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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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千百四年の孤独は幸せに。。


 満月の夜ソニアは海に面した部屋から砂浜に出てた。波打ち際を少し歩き砂浜に腰掛け月を眺めた。満月を見るといつもジェラルド一世との約束を思い出す。半分だけしか守れなかった約束。最後は会えないまま眠りについた。次に起きた時ジェラルドははるか昔に死んでしまっていた。けれど生まれ変わったジェラルドはジェラルド三世となって沢山の愛を与えてくれた。そして再び生まれ変わっても巡り合う事が出来る血の誓いを立てた。けれどジェラルド三世は先に死んでしまった。ジェラルドを追って死にたかった。でも神は死ぬことを許さず私はまた眠りについた。そしてこの時代に目覚めた私はまたジェラルドに会うことが出来た。けれどもジェラルドは私を思い出さない。その理由はわからないけれどそれでも私を選び愛してくれた。過去を思い出さないからと言ってその愛情を疑う事はない。たくさんの思い出は私の胸の中に生き続けているから。ソニアは大きな月を見上げた。

 

「ソニア!」


 私を呼ぶ懐かしい声が聞こえた。立ち上がり振り返ると千年前と何一つ変わらないジェラルドがいた。そのジェラルドはジェラルド一世にも三世にも今のジェラルドにも見えた。

「ジェラルド様?」ソニアは沸き起こる喜びに息を飲み立ち上がった。「ソニア遅くなってすまない。迎えに来たよ」ジェラルドは目を細めゆっくりと近づき両手を横に広げ思いっきりソニアを抱きしめた。「ジェラルド様!」ソニアも同じようにジェラルドを抱きしめた。「ソニア、会いたかった。ずっとずっと会いたかった。遅くなって、待っててくれてありがとう」ジェラルドは再会の喜びを噛み締めるようにソニアを強く抱きしめた。「ジェラルド様、来てくれて本当に嬉しい」ソニアは喜びで目頭が熱くなった。ジェラルドはソニアの頬にキスをし向き合った。ソニアは濡れた瞳でジェラルドを見つめる。頬を伝わる涙はポタポタと砂浜に吸い込まれてゆく。月の光を浴びた涙は宝石のように美しい。ジェラルドはその涙を指で優しく拭いソニアを見つめもう一度言った。「ソニア、遅くなってごめん。」ソニアは首を横に振り言った「ジェラルド様、全然遅くありません」


 「遅いよ。だって千百四年も待たせてしまったからな」

 

 ソニアは目を見開き口許を手で覆った。今、ジェラルドは千百四年と、言った。その言葉に鳥肌が立ち身体が震えた。「うそ?」全身の力が抜け砂浜に崩れ落ちるように座り込んだ。ジェラルドは片膝をつきソニアの手を胸の高さまで持ち上げキスをし言った。「ソニア、満月の約束も果たせず、ずっと一緒にいると言った三世の時はソニアを置いて先に死んでしまった。やっと今、一緒に生きられるようになったのに、また少し待たせてしまった。ソニア、今回だけ忘れてごめん。でもちゃんと思い出した。ずっとずっと愛しているよ。私のソニア」「ああ、ジェラルド、ジェラルド!」ソニアはその言葉を聞き感極まった。ジェラルドの肩に両腕を回し思いっきり抱きしめた。「ソニアもう離さない。」ジェラルドはそのままソニアを抱き上げ部屋に戻った。


 

 ソニアを優しくベットの上に寝かせ「千百四年待った。もう待てないよ。ソニア愛している」そう言ってソニアにキスをした。「愛しています。ずっとずっと待っていました。あなたを」

 その言葉を聞いたジェラルドはソニアに激しいキスをしそのまま二人は初めての夜を過ごした。


 翌朝、目を開けるとソニアはジェラルドの腕の中で眠っていた。温かなジェラルドの地肌がソニアに幸福感を与えてくれる。幸せ。ソニアはジェラルドの胸に顔を埋めた。「ソニア」ジェラルドはソニアが起きたことに気が付き愛情を込めた眼差しを向け微笑んだ。ソニアは顔を上げジェラルドを見つめた。喜びで胸が圧迫され息ができない。頭の中が真っ白になる。

 私、、昨夜ジェラルドと、、。ソニアはジェラルドと抱き合った事を思い出した。恥ずかしい!ソニアは髪で顔を隠しジェラルドの視線から逃れた。「フフフ」ジェラルドは笑いながらソニアの髪に触れそのまま首筋に触れた。ジェラルドの指がソニアの首筋をなぞる。「キャァ!」ソニアはくすぐったいような甘く痺れるような感覚に体が熱くなった。ジェラルドにもっと触れて欲しい。そんな言葉が頭をよぎる。私は何を考えているの?!あまりの恥ずかしさにジェラルドの腕から抜け出しブランケットを頭から被ろうとした。しかしジェラルドがそのブランケットをはぎ取り慌てるソニアを強引に抱き寄せキスをした。「ソニアおはよう。愛してるよ」ソニアはその言葉を聞き観念したようにジェラルドの頬にそっと触れた。「ジェラルドおはよう。私も、愛しています」二人はふたたび抱き合った。


 

 それから一週間が経った。ソニアは身も心もジェラルドに愛され孤独だった心の中が幸せで満たされた。初めて得た安堵感の中ソニアは深く眠った。それは生贄の乙女としてではなく今を生きる普通の人間としての眠りだ。もうこの世界に生贄の乙女ソニアは存在しない。


 ジェラルドは眠るソニアをそっと抱きあげ部屋を出て待たせてあったヘリコプターに乗り込み島を出た。そしてフローエン城の跡地に新しく建てた屋敷に入った。

 

この二年の間にジェラルドはカレナとの関係を精算し、世間の関心をソニアに向けないようソニアを守りながら迎えに行く為の準備をしていた。屋敷の一室で待機していたスタッフに指示し眠るソニアを着替えさせた。真っ白なウエディングドレスを纏ったソニアは幸せそうに眠っている。

ジェラルドはあの洞窟で初めてソニアを見た時を思い出していた。あれから千年以上経ちようやくソニアを手に入れた。愛しい眠りの姫にジェラルドは優しくキスをした。ソニアはうっすらと目を開け目の前にいるジェラルドに微笑んだ。



「私は何年眠っていた?」


 

 「ソニア千百四年だ。」



「ウフフ、ジェラルド!お待たせしました」


ジェラルドはそのままソニアを抱きあげ邸宅にある教会に入った。


 


 





 

長い物語を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。


この物語はここでおしまいですが、本当のラストはもう一つあり、それはベアトリーチェの押し活につながるラストです。

この度この作品を書き直しましたのでエピローグとして次話に投稿いたします。



まだまだ拙い文章で読みづらいところも多々あったかと思います。

読んでくださった皆様に感謝申し上げます。

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