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百一年の孤独 いけにえ令嬢と皇帝の恋  作者: ねここ


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時を超えて結ぶ愛の誓い

ああ、やっぱり。「ジェラルド三世様、あなたはやっぱりジェラルドだったのね」ソニアは立ち止まりジェラルド三世を見つめた。「ソニア、あの時俺は死ぬまで後悔をしていた。愛するソニアを選べなかった自分、愛していると言えなかった自分、何よりもソニアが大切だったのに大切に出来なかった自分、生まれ変わったら絶対にソニアを誰よりも愛し誰よりも大切にすると決めていた。だから生まれ変わって父親から眠り続けるソニアを見せてもらった瞬間に全てを思い出した。俺はソニアが目覚めたら絶対に絶対に誰よりも幸せにすると決めていたからソニアを愛している事を一切隠さず貫いて来た。」 

 ジェラルドはそう言って涙を流すソニアを優しく抱きしめた。そして流れる涙にキスをし、

「愛している」と言ってソニアの頬にそっと触れて唇にキスをした。

「ソニア、俺と血の誓いを結んでくれ。例えどちらかが死んだとしても必ずまた巡り合い結ばれる愛の誓いを。あの満月の日、ソニアと結ぶために呼び出したんだ。でも遅すぎた。神は私にそれを許さなかった。しかし今回は絶対に誓いを成就させる。もう二度離したくないから」ジェラルドは泣き続けるソニアをもう一度強く抱きしめた。「ソニア、そろそろジェラルドと呼んでくれ。あの時みたいに」ソニアは顔を上げジェラルドを見つめ言った。「ジェラルド!ジェラルド!!ずっとずっと会いたかった!あなたにずっとずっと会いたかった」ソニアはジェラルドの胸に顔を当て泣いた。「ソニア、ずっと見てたから知ってる。ソニアに泣かれるたびに俺に対する愛の深さをずっと感じていた。愛しているよ」ジェラルドは胸に中にいるソニアを強く抱きしめた。「ジェラルドどうして自分がジェラルドだと言わなかったの?」ソニアもジェラルドを抱きしめ聞いた。

「俺はジェラルド三世としてソニアに愛してもらえたら初めて言えるのだと思っていた。今はジェラルド三世として生きているし、ジェラルドと違う選択をしているから」そう言ってジェラルドはソニアの頬に触った。「ジェラルド、私の可愛い天使は本当の天使だったのね。」ソニアは涙を流しながらジェラルドに微笑みかけた。「あの時は子供扱いで悔しかったがな」ジェラルドはそう言ってまたソニアにキスをした。「可愛かったわ。ジェラルド!フフフ」二人は顔を見合わせ笑った。そしてあの時のように指を絡めススキの中を歩いた。時々立ち止まり見つめ合いキスをし何度もお互いの愛を確かめ合った。


 日が暮れ大きな青い月が出て来た。二人はあの日の約束を思い出していた。

「月を見ても見なくてもあの日の約束をいつも思い出していたな」ジェラルドはソニアを抱き寄せ言った。 「ジェラルドもそう思ってくれていたのね。あの日ほとんど眠っていたの。アニエスが必死になって起こしてくれて、あなたが迎えに来てくれた時も歩ける状況じゃなくて、でもそれを見せたくなくてね。そのせいで結局あなたに会うことが出来なかった。眠る時あなたの事だけ想って目を閉じたのよ。愛していますって」「ソニア、あの日の事ずっとずっと死ぬ日まで後悔していた。今思い出しても震えるほど後悔している。ソニアすまない、そばにいてあげれなかった俺を責めてくれ。」ジェラルドは悲痛な表情を浮かべソニアに言った。「ジェラルド、私は私の愛を貫けた事で幸せだったわ。それに今あなたは私のそばにいて私だけを愛してくれている」そう言ってソニアはジェラルドを抱きしめた。ジェラルドもソニアを抱きしめ、ソニアの手をとり跪き手の甲にキスをした。



 そして剣を鞘から抜きすすきの丘に突き刺した。血の誓いだ。


 私の体はあなたのもの。私の心はあなたのもの。

 たとえ離れ離れになったとしても私の魂はあなたに寄り添い必ずあなたの元に戻ります。

何人たりともこの血の誓いは壊せない。私は永遠の愛をあなただけに誓います。


 ジェラルドは大地に突き刺した剣を掌に当てスッと引いた。ジェラルドの手から血が流れ出てその血が剣を伝いはじめた。ソニアも同じように掌を切り、流れ出たその血をジェラルドの血の上に流した。その混ざり合った二人の血が地面に到達した時血の誓いは成就した。


 強い風が吹き一斉にすすきの穂が空に舞い上がり二人を祝福した。三百年の時を超えてようやく二人は愛の誓いを成就させた。

 

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