ジェラルドと再会

とにかくどこか宿でも取らないと、そう思い街の人に泊まれる場所を聞いた。

「その角に五つ星ホテルがあるから行ってみたら？」と言われた。五つ星？面白い名前だと思ったがそのホテルという場所に行ってみた。「あの、、泊まりたいのですが、、」そう言った時一瞬時が止まったように周りが静かになった。何これ？ソニアは息を呑んだ。しかし気のせいだったのかすぐにざわざわと辺りの音が聞こえた。「……はいソニア様お待ちしておりました」何が何だかわからないが相手は私の名前を知っていたうえに待っていたと言った。それから上下に動く乗り物に乗せられ一番屋上の広い部屋に案内された。「あの、、お金は」「滅相もございません。もう十分頂いておりますのでずっとこちらに居てくださいますようお願い申し上げます」そう言われた。

　頭の中が混乱しているが恐らく千百一年も生贄したので最後の人生は思うようになっているのだと都合よく理解した。神様が融通を利かせてくれた。よかった。生きてゆくのは出来そうだと思った。それからソニアは部屋に篭りこの世界の事を勉強した。千年経つと色々な事が便利に変わっていた。帝国はなくなったが国になっていた。貴族も平民もない。稼いだものが優位に立てる世界だ。人は色々な移動手段ができ空も飛べるようになっていた。どこにでも自由に行ける。　しかしソニアは穏やかな一生を終えることが夢だったのでホテルの最上階から出ることはほとんどなかった。しかしそんなある日ソニアは普通の洋服が欲しくなり仕方なく外に出ることにした。ホテルのコンシェルジュは外商を頼みましょうかと気を利かせてくれたがこんなことが無いと部屋から出るきっかけが見つからないと断った。ソニアは街に出た。人々が行き交い街は活気に溢れている。人にぶつからないよう注意深く歩いていると大きな白い車がソニアの前に止まり中からリリが出てきた。「ソニア！探したわ！この間はありがとう」「あ、リリさんこの間は、、」そう言いかけた時リリの横にジェラルドが見えた。一瞬目があった。ソニアはすぐに目を逸らし「リリさん、礼には及びません。急いでますのでいずれ」そう言って離れようとした時、「こんにちは、あなたがソニアさんですか？」ジェラルドが出てきた。

ソニアはなるべく目を合わさないようにお辞儀をした。「こちら私のボス、ジェラルドよ」リリはそう言った。

、、ジェラルド、、なぜ同じ名前なんだろう。そう思ったが不信がられないよう笑顔で「ジェラルド様、ソニアと申します。よろしくお願いします」とあいさつをした。ジェラルドはソニアをじっとみてクスッと笑った。「ちょっとボス、失礼よ」リリはジェラルドに言った。ソニアはどうして笑われたのかわからなかったが恥ずかしくなり俯いた。　「あ、ーいや、素朴な子だなっと」ジェラルドはそう言って「大変失礼しました」とウィンクをした。「い，いえ、」ソニアは戸惑いながら答えた。「ところでソニアはどこに住んでいるの？」リリが聞いた。「あ、あの角の宿じゃなくて，ホテルです。」　「え？ボスの？」「え？あのホテルはジェラルド様の？」　

　「ああ、ソニアさんはお客様でしたか、ちょとまって」ジェラルドはそう言ってすぐにホテルに連絡し，驚いた顔をしてソニアを見た。「あなたがスカイグロット、、最上階のお客様ですか？」「す，すみません」ソニアはなぜか申し訳なくて謝った。ジェラルドはこの素朴な子が？とソニアに興味を持った。「あ、私、、そろそろ行かないと、、」　「ソニアさん、洋服を買いに行くのですね、お供いたします」ジェラルドはソニアを強引に車に乗せた。「ちょっとボス、会合は？」リリは怒ってジェラルドに言ったがジェラルドはお前がいけといってリリを車から下ろしてしまった。