とりあえずよし
「コンコン」部屋のドアがノックされた。モニターで入り口を確認できるが、この階は特別なエレベーターと,エレベーターキーがいるので不審な人間は入ってこれない。ソニアはそのまま「はいどうぞ」と答えた。ドアが開きジェラルドが入ってきた。「ジェラルド様!」ソニアは驚いて立ち上がった。そして慌てて今日のお礼を言った。「あ、今日はありがとうございました。とても気に入って、、」ソニアは突然現れたジェラルドに動揺ししどろもどろだった。ジェラルドはそんなソニアを見て「なかなか似合ってかわいいな」と言って優しく微笑んだ。ソニアは過去のジェラルドを思い出し懐かしさと褒められた喜びで耳まで赤くなった。「あ、ありがとうございます。」ソニアはジェラルドから視線を外し喜びを隠すように俯いた。ジェラルドは何も言わない。どうしよう?また怒らせてしまった?ソニアは沈黙に耐えられずジェラルドに話しかけた。
「あ、あの、、ジェラルド様、何かありましたか?あの、どのようなご用件でしょうか?」ソニアは聞いた。ジェラルドは少し口ごもり言った。「あ、いや、今日、ソニアを泣かせてしまって、、」ソニアはジェラルドが申し訳なさそうに話す様子を見て暗く沈んだ心に光が差した様に感じた。「いえ、私が悪いのですからジェラルド様は気になさらないで下さい。」ソニアは両手を目の前に掲げ申し訳なさそうなジェラルドに気にしないでというジェスチャーをした。その様子を見つめながらジェラルドは言った。 「なんというか、ソニアが全てに興味がなさそうだったから、、俺も含めて。だからちょっとイライラしてしまった。すまない。泣かせてしまって。」
「……いえ、、ジェラルド様は何も悪くありません。私が世間知らずで、失礼してしまったのは事実ですから。あの、ソ、ソファーにお掛けください、、」ソニアは立ちっぱなしのジェラルドに言った。「いや、お構いなく、今、時間がなくて、ではまた」ジェラルドはそう言って出て行った。
一体なんだったのかわからなかったが、とりあえずよしとした。




