踏破後はダンジョンの攻略を続ける事はしないだろうし、ユーリもそこまで望んではいないだろう。
要するに欲しいのは実績と名声だけなのだ。
そんな事に協力させられるのなら、せめて好きにさせて貰いたいとロザリアンヌは考えたのだった。
「3人でSランクダンジョンを踏破したと言うのはさすがに無理が無いか?」
「元々学生が在学中に踏破したと言うのに無理があるのですよ、嫌ならお断りします」
ロザリアンヌがきっぱりと答えると、ユーリは暫く考え込み仕方なく了承した。
「分かった私が引率して踏破したという事にしよう」
「それが一番無理が無い話だと思いますよ」
もともとユーリは大賢者候補と言われていた魔法使いなのだ、それが何故魔法学校の一教師をしているのか不思議なくらいだ。
きっと世間もユーリが引率して成し遂げたとした方が納得するだろうとロザリアンヌは頷いた。
こうしてロザリアンヌは結局また、午後の実習時間はダンジョン攻略の日々に戻る事になった。




