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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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海のカケラを

 ジェラルドが真剣な表情でソニアを見つめている。ああ、やっぱりあなたは私を起こすのね!ソニアはそんなジェラルドを見て嬉しくなった。私を起こすのはいつの時代もあなただけ。ジェラルドに微笑みそのままジェラルドの腕をぐっと掴んで水中に引っ張った。あなたに見せたい美しい景色があるの。ジェラルドは体勢を崩しソニアと一緒に沈んで行った。海の中で目を開けてジェラルドを見た。ジェラルドもソニアを見た。ソニアは水面を指差しジェラルドは水面を見た。輝く水面はどんな宝石よりも美しく心に感動を与えた。ジェラルドはソニアに優しく頷きそのままソニアを抱え水面に出た。二人ともずぶ濡れで顔を見合わせ笑った。少し間を置きジェラルドがソニアの濡れた長い髪にふれた。ソニアは自分の心臓の音がジェラルドに聞こえてしまうかと思うほどドキドキし胸がギュッと締め付けられた。ジェラルドを見つめたまま一気に顔が赤くなるのを感じた。ジェラルドは目を細めソニアの髪を自分の口元にもってゆき優しくキスをした。ソニアはジェラルド三世がそうしてくれた事を思い出し泣きそうになった。ああ、泣いちゃいそう。涙を隠す為に「あ、」と言ってジェラルドに背を向け海に潜った。海の底に落ちていたキラキラと輝く研磨された水色のガラスのかけらを掴むとすぐにジェラルドが現れソニアを抱きかかえ水面に上がった。ソニアは向き合うジェラルドにそっと手を差し出した。ジェラルドは微笑み手のひらを広げた。ソニアはその手のひらに先程のガラスのかけらを乗せ言った。「ジェラルド様に海のカケラをプレゼントします」ジェラルドは本当に嬉しそうな顔をし「ソニアありがとう。大切にする」と言って海のカケラを握りソニアに笑いかけた。ソニアも目を細めジェラルドに頷き二人はゆっくりと海から上がった。砂浜に待機していたスタッフが大きなタオルをかけてくれた。そのタオルをジェラルドがソニアにぐるりと巻き「ソニアに風邪を引かれると困るからな」と言って優しい眼差しをソニアに向けた。ソニアはジェラルドを見つめこの幸せな時間が1秒でも長く続いて欲しいと願った。

 二人はエレベーターに乗り込んだ。エレベーターの中でジェラルドはソニアのリボンを握り「これもくれないか?」と言った。「さっき青空にこのリボンが舞って、すごく綺麗で見惚れてしまった。なんだかあの美しさを忘れてくなくて。」そう言ってソニアを見た。ああ、ジェラルドが同じことを思ってくれた!喜びに顔が輝く。ジェラルドは私と同じ気持ちであのリボンを見ていたのね。今返事をしたら泣くかもしれない。ソニア口を固く結びコクンと頷いた。ジェラルドは何も言わずソニアの頭をくしゃくしゃと撫でた。


 ああ、もう止められないほどジェラルドが好き。どうしていつもジェラルドを好きになってしまうのだろう。毎回、一度も報われなかったのに。今回も報われないとわかっているのに。

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