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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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過去のトラウマ

目が覚めたときジェラルドは居なかった。ソニアはメイドに言われるまま入浴し、着替えて軽い食事をとった。見慣れた部屋で過ごしていると七年も月日が経っているとは思えなかった。きっとこの部屋は何百年も変わらずに居てくれたのだろう。ソニアはそう感じた。テーブルに飾ってあるピンクの美しい薔薇の香りを楽しんでいたとき、突然ジェラルドが現れた。ソニアは驚いたが皇帝となったジェラルドにドレスを持ち上げきちんと挨拶をした。そんなソニアを見てジェラルドは微笑見ながら近づき「ソニア、あなたはそんなことしなくていいんだ」そう言って抱きしめた。 ジェラルドはもう私よりも随分背が高く、力強く、大人に見えた。「ジェラルド」私はなんとなく名前を呼んだ。「ソニアどうした?」ジェラルドが覗き込んだ。その時長い髪がサラサラと落ちジェラルドはサッと耳にかけた。その仕草がかっこよく胸が熱くなった。「あ、なんでもない。」そう言って恥ずかしさを隠すためにジェラルドに抱きついた。ジェラルドは嬉しそうに「ソニア」と言って頭にキスをした。「あ、あのジェラルド、今仕事中じゃありませんか?」

「フフフ、私はいつでもソニアが最優先だと言って来たが?あなたの目が覚めたと聞いて来たのだ」そう言ってソニアを抱き上げソファーに腰掛けた。「顔を見に来たの?」「ああ、だけど顔を見ると離れたくなくなった」「じゃあどうするの?」そう聞くとジェラルドはソニアを抱き上げて部屋を出て皇帝の執務室に連れて行った。「ソニアここにいて」そう言って大きなソファーにソニアを下ろしジェラルドは沢山書類が積まれたテーブルにゆき仕事を始めた。ソニアはそれからずっとジェラルドを見ていた。ジェラルドは存在が絵画だった。全てが完璧でこのまま近くで見ていられる幸せを噛み締めていた。時々執事が何かを言ってジェラルドは頷く。そしてチラッとソニアを見て嬉しそうに微笑みまた仕事を続ける。ソニアはその間ずっと大人しくジェラルドの執務室で過ごしていた。元々何百年も眠っていたのでじっとしているのは平気だった。愛するジェラルドの側にいられるのも嬉しく思っていた。だんだんと慣れて来てソニアは大きなソファーでゴロゴロし始めた。そんなソニアを見てジェラルドは幸せそうに微笑んだ。ソニアもジェラルドを見て微笑んだ。

そしてソニアはやっぱり眠ってしまった。次に目覚めた時はベットでジェラルドの胸に抱かれている時だった。「ソニア目が覚めた?」「はい」ジェラルドは優しく微笑んでソニアにキスをした。

 そして起き上がりソニアを抱き抱え食事が用意されているテーブルに連れて行った。そしてなぜかジェラルドがフォークを持ってソニアに食事を食べさせた。「懐かしいな」ジェラルドは笑った。「あ!!」ソニアも思い出した。四百年前、ジェラルドにレストランに連れて行ってもらった時もこうして食べさせてもらった。「あの時、ジェラルドは嘘を言った!!」私はおばあさんと言われた事を思い出した。「あはは、あの時のソニアも本当に可愛かった。俺はソニアに夢中だったな」 

 「……嘘、ジェラルドあなたはそんな素振り一切なかったわ」ソニアは少しあの時の気持ちを思い出して悲しくなった。「ソニア、そんなことはない。俺は本当はそうじゃなかった。ソニアがあの後俺を軽蔑し城を出て行った時、、、」 「ジェラルド、もういいの、その話やめましょう」ソニアは言った。報われなかった過去。今二人は一緒にいて幸せだがあの時の気持ちを思い出すと悲しくなってしまうのは不思議だ。ソニアは我慢していたが思いが溢れ出てしまい泣いた。

「ジェラルドのバカ、大嫌いよ!!」目の前にいるのは生まれ変わったジェラルドで、あの時のジェラルドでもあるけど違うジェラルドだ。でもソニアはずっとソニアなのだ。悲しく泣き続けるソニアをジェラルドはずっと抱きしめ「すまないソニア。悲しませて本当にすまない。」そう言い続けていた。 ソニアはこの過去の苦しみをどう乗り越えればいいのかわからなくなった。今ジェラルドは目の前にいて何よりも誰よりもソニアを優先し愛してくれている。だけどどうして過去を思い出すのかわからなくソニアの心は不安定になった。こんな自分は大嫌いと言いながらベットに移動し泣き続けた。ジェラルドは黙ってソニアの手を握っている。ソニアは起き上がりジェラルドにキスをした。「ジェラルドごめんね」そう言ってジェラルドの胸に顔を埋め「愛しています」と言った。ジェラルドはソニアを抱きしめた。「ソニア俺もソニアを、ソニアだけをずっとずっと愛している。誰よりもあなたを愛しています」「ジェラルド、私を離さないで、もう絶対に」ソニアは我儘だとわかっているがジェラルドに言いたかった。「俺はソニアが嫌がっても離れるつもりはない。俺が離れた時二度もあなたを失ってしまったのだ。もうあんな思いしたくはない。だから全ての公務も含めて全ての行事にソニアを連れて行く。だけどソニアに負担をかけるつもりはない。心配しないでくれ」 そう言ってジェラルドはソニアをゆっくりとベットに寝かせ、流れる涙にキスをしソニアが眠るまで抱きしめた。

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