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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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投げられたナイフ


それから数日後、突然リリが訪ねて来た。「ソニア、お願いがある。私と一緒に来て」「リリさんどうしたのでしょうか?」ソニアはスーツを着たリリを見つめ言った。「とにかく、来て!!」リリは有無も言わせずソニアの手を握り引っ張った。ソニアは何も持たずそのまま部屋を出た。訳もわからずリリに連れ出されている。初めてあった時の事を思い出しクスッと笑った。リリの強引さは嫌いでは無い。初めて会った時からリリはこんな感じだったが悪意がないところが魅力だ。リリはソニアを車に乗せて海辺にある美しいホテルに入った。そのホテルの最上階に通じる特別なエレベーターにのり、ある部屋の前までソニアを連れていった。リリは小声で「とにかく、入って!!」と言ってソニアを急かした。ソニアは訳がわからなかったがそっとドアを開け中に入った時、ジェラルドが大きな机の前に座って書類を確認しながら顔も上げず「俺は行かない!!さっさとここから出て行ってくれ!」と言ってなんとナイフを投げて来た。ナイフはソニアの真横を通ってドアに突き刺さった。ソニアは驚いてドアに刺さったナイフを見てジェラルドをみた。ジェラルドはゆっくりと顔を上げてソニアを見て驚いて立ち上がった。「何故君が、、」と言いながら先程投げつけたナイフを思い出したのか慌ててソニアのところにきて「まさかソニアが、、すまない、どう謝っていいのか。だ、大丈夫?どうしてきみが、、」動揺を隠せないジェラルドを見てソニアはなぜか安心した。「あの、大丈夫です。」ソニアはジェラルドに言ったがジェラルドはまだ動揺していた。「まさか君にナイフを投げつけたとは、、万が一何かあったら、、。ほんと、。俺、ごめん、ちょっとまだ気持ちが整理出来なくて、、」そう言ったジェラルドの手は震えていた。ソニアは震えるジェラルドの手を握り「私は大丈夫です。本当に大丈夫ですからどうか気になさらないで下さい」そう言ってジェラルドを見て微笑んだ。ジェラルドはソニアを見てみるみるうちに顔が赤くなった。そして気まずそうに「ソ、ソニアこちらに」と言ってソファーを勧めてくれた。そこは海が一望できる特等席だった。ソニアは言われた通りソファーに座り目の前に広がる美しい海を見た。波が光を受けて揺れる様は幻想的で美しかった。「このホテルも素敵ですね」ソニアがそういうとジェラルドがすぐに誰かに連絡をし、「ソニア、この部屋の隣りを使えるようにしたからここに滞在すると良い」と言った。「え?」ソニアは驚いてジェラルドを見ると「ここも俺のホテルで、俺の仕事部屋なんだ」と笑った。「あ、ご迷惑では?」「迷惑?なぜ?」……ソニアはあの時の言葉を思い出した。「僕と関係ない人、見てわかるでしょ?」ジェラルドは私のことなど眼中にない人だった。迷惑だと思わないほどに。

 

 「ところで、私は何をすれば、何をお手伝いすればいいのでしょうか?」ソニアは気持ちを切り替えジェラルドに聞いた。「手伝い?あ、リリに連れてこられたんだな。アイツ!!」「突然伺いご迷惑ですよね、すみません」「いや、迷惑はこちらが、、先ほどは本当に、、リリかと思って、ちょっと、、」ジェラルドは気まずそうに言った。「あの。どこかに出かけないといけないのでは?」まだ動揺しているジェラルドを見て緊張がほどけた。「あ、、。ちょっと気が乗らないというか、仕事が溜まっていて、、」ジェラルドは先日マリアーナとの別れ話にソニアを巻き込んだ事を気にしつつもソニアが普通に接してくれる事に安心した。「お手伝いしましょうか?」ソニアは終始気まずそうなジェラルドに親近感を覚え一歩踏み出した。「ソニアが?」ジェラルドは目を丸くしソニアの突然のオファーに喜びを感じた。積極的な人をじゃないと思っていたがまさかそんな事を言ってくれるとは。「はい、ただ働いたことがありませんので逆に煩わせてしまうかもしれません。」ソニアは恥ずかしそうに微笑んだ。ジェラルドはその微笑みを見て気持ちが落ち着いてゆくのを感じた。先日のマリアーナの件でソニアに八つ当たりをし自己嫌悪でずっと気分は最悪だった。その上でマスコミに追われ我慢の限界に達し朝スケジュール確認をしに来たリリに今日は何処にも出かけないとキレてしまった。でもリリは賢い秘書でソニアを連れてきた。俺がソニアを気に入っていると察したリリはやはり信頼できる秘書だ。お陰で今平静を取り戻した。ジェラルドは目の前で姿勢正しく腰掛けているソニアを見つめ目を細め言った。「……で、では簡単な事お願いしようか、、」「はい!」ソニアに出来そうな仕事など無いがジェラルドは断ったらソニアが帰ってしまう気がしてなんとなく引き止めてしまった。「はい、何をしましょうか」ソニアは立ち上がった。「じゃあパソコンにこれを入力してくれないかな?」ジェラルドは手元にある資料をソニアに見せた。ソニアはバツの悪そうな表情を浮かべ両手をもじもじとさすりながら言った。「パソコン、、テレビでは見ましたが、、ごめんなさい、、まだよくわからなくて、、」ジェラルドはソニアの言葉を聞いて吹き出しそうになった。今どきパソコンをさわれない人間がいるとは驚きだが、ソニアなら納得出来るのが不思議だ。「あ、いいよいいよ。じゃあ、えっと、、お、お茶を,お茶を入れてくれるかな?」ジェラルドは恥ずかしそうなソニアを見て誰でも出来るような事をお願いすることにした。「はい!出来ると思います!」ソニアは言った。

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