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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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大人になったジェラルド三世


中身はジェラルドだが、十四歳のジェラルド三世と血の誓いを結んだソニアは何処か罪悪感があった。ジェラルド三世が成人する頃ソニアは四百三十歳だ。もしジェラルド三世と結婚したとしても子供が出来るのか正直わからない。ソニアは自分の年齢と体と心のバランスが一体どうなっているのかわからなかった。ただ、四百十四年前の姿形のままで、そもそも後何年生きられるのかもわからない。


  ソニアが密かにそんな事を考えている頃事件は起きた。


 ジェラルドが皇帝と共に遠征に出掛けている時のこと。

ジェラルドは自分がいない間は近衛兵ニ名にソニアを守らせていた。信頼できる人物で構成されていたがその中の一人の母親が亡くなり、急遽いつもと違う人物がソニアの護衛に入った。ソニアは日課となったジェラルドの肖像画の前のソファーで本読みゴロゴロしていた。ジェラルドの肖像画を見ながらジェラルド三世があと二日で戻ってくる事を楽しみにしている自分に「勝手なものね」と呆れつつ、早く会いたい気持ちがどうしても抑えられなくなった。いても立ってもいられなくなり、ジェラルドが帰ってきたら驚かそうと思い、あのススキの丘に行ってススキの穂をとってこようと近衛兵を二人連れ馬車に乗り出かけて行った。近衛兵の一人は馬車に、もう一人はソニアに付き添った。ソニアはまだ穂が開いていないススキを切っていた。沢山のススキを抱え馬車に戻ろうとした時、ソニアに付き添っていた近衛兵が腰から剣を抜きソニアを見た。ソニアは驚き後退りをした。まさか近衛兵がソニアを襲うなんて考えてもいなかった。しかし現実は残酷だ。その近衛兵はソニアに襲いかかった。ソニアは心臓を貫かれ倒れた。

 ジェラルドと誓ったこのススキの丘。意識朦朧としながらジェラルドを思い出しこれで良かったのかもしれないと思った。「ジェラルド、、ごめんね」ソニアは呟き目を閉じた。



 


 ま、眩しい、。なに?ここは天国?


 ソニアは瞼を閉じていてもわかるほど強い光を感じていた。ゆっくりと目を覚ますと全く見覚えのない場所にいた。ここはどこだろう?教会の聖堂のような場所でソニアはガラスの棺に入っていた。ゆっくりと起き上がるとパラパラと花が落ちてきた。よく見ると棺の中は花だらけだった。とりあえずこの棺から出ようとし棺の蓋をずらした。重たいガラスの蓋はバランスを崩し床にに落ちた。「バリーン!」大きなガラスの割れる音が静かな聖堂に響いた。ソニアはその音に驚き棺の中にもう一度入った。「ガチャ」誰かがドアを開けた。「ああ、棺の蓋が!」「なぜこんな事に?」

数人の使用人がいるようで騒ぎ始めた。ソニアは身動きしないよう棺の中で眠っているふりをした。「ちょっと見て、ソニア様にお供えした花が下に落ちているわ!誰かがソニア様に触れたのよ!」「急いで知らせないと!」そんな声を聴きながらソニアは内心焦った。どうしよう。ここは天国じゃなさそう。今はいつ?ジェラルド三世は生きているの彼のいない時代にきてしまったのかもしれない、、。ソニアは不安になった。そう、確か私はあのススキの丘で心臓を貫かれた。死ねなかったのね。でもそうであれば私はまた眠った。きっとまた時代が変わったのかもしれない。そう考えたら悲しくて涙が出てきた。またジェラルドと悲しい別れをしてしまった。

「こちらでございます!!」大勢の人の足音が響く。「陛下、お待ちください、まだ安全確認ができていません!」「かまわん」「陛下!」陛下と呼ばれる誰かがソニアの棺に近づいてきた。ソニアは怖くなった。その人がジェラルド三世じゃ無かったら。「ソニア、、」しかしその声は聞き覚えのある声だった。まさかジェラルド三世?硬く瞑った瞳から涙が流れた。 「ソニア?泣いているのか?!ソニアが、、起きている?!」その声の主はそっとソニアの頬を伝わる涙を指で優しく拭って「愛している」そいうってそっとソニアにキスをした。ソニアは驚きゆっくりと瞳を開けて「ジェラルド」と言った。その声の主はジェラルド三世だった。

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