友達になった!
ソニアはどうしてこんなことに、、と困惑していた。冷汗が出る。早く立ち去ろう。
ジェラルドはソニアを見つめた。「どこかで会ったことある?」突然そんなことを言った。「なななない、ないです。まったくはじめてで、と、とまどっています」ソニアは口籠もりながら額にかいた汗を拭った。ジェラルドはそんなソニアを見て笑った。今までに会ったことのないタイプだな。「ソニアさんはうちの大切なお客様ですから丁重にしないと。さあ行こう!」 「いえ、あの、一人で行けますから大丈夫ですから」そう言ったがジェラルドは聞かなかった。
ブティックに着いた時車の周りは人だらけになった。「きゃージェラルド様」女性達が黄色い声援をあげ我先にとジェラルドの方に群がる。ソニアは女性たちに圧倒された。やっぱりジェラルドはすごく人気があるんだ。今も昔も。「ジェラルド様が連れてる子なんかいまいちね。」そんな声が聞こえてきた。ソニアはその言葉を聞いてほっとした。あのころと違ってはっきりそう言ってもらえる方が良い。ジェラルド三世の頃、使用人達は私が居なくなることを願っていた。口に出すことは無かったが偶然聞いた時死んでしまいたいと思った。だから目の前で言ってくれる方がありがたいわ。それ以上もそれ以下もないのだから。
ところでこのジェラルドは何をしている人なんだろう?ソニアは不思議に思っていた。この世界のことは何も知らないから想像も出来ない。チラッとジェラルドを見た。ジェラルドもソニアを見て手を伸ばしソニアを掴み人を押し退け店に入った。
「ソニアさん大丈夫ですか。」ジェラルドが言った。「は、はい。大丈夫です。ジェラルド様は人気があるのですね」ソニアは言った。ジェラルドはぽかーんとした顔をし笑いはじめた。
「君は私のこと知らないの?」ジェラルドはソニアに聞いた。「あ、す,すみません。世間に疎くて、、」ソニアは言った。「こんな子初めてで驚くな」とジェラルドは少し不満げな口調で言った。「すみません。」なんだか申し訳なくなった。 「あ、怒っているんじゃなくて新鮮だなと、、ところで、ソニアと呼んで良いかな?もう私たちは友達だろ?」ジェラルドがそんな事を言った。ソニアは友達と言われ驚いた。初めてジェラルドにそんな事を言われた。嬉しかった。「は,はい!よろしくお願い申し上げます。」ソニアは頭を下げた。「ソニア、ソニアもジェラルドと呼んで」ジェラルドが言った。嬉しいけどジェラルドとはもう呼べない。このジェラルドは私を知らないジェラルドだから。「え!いえ、私はそうお呼びできる身分ではありません」ソニアは貴族世界の感覚で言った。ジェラルドは笑って「ソニアってなんかずれてて面白いね」と言った。ソニアは何がずれているのかわからなかったが、ジェラルドの友達になれたことがうれしかった。




