狙い通り
「いえ、まだ……。先ほどお聞きしたばかりですので……」
「そうですか」
道すがら、僕たちは聖騎士に現状の確認をする。
もちろんといえるだろうか、まだ勇者は見つかっていない。今現在はジグが報告した情報が回り、マアムが勇者の所在を尋ねて回っていたこととようやく結びついて聖騎士たちも大わらわらしい。
最初にマアムが聖騎士に報告していればもっと迅速に動いていたとは思うが。
通常業務はおろそかに出来ないので今尋ねた彼はここに立ちっぱなしだが、それでも別働隊が組まれ、彼にも逐一情報がやってくるくらいには、迅速な対応が組まれていた。
「ですが、そうだ、マアム殿」
「……はい……?」
「団長が詳しい聴取をしたいそうなので、……お手数ですが、詰め所までご足労願えますでしょうか」
「私が……ですか?」
一瞬きょとんとした顔をして、それから言葉を飲み込んだマアムが焦るように背筋を正して震わせた。
「わ、私は何も!!」
「……聴取ならば最後に目撃された場所で行った方がよいのでは? 私たちは今から勇者様の部屋へと向かいます。そちらで落ち合った方が早く済むと思いますけれど」
「…………それはそうかもしれません」
慌てるマアムに代わるようにルルが声を上げる。聖騎士はその言葉に考え込むようにし、結局了承した。
クロードは詰め所にいる。ならば情報は一時詰め所に集められるのだろうし、そこをクロードが離れるのはまずいと思うのだが。
まあ、僕の素人考えだ。彼らがよしとするならば僕は口を挟むまい。
聖騎士が袖につけていた笛を吹く。音もなく鳴らされたその音に、彼の腰につけてあった飾りのような物が震えていた。
規則的な振動。それで一応どこかとやりとりが出来ているのだろう。さすがに僕はその内容までは読み取れないが、多分今話したようなことを。
「勇者様の部屋から、彼の移動を辿っていくということでしょうか?」
聖騎士と別れた僕たち。僕はルルに尋ねる。何故勇者の部屋を目指したのか、と気になり。
勇者の部屋で姿を消した……ともまだしっかりと聞いていないが、それでも仮にそうなら、僕がそう提案するならばわかる。
野生動物を追うように、勇者の後を追う。僕の特技だし、マアムから話を聞いた後にそうしようとも思っていた。
しかしまだルルはマアムからほとんど話を聞いていない。勇者の消えた状況はおろか、いついなくなったかすらまだ僕たちは知らないはずなのに。
なのに、ルルが提案した。その事実に、僕の疑問は深まった。
「そうするのが常道なのでしょうけれど……むしろまず、オギノ様の部屋を一度確認してみるべきだと思うんです」
「何故でしょう」
ルルは廊下を先導するように歩きながら、僕とマアムに言い聞かせるように口にする。
しかし、何故だとやはり僕は首を傾げ、マアムも同様のようだった。
ルルはその言葉に笑う。僕へと、いたずら気味な笑みを浮かべて。
「だって、聖騎士様たちが廊下の各所にいらっしゃいますから」
「ならまずは、近くに待機していた聖騎士様の話を聞くべきでは」
「オギノ様がお一人で歩いていらっしゃったら、それこそまず大騒ぎになりますよね」
「……まあ……」
たしかに今のところ、勇者の失踪に関しては、マアム一人が気付いて騒いでいるだけのようなものだ。ジグが報告を上げなければおそらくまだ知れ渡っていないだろう。
不審人物が勇者を誘拐したのであれば聖騎士たちはほぼ見逃さないし、不審な様子があれば呼び止める程度はするだろうに。
だからまず、いなくなった勇者の部屋を起点に捜索を。そういわれればまあそうだけど。
「しかし、……僭越ながら部屋をご覧になっても無駄でしょう。私たちが、散々探しましたし、勇者様がどこかへ隠れているということもないはず」
恐る恐る、というか、ぼやくようにマアムがそう言う。視線を向けないまま、ルルもそれに頷いた。
「私にもどこへ行ったかはわかりませんが……もう城はお出になっていらっしゃるのではないでしょうか」
「……っ! ならっ!!」
マアムが立ち止まり、泣きそうな顔で自分の上着の裾を握る。わずかに手を広げ、横を歩いていたサロメが、卒倒に注意するように身構えた。
「早く! 城の外を探しに行くべきではないでしょうか!!」
「……でも多分、どちらへ行ったかくらいは、そこで見てからのほうがいいと思います」
「…………なら」
言い募ろうとするマアムを無視するようにルルがまた歩き出す。「行きましょう」と呟いたその声音が、何となく冷たく聞こえた。
勇者への心配などはないのだろうか。僕にすら、そんなふうにも思えるほど。
勇者の部屋はこの前来たとおりだ。
ルルの部屋よりも大分豪勢な部屋で、部屋の中に廊下まである豪華な作り。腰壁とその上の漆喰も完璧な平面で作られており、その艶にこの城の職人たちの気合いが見て取れた。
「失礼します」
マアムが扉を開けて、ルルが踏み込む。それを追うように僕とサロメが足を踏み入れると、マアムは静かに扉を閉めた。
僕はそっと床を見渡す。毛足の長い絨毯にはカートで擦れた車輪の跡や無数の足跡が見て取れて、一瞬どれが勇者のものか悩むほどだ。
だが、おそらく足跡は三人分。小さめのもの二種類がマアムともう一人、侍女たちのもの。そして大きな男性用の靴の跡が、おそらく勇者のものだろう。
僕は溜息を吐く。
さすがに、ここで生活していただけあって、足跡の流れが見えづらい。時系列で整理するのも中々大変で、一番新しい靴跡すら中々見分けがつかなかった。
とりあえず、一番新しそうなのは、玄関を経由して部屋から部屋へ移動するもの。なるほど、ならば少なくとも、勇者は歩いて玄関からは出てはいまい。
「最後に勇者様の姿を見たのは、どこでしょう」
「…………今日の朝餉の後。厠へいくと言い残し、私が皿を下げるため部屋を出てから……」
「厠……」
僕は、先ほどの足跡を辿っていく。廊下を歩き、玄関から少しだけ離れた小さな部屋に入っていった足跡は、おそらくそれだろう。
許可を待たずに扉を開ける。目の前には、ルルの部屋と同じような水洗のトイレが設置されていた。
覗き込めば、やや深い暗闇の中、それなりの勢いで流れる水流。穴は人がギリギリ入れるくらい。
ここから抜け出せなくもないが……僕なら嫌だ。行き先は多分、汚物の集まる逃げ場のない水路だし。上っていけばと思ったが、そちらは水圧を作るためか水路が細い。人が通れるところではない。
それに、足跡はまたこの部屋から出ている。
ここからではなく、…………。
「ああ」
僕はようやくルルの『考え』に思い至り、彼女の顔を見る。
まだ何も言っていないにもかかわらず、正解、とでもいうようにルルはニコリと一瞬笑った。
また出ている足跡を辿り、違う部屋へと辿り着く。
そこは前に、勇者が僕へ魔法を見せたあの板張りの上に絨毯が敷かれた部屋。
ここへ入っていく足跡が最後。しかし。
「……あれ?」
「どうなさいましたか?」
僕が思わず声を上げると、ルルが後ろから声をかけてくる。僕は不可解さに振り返りながら、事情がわかっていない三人の顔を順繰りに見た。
彼女らには関係のないことだろう。それに、ここまで辿ってきた足跡すら、彼女らには見分けられていないだろう。それを見れるのはこの場で僕だけで、だからこそ僕だけが覚えた違和感。
「足跡が途切れてます」
答えてから僕はしゃがみこみ、床面と視線の角度を小さくする。けれど、毛足の乱れに指向性はもはや見て取れず、この部屋に入った最新の足跡だけがぼやけるように消えてなくなっていた。
……これは、消えた、というよりも、消されている。
「そんなもの、もともと……」
「勇者様以外のものは」
「残っているようです。ですが、勇者様の、それも最後のものを誰かが消したようで、……」
元々そんなものはないと言い張ろうとしているマアムを無視して、ルルの問いに僕は応える。
足跡を消す。野生動物でもままあることだが、人間ではむしろ珍しいだろう。猟師や一部の探索者、もしくは作戦行動中の騎士や衛兵など、そういう者が限定的に行う行動だと思う。
馬鹿にしているわけではないが、勇者に出来るとは思えない。それも、自分の最新のものだけピンポイントに消すことなどは。
「……お前ではないのですか」
まさか、本当にこれが連れ去りで、犯人がやったのだろうか。そんなふうに考えこもうとしていた僕の後頭部に、怨嗟のような声が響く。
ぽつりと呟かれた言葉はマアムのもので、振り返ればやはりまだ疑いは消えていないようで血走った目で僕を睨んでいた。
「もしそうなら、ここで口には出しません。そもそも私以外見えない足跡など、消す必要もない」
もちろん、そういった追跡を行えるのは僕だけではないだろう。レイトンやプリシラなどもそうだろうし、王城にもいないわけではないと思う。
「それよりも」
だが今ここで言い争うのは無意味だ。水掛け論になってしまうかもしれないし、それよりも勇者の後を追うほうが先決だと思う。
「ここからは、マアム殿頼りになってしまいました」
「カラス様には?」
「一応すぐに見つけられると思いますが、からくりなどがあれば少々時間を頂くことになりますね」
「……あの、お二人とも、何の話をなさっているのです?」
僕とルルの会話を聞いていたサロメが、気味悪そうに首を傾げる。
その声に、僕への視線を切ったルルが顔だけサロメの方へと向ける。
「隠し通路です。脱出用の」
「…………!?」
「多分、この部屋にあると思うんです。ね? カラス様」
「おそらくは」
僕は部屋の中を改めて見回す。まず候補としては、この前腰壁に戸棚が存在したように、隠し扉が腰窓のように設置されている、というところだが。
明かり取りの窓の外は細く小さな中庭。そこに直接出る……とその後が問題になるな。
歩み寄り、動きそうなところを軽く引く、が、動かない。魔力波を飛ばして確認すれば、どれも普通の腰壁だった。
「か、隠し通路など、ございません!」
「それは嘘です」
さらりとルルがマアムに返す。僕に聞かせるように。
なるほど、ならばここにあるのだろう。
だが、あるとすれば他にはどこだろうか。中庭に直接出るようなものはないし、天井を抜けていく……のも梯子か何か必要な大がかりなものになる。
仕方ない。魔力での探査に切り替えよう。素の目で見つけようとも思ったが。
少しだけ悔しく思いながら、僕は魔力波を部屋全体に飛ばす。いくつか見つかった空洞のほとんどは、単なる収納だった。
しかし。
「……仮にそんなものがあったとして、すぐに見つかるはずが」
「まあ素人には中々無理でしょう」
僕は、部屋の隅に向けて歩き出す。一歩踏み出す度に、マアムの顔が焦りで歪むのが何となく楽しかった。
「でもまあ、私は探索者なので」
絨毯の途切れた板張りの床。細いその板を押せば、わずかに端がしなってへこむ。そのまま横の板を軽くずらすと、スライドして隣の板の下に潜り込んだ。
板の下に隠れていた鎖。それを引っ張ると、少しだけ重たげに床がせり上がり中の階段が見えた。
「ここからみたいですね」
「やはり」
中を覗き込んだ僕の言葉に、少しだけ嬉しそうにルルが頷く。中は掃除されておらず、建造中に積もったらしき埃に足跡が浮いて見えた。
明らかに勇者のもの。それも真新しい。
やはりここから逃げたらしい。……どうやってこの仕掛けを見つけたのかという疑問もまた増えてしまったが。
「……どうして」
「聖騎士の方々がいる廊下を、彼らに見つからずに移動するのは不可能ですもの」
「それは先ほど聞きました」
身分差を忘れているのか、やや険のある口調でマアムがルルに食い下がる。
「この隠し通路の存在は、私やミルラ様、限られた人間しか知らないはず。それをどうしてザブロック様が」
「ここにある、というのは今初めて知りました。……けど」
ルルが息を吐く。
「でもこの城にはたくさんの隠し通路がある、とある方に教えてもらったものですから。オギノ様の部屋にもあるんじゃないかと」
事も無げにルルがそう言う。自惚れでなければ多分僕からの情報だろう。
申し訳ないことに、僕は先ほど厠を見て、『抜け穴』を連想するまではそこに思い至らなかったのだが。
「この通路は、どこに繋がっているんですか?」
今度はルルがマアムに尋ねる。
「安全管理上、申し上げられません」
「勇者様はこの奥にいったらしいですけど。なら、勇者様の安全上、教えてもらえませんか?」
「…………」
マアムは答えたくない、というように唇を噛んでから、渋々と口を開いた。
「……王城南東の、通用口近くの水路脇に」
「ならやはり、もうこの城にはいらっしゃらないのでしょうね」
マアムに目を向けず、ルルはどこか遠くを見た。何となく冷淡な雰囲気で。
「そんな、簡単に……、ザブロック様は勇者様の御身が心配ではないのですか!」
「だって私が心配しても、どうにもなりませんもの」
遠くを見ていたルルが、今度は足下の床に視線を向ける。
「ただ……誰かが隠していたんですよね? カラス様」
「はい。間違いないと思いますが」
怪しい人物は、僕の知っている人物でとりあえず二人ほど浮かぶ。だが、彼らのうちどちらかだろうか。それとも別の人物だろうか。今のところこの部屋で誰かの怪しい匂いはないために、僕にはなんとも言えないのだけれども。
しかしまあ、一人、やはり一人の候補が頭から離れない。
勇者に隠し通路の存在を教え、そして発覚を遅らせるために痕跡を消すという気遣いまで見せる人物。ミルラのついでに、こちらにも干渉していると考える方が自然だろうか。
プリシラの仕業。世話になった、と言いたい身としては、これも単なる親切で片付けたいところではあるが。
「失礼する!」
ドンドンと勇者の部屋の玄関の扉が叩かれ、そして返事を誰もする間もなく開かれる。
その声は力強く、この王城でよく聞いた男性の声だ。
その男性、クロードは僕たちがここにいることにおそらく薄々気付きながら、まっすぐにこちらを目指して廊下を歩く。後ろに二人ほど随伴して。
僕たちは今いる部屋の扉の向こうで、クロードが近づいてくるのを待ち受けるように息を飲んだ。
扉が開かれて、姿を見せたクロード。
「……やはり、カラス殿が一緒か」
「これはクロード殿。……と、……」
持ち上げた地下階段への扉を念動力で固定しつつ、僕は跪く。クロードの後ろにいたその女性を見たサロメもマアムもそれに倣い、ルルは立ったままわずかに頭を下げた。
「やはりもう嗅ぎつけていましたか。さすがに目敏い」
「ミルラ様……、これは……、その……!!」
僕を見て笑うミルラに、慌てるようにマアムが取りなそうとする。だがマアムは何かを言おうとして、何も言えないままに言葉を失うように頭を下げた。
「探索者カラスは役に立ちましたか? マアム」
「いえ、私は、……この度は誠に申し訳なく思っております!!」
「聖騎士にはなさったそうですが……まず私に報告をしていただきたかったですわね」
「…………!!」
嫌みのような咎めに、マアムが顔を上げずに肩を震わせる。この分だと、ミルラにも言っていなかったのか。まあ僕にはよくわからないけど、報連相は大事らしいし怒られても仕方ない気もするが。
マアムは、「これには事情が」とうわごとのように何度も呟くが、ミルラは取り合わずに佇んでいた。
「カラス殿、勇者殿は?」
「この下に一人で向かったところまでは判明しています。しかし、その後はまだ追跡しておりません」
「……やはり、外か」
クロードが溜息を吐く。よかった、という安堵半分、勘弁してくれ、という苦渋半分で。
「探索者カラス。ご協力ありがとうございました。これより先はベルレアン卿らにお任せくださいませ」
ミルラが丁寧に僕に頭を下げる。だが、何故だろう、お礼を言われている気がしない。どちらかというと、威嚇のような。
とりあえず僕は逆らわず、頭を下げて応えた。
「ゆっくり休まれるといいでしょう。たまには任務を外れて」
「……?」
だがその頭に飛んできた言葉に、僕の脳裏に疑問符が浮かぶ。任務を外れ?
どういうことだ、とその顔を見返すが、ミルラはもうこちらから視線を外してマアムやルルたちを見ていた。
「これより、ベルレアン卿の指揮により勇者様の捜索が開始されます。ルル・ザブロック、貴方はベルレアン卿に帯同し、勇者様を連れ帰りなさい」
「……どういう」
「方法はお任せします。詳しい話はベルレアン卿から。……そしてベルレアン卿、今日中に」
「尽力致します」
明朗な答えとは裏腹に、クロードが苦虫を噛み潰したような顔を作る。
そして最後に、とミルラがまたこちらを向く。誰からの返答も聞く気がない独演会、そんな感じだ。
「探索者カラス。お前には勇者様ご帰還まで、与えられた部屋での蟄居を命じます。まかり間違っても、ルル・ザブロックの帯同はしないこと」
「お待ちください、彼は」
「これは勇者様の接遇に関する一大事。私の権限において、畏れ多くも王命として受け取りなさい」
高笑いをするように頬を手の甲で隠し、ミルラが眉を上げる。
笑ってはいないが、内心はそのような感情で溢れていそうだった。
あまりにも性急で、そして手早い指示の数々。この状況を待っていたのだろうか。
「もちろん、ベルレアン卿は警護としてもついておりますわ。よもや、ベルレアン卿がお前の代わりを務められないとは仰いませんね?」
「…………」
何となく苛つきが頭に湧く。その苛つきを込めて見返そうとしたが、視界の端でクロードが小さく首を横に振っていた。
しかし、どうにも首を縦に振れない。何となく、逆らいたくて仕方がない。反抗期でもないはずだが。
苛つきを出さないように、だが僕はミルラを真っ直ぐに見返す。
「私の主は、ルル様ですので」
「ならば、ルル・ザブロック。そのようにしても問題はありませんね?」
「…………」
またしても続く、待ってました、とばかりのミルラの言葉。ルルも、肘の辺りの生地を掻き寄せるように握りしめていた。
僕が応えられないのならば、ルルが。ディアーヌにも前されたような問答。だが、あれよりも苛つくのは何故だろう。
否の声がないことで、もはや誰も反対出来ないことを悟ったのだろう。ミルラが朗らかな笑みを見せる。
「ではお任せしました。ベルレアン卿、ルル・ザブロック。吉報をお待ちしておりますわ」
困ったような顔をしたクロードに、あからさまに不快を前面に押し出しているルル。憔悴したようなマアムに、心配そうにミルラを見るアミネー。困惑したように僕とルルの間に視線を往復させているサロメ。
笑っているのは多分、ミルラただ一人だった。




