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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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鑑定

 ソニアはジェラルドが何かを感じたんだと思った。でもそれを確認したくなかった。以前のジェラルドと今のジェラルドは魂が一緒でも今はソニアを忘れ違う女性を選んでいる。寂しいし悲しい。でもジェラルドが幸せならそれでいい。今までの事を思えば私が関わらない方がジェラルドは幸せになれる。ジェラルドはあの恋人、カレナという女優と婚約すると聞いた。だからあの日も隣に居たんだとわかった。彼が幸せなら諦められる。何度も自分に言い聞かせた。

 

 翌日リリが来た。「ソニア仕事だよ」そう言ってジェラルドの仕事部屋に二人で入った。

「ボスおはようございます」リリがジェラルドに挨拶をした。ソニアは昨日の言葉を思い出しソワソワした。ジェラルドから少し視線を逸らし勇気を出して「おはようございます」と言った。


 ジェラルドは何もなかったかのように「おはよう」と二人に微笑み「ソニアお茶をお願い」と言って温かい眼差しを向けた。ソニアはそんなジェラルドに胸がときめき一昨日の夢を思い出し表情が和らいだ。「はい!」と返事をしお茶を淹れた。昔メイドがしてくれたような美しい所作でジェラルドに出した。ジェラルドはソニアの無駄のない美しい所作をみて驚いた。何も出来ないと思っていたが一流の動きを身につけている。「ソニアは何も出来ないと、、あ、いや、意外なところの所作がとても美しいな」ジェラルドは思わず本音を言いそうになったのを誤魔化すようにソニアが入れたお茶を飲んだ。「?よくわかりませんが褒めていただきありがとうございます」ソニアは褒められたのか貶されたのかわからなかったが前向きに捉え頭を下げてトレーを下げた。ジェラルドとリリが古い花瓶をテーブルの上に置き話をしている。その花瓶はジェラルド三世の時代のものでソニアは見覚えがあった。ソニアの肖像画のところにあったものだ。

 「あ、」ソニアはその花瓶を見に行った。「これは、、」と言った時「ソニアは知っているのか?」とジェラルドが聞いた。「恐らくこれはジェラルド三世の時代のものですね」とソニアは答え懐かしさに胸が熱くなった。

 ソニアの言葉を聞いた二人は驚きの表情を浮かべた。「ちょっと来てくれ」ジェラルドは突如ソニアの手を掴み部屋を出て専用エレベーターに乗り大きな広間に移動した。そこには沢山の花瓶や装飾品やさまざまな生活用品があった。「ソニア、ジェラルド三世の時代は二十四年しかなかった。その為価値が高いのだがソニアにわかるか?要するに目利きということだが」ソニアはうなずき見て回った。ジェラルドはソニアを見つめている。ソニアはそしてジェラルドに言った。迷う事なく目的のものを見たのちジェラルドの元に戻ってきた。「ジェラルド様、これと、あれと、それ、後これは確実にジェラルド三世の時代、これとこれは初代のもの、これは古そうに見えますが時代が新しいです」ソニアは指を差しながらジェラルドに伝えた。ジェラルドは目を丸くしソニアを見つめ大きく頷いた。「ソニア流石だな」そう言って先程選んだ品をスタッフに伝え別の場所に移動させ二人は部屋に戻った。

 さらにジェラルドはソニアに見て欲しいものがあると言ってソファーに座らせ待つように伝えた部屋を出て行った。十分後ジェラルドは見知らぬ男性と一緒に戻ってきた。その男性は机の上に宝石や食器、短剣など百点程のさまざまな物が乗せソニアに「良いと思うものを選んでみて下さい」と言った。ソニアはパッと見て二十点ほど選んだ。控えてい男性は驚きの表情をソニアに向け言った。「あなたは鑑定士でいらっしゃいますか?」「ソニアは鑑定士なのか?」ジェラルドもすかさず聞いた。「いえ、、」ソニアは答えた。「で,では何故本物を目利きできるのでしょうか?これはかなりの知識がないと選べない品です」男が言った。「ただ見慣れたものを選びました。」ソニアは正直に言った。「見慣れたものですか?」男はもう一度聞き返した。ソニアは返事を躊躇した。もっと色々と聞かれたらなんと答えれば良いのだろう?「素晴らしいですね。いつも本物に,しかも最上級の物に囲まれて暮らしていらっしゃるとは、貴方様は、、」紳士はソニアを見つめた。「わ、私は」ソニアは答えようとしたが言葉が出ない。困った。余計なことを言えば突っ込まれそう。どうしよう。「ソニアはここの上客様だから当たり前だろ?」ジェラルドがさも当たり前のような口調で男に言った。「あ、それは大変失礼を、、」男はジェラルドの口調に緊張が走ったかのようにピシッと姿勢を正しソニアに謝った。そしてジェラルドに頭を下げリリと共に部屋を出て行った。

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