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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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ジュリオに相談してみると結論を出したは良いが、ロザリアンヌがお城に出向いたとしてもそうそう相手にされるとは思えず、結局ソフィアの伝手を伝って王太子に謁見を申し込むと、それを聞きつけたジュリオはその日のうちにお忍びで錬金術店を訪れた。


「手順通りに事を運んでは何か月後になるか分からないからな」


ジュリオの言い分はもっともだったが、それで良いのか?と思う反面、この錬金術店をそれだけ重要視してくれているのだとロザリアンヌは感謝していた。


「それで今回はどんな重要な話があるのだ?話を聞くのが楽しみだったぞ」


「私としては急のお忍びは控えていただけると有難いのですが」


相変わらずお供は護衛騎士のマークス一人だった。

もっとも大人数でのお忍びなんて逆に目立ち過ぎるだろうし、この街の治安はそれ程悪くは無いのでそれで十分なのだろう。


「しばらく黙ってろ。良いか、間違ってもおまえは口を挟むなよ」


非難がましく睨むマークスをジュリオは逆に睨み返し、今から重要な話が始まるのだという雰囲気を作った。


ゲームの中ではあまりやる気も感じられないお坊ちゃまキャラだったが、大人になるとこうも変わるのかとロザリアンヌは何となく感心していた。


前回の件はその地位を利用して通例通りの対処で商人を黙らせただけで、結局のところジュリオが何をしたと言う事では無いとロザリアンヌは思っていた。

しかしその後のジュリオの変化を耳にし、少なくともこれから重要な話が始まるのだと理解できている事に少しだけ期待が膨らんだ。


「これなんですが」


ロザリアンヌが差し出したマジックポーチを受け取ると、ジュリオは怪訝そうな表情でロザリアンヌを見た。


「コレがどうしたというのだ?」


「空間内の時間を停止させる事に成功しました」


一瞬何を言っているのか理解が及ばないという風に顔を歪めたジュリオ。


「空間内に時間がどう関係するというのだ?」


時間とは自分達が生活する上で目安になるもの程度にしか認識の無いジュリオは、本当に空間と時間の関連性には考えが及ばなかった。


「時間が停止すると言う事は、中に入れた物の劣化が止まります」


「劣化が止まると言うと・・・」


ジュリオは暫く本気で考え込んでいる様だった。

この世界にはもちろん時間という観念もあり時計も存在しているのに、時間の経過に関する認識が薄い様だった。


「例えばこのパンが乾燥して硬くなる事も腐る事も無くなると言う事です」


ロザリアンヌはあまりにも見ていられず、ジュリオが考えつくより先に答えを提示した。


「このマジックポーチに入れておけばと言う事か?」


「そうです。例えば肉も魚も野菜も、入れた時の新鮮なままで保存できると言う事です」


「それは素晴らしい」


少しの間考えていたジュリオも漸くその重要性が理解出来た様で、感嘆の声を上げた。


「しかしその有用性から師匠がコレをこの店では扱えないと判断しました。マジックポーチの収納力の段階で商人が大騒ぎしたのです、その上物の劣化が無くなると知ったら今回も商人が黙っていないだろうと予測できます。レシピを公開したとしても今現在コレを作れるのは私だけです。そこで師匠はこれの存在を誰かに知られる前に国に献上し、一刻も早い平等な普及と私の身の安全を考えて貰えと言うのです」


ロザリアンヌの話を聞き納得顔で頷いたジュリオだったが、少々表情に影が差し始めた。


「話は分かった。しかし国で扱うとなるとさらに問題が大きくなる可能性がある。コレを私が国王に献上すれば貴族間での争いが大きくなるかも知れない」


ジュリオは溜息を吐くと、少し肩を落としその理由を説明してくれた。


現王の弟である公爵が次期王座を諦めていないのは周知の事実で、王太子であるジュリオの目立ち過ぎる活躍を当然望んでいないらしい。


なのでもしコレをジュリオが国王に献上すれば、派閥間での政治的な争いが大きくなりかねないと言うのだ。


かと言ってロザリアンヌの名で献上すれば、当然の様に商人よりあくどく搾取しようと考える貴族も少なからず居るだろうと言われれば、その顛末は簡単に想像できたロザリアンヌは身震いをする。


「おまえの身の安全の約束が難しくなりかねない」


思っていた以上にこの問題は難しくジュリオでは解決出来そうにないと思うと、時間停止機能が付いたマジックポーチを苦労して作りあげた甲斐はやはり無かったのかとがっかりした。

結局誰にも知られず自分一人で使うしかないのかと諦めかけた時だった。


「この問題はユーリに相談してみよう」


ジュリオがまたも予想外の反応を示した。


大賢者候補とまで言われた参謀タイプのユーリの存在をロザリアンヌはすっかり忘れていた。

ユーリは確かに頭の回転も速く、知力が高いキャラだった。

魔法学校で教職員をしているという話は聞いていたが、ロザリアンヌはまだ実際に会ってはおらず、いずれは会う事もあるだろう程度にしか考えていなかった。


しかしユーリならまた違う解決策を考えてくれるかもしれないと、ロザリアンヌも少しだけ期待した。


「申し訳ないがしばらくコレを預からせてはくれないか」


ジュリオに言われれば献上する気でいたロザリアンヌも断る理由も無く、心を砕いてくれる様子を見せるジュリオを信じない理由も無かった。

一応警戒はしておくが、少なくともロザリアンヌにとって不利になる結果にはならないだろうと思えた。


「よろしくお願いします」


ぶっちゃけロザリアンヌからお願いする様な問題では無い気がするが、やはりどうせなら折角作り上げたマジックポーチを本当に必要とする人達に有効に活用して貰い、この国がもっとより良いものになって欲しいと願うロザリアンヌだった。



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― 新着の感想 ―
アレですね、何がすごい事を出来たから、自慢したいので必死に理由を付けで、見せびらかしているアホですね
[気になる点] 大人になってから自分の店立ち上げてそこで売ればよくね?
[一言] なんで自分からずっと積極的に目立とうとしているんだ…? わざわざ近づきたくないとか言ってた人に自分から近づくし、 最終的な目的と行動が全部バラバラすぎない? もうちょっと行動に関する最低限…
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